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橋下徹“小池さんが自民を粉砕した理由”

(前大阪市長・元大阪府知事 橋下 徹 撮影=市来朋久)

■歴代知事の誰もできなかった都議会の「入れ替え」

今、7月2日の昼。東京都議会議員選挙の投開票日。報道や各種情勢調査によれば、小池百合子東京都知事が率いる「都民ファーストの会」と公明党だけで都議会の過半数64を確保する模様。その他の小池さん支持政党を加えると圧倒的に過半数を超えるとのこと。

小池さん、大勝利。

小池さんは首長なので何をするにしても批判の矢面に立つ。僕も小池都政に対しては色々と文句を言ってきた。完全に無責任なコメンテーターとしてね(笑)

でも政治は結果。そして有権者の判断。僕も含めて自称インテリは口ばっかりで小池さんを批判するだろうけど、小池さんはこの選挙の結果を受けて、ガンガン都政改革、そして日本の改革に突進して欲しい。

口で批判するのは簡単。しかし行動するのは想像を絶するほど大変。一から政党を作って、既存の政党しかも一強と言われていた自民党とガチンコで対決して自民党を粉砕した。それまで小池さんを敵対視していた自民党メンバーを吹き飛ばした。これぞザ・選挙。

僕も大阪でやった経験があるから言えるけど、この小池さんの政治的行動は、高く高く評価されなければならない。もちろん小池都政に問題はある。だけど小池都政に一部問題があるからと言って、小池さんのやることなすことを全否定するのはおかしい。

都議会を入れ替えるなんて、歴代の知事は誰もやらなかった。直近で言えば、石原慎太郎さん、舛添要一さん、猪瀬直樹さん。

彼らもそれまでの都議会に文句はあっただろうけど、都議会を入れ替えるという行動まではとれなかった。猪瀬さんも都知事を辞めてから、「都議会のドン」批判をし始めたけど、自分が都知事の時には都議会の問題を解決しようとはしなかった。

今回、小池さんが都議会を入れ替えることに乗り出し、成功した。自分自慢にもつながってくるけど、こんなこと普通じゃできないこと。小池さんにはこの政治的資源を最大限に活用してもらいたい。

少し前まで盤石だった安倍自民党が今、猛逆風に遭っている。日本の民主主義はまだまだ機能している。森友学園問題、加計学園問題、稲田朋美防衛大臣の失言問題などに対する政権の対応について、有権者は強烈な鉄槌を下した。安倍政権はこれまでの対応を180度変えざるを得ないだろう。

小池さんも、今回の政治的資源をうまく活用できなければ今度は逆風に遭う。僕も大阪維新を結成してから追い風を受けたり逆風を受けたり。まあこれが政治であり、今振り返って見るとほんと楽しい人生だったけどね(笑)

■自民党を黙らせるための政治決戦だった今回の都議選

さて、終わった選挙を一々分析しても仕方がないし、選挙分析はその辺の自称インテリに任せればいいので、僕は都民ファーストの会の今後、そして日本の政治の今後について考えてみる。それも小池さんと同じようなことを経験した僕ならではの視点でね。

まず都政においては、これで小池さんは都議会自民党からの嫌がらせを気にすることなく、思う存分「小池都政」を進めることができる環境になった。逆に言えば、この環境で都政改革を進めることができなければ全て自分の責任となり、簡単に逆風が吹く。

元々小池さんが都民ファーストの会を作らなければならない理由は「論理的には」不明だった。小池さんの予算に自民党は賛成だったし、築地市場についても小池さんは豊洲への移転を表明し、これも自民党と同じ考え方だ。だから何のために都民ファーストの会が必要なのかが見えない。

しかしそれは論理の話であって、政治的には小池さんが自分と合わない自民党議員を追い出すというもの。政治って結局こういうものなんだよね。権力を持った者と権力を持った者がぶつかった場合には本来殺し合いでの解決になる。しかしそれを民主国家においては投票という形で解決することにした。

今回の都議会議員選挙は、まさに小池さんが気に食わない自民党議員を追い出すため、また小池さんに文句ばっかり言ってくる自民党国会議員を黙らせるための政治決戦だった。自民党からすれば、自民党にたてつく小池さんの首根っこを押さえるための政治決戦。まあこれをきれいな言葉で言えば「古い都議会の総入れ替え」「都議会改革」「知事の暴走を止める」という言葉になるんだけどね。

確かに東京都議会は、地方議会の中でもかなり酷い議会。常任委員会のインターネット配信が行われていないし、政務調査活動費の領収書のインターネット公開もまだ行われていない。それでいて議員に公用車がある。これまでの都議会はこのようなことを放置していた。

それに小池さんに対するこれまでの対応も有権者は厳しく見ていたんだね。小池さんが知事に就任した時に自民党にあいさつに行ったら、社会人マナーに外れる冷たい対応をした。

そうそう、僕も市長就任時に、選挙で戦った市役所職員労働組合の委員長に握手を求められて断った。でもこれは僕の部下から求められた握手だからね。普通の会社で部下から社長に握手を求めることって僕は聞いたことがない。しかも当時の組合には色々問題が山積し今からその改革に乗り出そうとしていたときだったからね。

政治をやっていると感覚がおかしくなってくる。自分のほんの少しの周囲の世界でしか通用しない感覚で、全てを判断するようになってくる。小池さんが知事に就任した時には、都議会自民党は都議会においては絶大な力を持っていた。だから小池さんを軽く見て、あんな態度をとったんだろう。小池さんの背後に有権者が存在することを都議会自民党は完全に見落とした。

そして東京都の有権者はこれまで都議会のことなど考えたこともなかっただろう。小池さんが知事に就任してから、連日都政を見聞きするようになった。そこで疑問がどんどん膨らみ、強烈な怒りに変わっていった。これまでの都議会を変えたいという有権者の意思表示が示されたことは当然だろう。

選挙で有権者から鉄槌を下されて、政治家はハッと目覚める。自分たちのこれまでのやり方を変えなければ、と。民主党が政権を獲って下野した経験を持つ自民党。政権を奪い返した後は、確かにこれまでの自民党と変わっていた。

ところがしばらくの安倍一強の下で、また有権者の感覚と離れていき、今回鉄槌が下された。大阪でも僕が市長のときに色々な改革案件に反対してきた市議会自民党・公明党は、大阪維新の会の吉村洋文さんに大阪市長選で完敗すると、その後吉村さんの粘り強い交渉も合わさって次々と改革案件に賛成するようになった。選挙の結果によって政治家の態度が変わる。これこそが選挙の最大の効果。

自分の気に食わない議員を追い出すための選挙なんておかしい! と自称インテリは言うかもしれない。自称インテリは「議会と話し合いを!」と言うけど、政治の世界は妬み嫉みが渦巻く世界。合理性を基にした話し合いよりも人間的な好き嫌いが強く影響する。

一見、都議会自民党は小池さんの予算にも賛成し友好的に見えても、腹の底ではコンチクショーと思っているから、隙があったら足を引っ張ってやろうと狙っている。そんな環境よりも、完全に自分を支持してくれる都民ファーストの会が中心となる都議会になれば小池さんにとっては心強いし、都政がやり易くなるのは間違いない。

※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.61(7月4日配信)からの引用です。もっと読みたい方は、メールマガジンで!! 今号は《【都民ファースト大躍進】大阪維新とのタッグで日本の政治は新しい次元へ!》特集です。

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