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東芝とWDの対立で、サムスンの背中は遠くなるばかり

東芝メモリの売却をめぐって、東芝と米ウエスタンデジタル(WD)が法廷闘争に入りました。混迷が長引けば、ライバルの韓国サムスン電子を利することになりかねませんね。

ご存じのように、東芝は昨年12月、米原発事業をめぐり数千億円規模の損失が明らかになり、財務危機が再燃。18年3月期末までに債務超過を解消し、上場廃止を避けるために、半導体子会社「東芝メモリ」の売却を急いでいますよね。

東芝メモリが開発、生産している、NAND型フラッシュメモリは、スマートフォンのデータ保存などの需要が旺盛で、価格が高騰しています。日本に残された数少ない半導体の勝ち組といえます。

ただし、最先端の3次元NANDの技術については、一時、東芝がリードしていたともいわれますが、いまやサムスンに先を越され、中国の長江ストレージにも追い上げられているといわれます。

そんなわけですから、東芝メモリがIoT時代に勝ち残るには、売却交渉で立ち往生している時間はないんですね。にもかかわらず、東芝とWDの係争の行方は依然、定まりません。

というのは、三重県四日市市の工場を共同運営するWDが、売却差し止めを求めて法的手段に出たのに対して、東芝も東京地裁にWDを提訴するとともに、対抗策を発表。泥沼の様相を帯びてきたからです。

東芝は、WDが買収した米サンディスクと合弁会社を設立して四日市工場を運営しており、現在、同工場内に3DNAND型フラッシュメモリを量産するための第6製造棟を建設中です。

「WDと一緒に投資をして、サムスンと闘いたいと思っています」と、綱川智社長は23日に開かれた記者会見の席上、語りました。

ところが、東芝はハラを決めたんですね。建設中の第6製造棟の設備投資を単独で導入する可能性があると28日、発表しました。

「歩み寄れるところは歩み寄って係争状態を解消したい」と、28日の定時株主総会の席上、成毛康雄副社長は述べましたが、果たしてどうなるか。

一方で、サムスンは、最先端の3D半導体の生産比率を年内に5割以上にする計画など、先を見据えた投資を着々と進めています。

また、サムスンは、最先端の半導体メモリを生産する中国の工場に約1兆円を投資し、19年をメドに同工場の生産能力を現在の2倍に引き上げる計画です。もう、東芝とはスケールが違います。

それにもまして、決定的なのは、意思決定者の存在です。ご存じのように、現在、サムスングループを事実上率いるサムスン電子副会長の李在鎔氏は、逮捕されて不在です。しかし、グループトップが意思決定を下す、独自の経営体制が築かれており、投資の意思決定には何ら問題がないといわれます。

対する東芝は今後、「日米韓連合」にメモリを売却すると、“寄り合い世帯”になりますよね。数千億円の投資が計画されているようですが、いったい、誰がそれを決断するのか。早い話が“寄り合い”であれば、戦略に対する意思決定者がいないのも同然ではないでしょうか。

東芝メモリをめぐるゴタゴタによって、サムスンの背中はさらに遠のくことが予想されます。

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