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都民ファースト大勝の意味合い

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都民ファースト大勝の影響

小池都知事率いる都民ファーストの会が都議会選挙で大勝しました。都議会選挙の影響範囲は、第一義的には都政においてです。今回の選挙は不思議な選挙でした。小池知事側の戦略勝ちなのですが、誤解を恐れずに言えば、政策上の争点はなかったからです。

市場移転についても、豊洲に移転することが前提で、あとは選挙を通じて意思決定するほど話は煮詰まっていない状況。待機児童問題についても、政党間の違いが明確になることはありませんでした。争点は小池知事を信任するか否かということであり、強いて言えば重要だったのはスタイルの差分。

自民党のおじさん的な政治を続けるのか、小池さんが重視する多様性や颯爽した何かを追い求めるのかということだったわけです。直接的な影響は、後の小池知事の政策運営が容易になったということですが、ここまでくっきりと勝敗が分かれると、当然、国政への影響が出てきます。私は、大きく3つあると思っています。

第一は、短期的な安倍政権への政権運営への影響。具体的には、内閣改造と党役員人事の時期と踏み込み度合いへの影響です。安倍政権からすると、これだけはっきりした敗北の雰囲気を引きずったまま、ダラダラと出血を続けるような事態は避けたいはず。改造にはリスクがあるので、候補の「身体検査」は端折れないけれど時期はなるべく早めたい。遅くとも、議員達が地元でお盆の挨拶周りをするころまでには実施しておきたいのではないでしょうか。

次に、改造の踏み込み度合い。こちらは、入れる人と、替える人の両面あります。入れる人はとにかく目玉が欲しいので、注目されるのはやはり小泉進次郎氏でしょうか。政策実現には実力者が必要なので、禊は済んだとして甘利氏を再入閣させるか。そのくらいしなければ、米国なしTPPや日EUのEPAもまとまらないでしょうから。

党運営や政権運営の大義のために安倍総理のライバルを迎え入れるかどうかも注目ですが、それを相手が受けるかというと、まあ、難しいでしょう。

替える方は、選挙大敗の戦犯でもある金田法相、稲田防衛相、萩生田副長官を替えるべきだという声が上がっています。菅さんを替えるかどうかは最大の論点でしょう。最も目立つ要の官房長官を替えなければ改造の新鮮味はない。ただ、これは政権の安定にも直結しかねない諸刃の剣でもあります。

もう一つ注目すべきは、安倍政権を支える派閥領袖クラスの動き。私は、今回の都議選大敗を経ても、安倍政権そのものは盤石と思っています。それは、政権を支える基盤が動いているように見えないから。外野がいくら騒いだところで、安倍総理は自民党の最大派閥の事実上のトップです。第二派閥トップの麻生氏は副総理兼財務相という閣内ナンバーツーのポストで遇し、第三派閥トップの二階幹事長は党の最重要ポストで遇しています。彼らが、安倍総理に弓引かない限り、基本的には何も起きようがないわけです。

安倍政権の政策への影響

第二は、安倍政権の政策への影響です。今般の都議選のもう一つの大きな勝者は、自民党を見捨てて、小池知事についた公明党です。都議会で現有議席を守っただけでなく、公明党の支持なしには、自民党は特に1人区では全く勝てないことが明白になったからです。国政での自公の間の隙間風を指摘する識者もいらっしゃるけれど、むしろ、連立政権における公明党の存在感は高まるのではないでしょうか。

政策への意味合いは、憲法改正と経済運営の双方に及ぶと思っています。憲法改正について、安倍総裁案の中身は既に公明党仕様です。にもかかわらず、今後の与党協議の中で、集団的自衛権や自衛隊の海外派兵の文脈で、がんじがらめの制約を課せられる方向に圧力がかかってくるでしょう。公明党は、本音では改憲などやりたくないでしょうから、引き延ばし的な動きが出てくるかもしれません。

経済運営において、公明党はあらゆる痛みに敏感です。日本は、財政も社会保障改革も、これ以上の先送りは難しいところまで来ているのですが、必要な改革は行われないでしょう。高齢者への不利益配分が極端に嫌気され、世代間の不均衡は温存される。既得権と闘い、競争を促して経済全体の生産性を上げるという発想は、今でさえ殆どとられていない中で、今後はさらに後退してしまうことを懸念します。

私が、一縷の望みを託しているのは安倍政権の戦闘的な体質です。安倍政権の中心メンバーは、小泉政権時代に権力の中枢に近づいた人たち。彼らは、本能として、国民は政権の果敢な決断には支持を与えやすいことを知っています。郵政民営化時の小泉総理、拉致問題発覚時の安倍官房副長官(当時)、アベノミクスをぶち上げた当時の安倍総理です。

政権の驕りは致命傷になりかねないので、加計問題や森友問題などのスキャンダルでは低姿勢をとりながら、政策面では強気を貫くというのがあるべき姿です。憲法改正も、経済改革も、むしろこれまで以上に踏み込むべきです。人気取りとして取り込む進次郎氏などを活用して、こちらの方向に踏み出すことを期待しています。

都民ファースト国政進出の形

第三は、都民ファーストの国政進出の形が政界再編に与える影響。小池知事は、国政進出のタイミングについて慎重な物言いをされていますが、遅かれ早かれ、注目は国政へと移っていくでしょう。

国政への足掛かりを持たなければ、小池知事が実現したい政策も実現できないというのが一つ。待機児童対策についても、今後急速に進む東京の高齢者対策についても国から協力を引き出し、タフに交渉することが必要ですから。もう一つは、小池氏率いる都民ファーストが「敵」を必要とする政治運動であるということです。豊洲への移転や、待機児童対策や、五輪準備を粛々と進めているだけでは、マスコミも国民もそのうち飽きて来ます。

国政版都民ファーストの中心メンバーと目されている旧維新の渡辺氏や、旧民進の長島氏や、旧自民の若狭氏の側の希望もあるでしょう。彼らは所属していた政党内で明るい未来が描けず、都民ファーストの人気を使ってもう一花咲かせようとしているわけです。年内に国会議員5人以上という政党要件を得なければ政党助成金の対象とならないという手続き面の制約もありますから、こちらの動きも加速化して来るでしょう。

都民ファーストというのは「小池知事の人気」の磁力に集う集団であり、それが国民のどんな層を代表しているのか、どんな政策選好を持つのかは、はっきりしません。都民ファーストの候補の中には、かなり極端な保守的な言動をされる方もあれば、旧民進系の労組と近い方もいる。

新人候補の専門職としての経験は評価するし、スキッとしていて良い意味でエリート的なのは評価したいと思います。多様性を重視した人選も良いと思いますが、経済運営や安全保障でどのような思想や国家感を持っているのか皆目見当がつきません。地方政治でこそ、思想はいったん脇に置いて「半径5メートル」の論点に集中することはできるでしょうが、国政ではそうはいきません。

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