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東京都を衆愚政治の都に貶めた都議選ー再び「緑」旋風に飲み込まれた都民

 東京都議会議員選挙、小池都知事が代表を務める都民ファーストの会が49議席を獲得して第1党となり、圧勝に終わった。対抗勢力とされた自民党は大幅減の23議席に止まり、大敗した。

 この選挙、小池知事率いる都民ファーストの会と自民との対決の構図で語られ、都民ファーストはそれを奇貨としたのか仕掛けたのか、「ふるい都議会を、あたらしく!」をスローガンに、都議会自民党に照準を定め選挙戦を展開した。(公明党はそれに寄生して自民党ではなく共産党を照準に定めたが、公明党は現有議席を守ったものの、共産党の躍進を許す結果となった。しかも得票数では公明党は共産党に及ばなかったようだ。)

 そもそも議会の選挙とは、対立する二つの勢力からどちらかを選ぶといった性格のものではなく、有権者自らが正しいと信ずる意見を集約し、政策化できる代表者を選ぶものであるはずである。いつしかそれが今回のように「ふるい」と「あたらしい」の対立のように単純化されるようになってしまった。

 では、都民ファーストの言う「あたらしい」とは具体的に何なのか、「ふるい」は何が問題なのか、なぜ「ふるい」と問題で「あたらしい」のであればいいのか?これについては具体的な説明はなかった。そしてそのまま、「変えないとマズイだろ?あたらしくないとダメだろ?」とばかりに都民に選択を迫り、有無を言わせず「あたらしい」に賛同し、投票するように誘導されてしまった。これはまさに扇動政治、衆愚政治そのものであろう。

 筆者は特定の政党を支持する立場ではない。社会経済の実情を踏まえて、自らが正しいと判断する候補者にこれまで投票してきたし、言論を通じて小池都政にも是々非々で臨んできた。程度の問題、比較の問題とは言え、小池都政になってから進んだ情報公開については、筆者は高く評価している。しかし、だからと言って、自動的に都民ファーストを支持しましょうという話にはならない、これが民主主義を機能させるためのマトモな判断のはずである。

 また、今回の選挙は都議会議員選挙であり、地方選挙であって国政選挙ではない。議員の選択のメルクマールは、地域のためにいかに働いてくれるか、地域を良くするためにいかに汗をかいてくれるか、である。良くも悪くも自民党の都議や区議はその典型であり、共産党や公明党もまたしかりである。さらに言えば、特定の国政政党の公認や推薦を受けずに無所属で活動している議員・候補も同様である。「ふるい」とか「あたらしい」とか、「変える」とかそういう話ではないはずである。自らが生活する地域を真面目に考えればそこを判断基準にするはずである。

 しかし残念ながら、今回の都議選ではこうしたことをメルクマールにした冷静な判断が行われなかった、否、冷静に判断した人もいただろうが、そうではない人の刹那的で情緒的な判断に凌駕されてしまった。

 では、都政は今後どうなるのか?

 これまでの拙稿やtwitterで繰り返し述べ、指摘してきたことであるが、都民ファーストの当選議員は、小池代表が街頭演説で喧伝した多彩な面々という以前に、「緑」の風で当選した、他党から流れてきた風見鶏議員と、政治や政策について全くの素人、ド素人ばかりである。(都民ファーストの野田氏が、これから研修等で云々と言っていたが、議員はサラリーマンではない。それだけ都民ファーストの公認候補の選抜は甘かったということか、恣意的であったということか?)

 当初は小池知事が右と言えば右を向き、左といえば左を向いていればいいだろう。しかし、ド素人や風見鶏ばかりであるがゆえに、①勘違いをして過剰に自己主張をする議員、②小池知事の意向を先読みしすぎて空回りする議員、③都民ファーストの茶番劇に気づいて小池批判という場外乱闘をし始める議員、そうした議員が出てくる可能性は、過去の例を振り返れば否定できず、そうなれば都政の混乱は必定であろう。

 さらに、国政レヴェルで都民ファーストの便乗したい勢力がいるところ、この手の人たちも混乱の火種となるだろう。(なんといっても国政で野党を散々引っ掻き回して、多くの「被害者」を出した「実績」の持ち主も含まれているのだから。)

 つまり、本来都民のものであるはずの都政が、自己満足と政争の道具に使われてしまう危険性が極めて高いということである。

 では、都政はどこへ行く?「緑」の風とともに、どこかへ飛んで行ってしまった。衆愚政治に出した都政は、崩壊への一途を歩むのみであろう。「途中」で崩壊を止めなければ。

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