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安倍政権の体質が招いた都議選大敗

東京都議会議員選挙は、都民ファーストの会が推薦の無所属を含め55議席となり都議会第一党に躍進し、一方で自民党は34議席減の23議席となり公明党と同数の第二党に転落した。今回の選挙結果は衝撃的であり、自民党の大敗ぶりは2013年の都議選の民主党を彷彿させる。正直ここまで自民党の議席が激減すると予想した人はほとんどいないだろう。選挙前に安倍政権および自民党所属国会議員の不祥事が自民党の議席数を下振れさせた大きな要因だと思われる。

今回の選挙戦において注目すべきは、安倍政権に対するメディアの論調で、以前は安倍首相に対して好意的であった保守系週刊誌も最近は政権のスキャンダル探しに躍起になっていた。加計学園問題での記者会見の対応や稲田防衛大臣や萩生田官房副長官に対する極端な重用ぶりが典型的な例だが、安倍首相が自分と意見が異なる相手と議論をするのが好きではなく、自分と意見が合う相手を重用しながら自分が望む方向に物事を進めようとしがちなのは明らかだ。

第一次内閣での失敗を教訓にして、第二次内閣が始まった当初は経済運営重視だったが、国政選挙に連勝し政権基盤が強まるにつれ安全保障・憲法改正・テロ対策といった首相本人が好む分野に力点を置くようになってきたといえる。

しかしながら、これらハイポリティックスと呼ばれる分野は、日本においては経済などローポリティックスより政治的な対立が先鋭化しがちな分野であり、自分が望む方向にことを進めようとするほど、日本国内の政治対立が先鋭化した。本来ならばより慎重に物事を進めなければならない局面においても議論や説明が嫌いで、「お友達」を重用する首相の性格が、世間一般にまで政権および自民党への反感を広げ、今回の敗北につながった。

こうした状況にもかかわらず、安倍首相は自民党としての憲法改正原案を「年内にまとめる」と明言している。この理由としては、森友問題が明るみにならなかった今年の初頭に解散を行いより有利な状況で憲法改正議論を本格化させるという戦略が政権に存在したものの、これが内閣支持率の下落で実行不可能となり、今の衆議院の任期内に憲法改正を行うという戦略を取らざるを得なかったことが考えられよう。

しかしながら、都議選での大敗は安倍首相の悲願である憲法改正の先行きを不透明にした。安倍政権および自民党に対する支持が非常に脆いものであることが分かった以上、内閣支持率が下落する中でもともと改憲に積極的ではない公明党が安倍首相と足並みを揃えてくれる保証はない。さらに、公明党を何とか説得して衆参で憲法改正案を通したといって、国民投票で過半数を得る保証はない。憲法改正が挫折した場合は政権のレームダック化が進み、来年9月の総裁選で再選するのが難しくなるであろう。

そもそも安保法制に関しても、強引な解釈改憲で集団的自衛権を認めたなら「解釈改憲で何でもあり」状態なわけで、もはや憲法9条の改正など必要ないだろうと言いたくなる。集団的自衛権を行使できるように憲法を改正しようというならば話が分かるが、自ら憲法と現実のかい離を広げておいて、首相が自衛隊について「政府としては合憲だという立場は揺るがないが、 (中略) 憲法学者の多くの方々が、7割、8割の方々が違憲と言っていて、その記述は教科書の中にもある。 (中略) 状況を変えることが私たち世代の責任ではないか。」と述べているのは、いかにも詭弁である。

こうした手前勝手な論理展開を続けながらも現政権が高い支持率を維持できたのは、ひとえに野党第一党である民進党(民主党)のふがいなさのおかげである。今回の都議選の勝利で都民ファーストの会の国政への進出もうわさされている。小池氏は都民ファーストの代表を辞任し離党するとのことだが、彼女には国政政党となる新党の共同党首に就任するという選択肢がある。

しかしながら、私には小池新党が国政において民進党に代わる野党第一党となったり、自民党に代わる与党になるとは思えない。理由は簡単で、まず小池氏の政策自体があいまいで自民党との明確な対立軸を作り出すのは困難であろうこと、その上で小池新党ができたとしても、首長と党首を兼任しながら衆議院選挙1回・参議院選挙2回の合計3回の選挙に連続して勝利するのは非常に難しいからである。

少なくとも蓮舫執行部体制で民進党が(再び)政権を担えるようになるとは思えない以上、仮に自民党の議席が減ったとしても、当面は、野党は民進党・小池新党・共産党の間で勢力関係が安定化しない状況が続くかもしれない。それこそ、社会党の低落から多党化が進んだ55年体制後期を思い出さずにはいられない。与党が堕落したときに政権交代の対案を出すのは野党の役割である。依然として具体的な政権構想(野党公約の共通化・選挙区調整)を示せない蓮舫氏が野党第一党の党首でいることは、日本の民主主義にとって大いなるマイナスと言わざるを得ない。

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