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日銀がいつになっても物価目標の2%を達成できない理由

今回、日本と米国の消費者物価指数のデータをエクセルに入れそれぞれを比較するグラフを作成してみた。日米ともにコアと呼ばれる指数で比較した。注意すべき点として、日本のコアCPIは値動きの大きな生鮮食料品を除いたものであり、米国のコアCPIは食品とエネルギーを除いたものであるという違いがある。また、日銀とFRBの物価目標は、日銀がコアCPIそのものであるのに対し、FRBはPCEデフレーターであるという違いもある。

ここではあくまで日米の物価の動きのクセのようなものを見るために比較してみたのである。手元のデータが2004年1月以降であったため、もっと長いスパンの分析とはならなかったが、それでも過去13年以上のデータの比較となった。

これにより一目瞭然なのが、米国のコアCPIが2004年から2017年にかけて、途中の上げ下げはあってもいずれ前年比で2%あたりに収斂するというものであった。これに対し日本ではゼロ近傍に収斂していることがわかる。

データを見ると、2004年1月から2017年4月までの日本のコアCPI前年比は最大値でプラス2.4%、最低値でマイナス2.4%、平均は前年比0.0%となっていた。それに対して米国は最大値でプラス2.9%、最低値でプラス0.6%、平均値で1.93%とほぼ2%となっていた。念のため、これは無理矢理数字を揃えたいので2004年以降にしたわけではない。

日銀が政府の意向も汲んで物価目標をCPIの前年比で2%に設定したのが2013年1月であり、同年4月に量的・質的緩和を決定し、2年程度で物価目標を達成するとした。しかし、その目標は達成されずゼロ近傍にいるのは何故なのか。  

それは中央銀行の金融政策に関わらず、原油価格や外為市場などの動向により多少の上げ下げはあっても日本の場合はコアCPIはゼロ近傍に収斂してしまう性質がある。それは米国では2%であった。つまり、そもそも設定目標に無理があったのではなかろうか。2006年に日銀が量的緩和政策の解除にあたって条件としたのが、消費者物価指数(全国、除く生鮮食品)の前年比上昇率が安定的にゼロ%以上となるとしていたが、この数字こそ今振り返っても適切であったように思われる。

だからこそ長きにわたるデフレを退治するため日本の物価の水準を無理矢理にでも2%に引き上げて欧米並みにすべきという意見もある。しかし、そもそも日本の消費者物価指数は帰属家賃等もあり、簡単には水準修正は難しいし、一時的に上昇下降してもゼロ近傍に収斂してしまう。それを日銀のマネタリーベースの増加とか長期金利の低下で動かせるものではない。

2008年あたりから2017年にかけては日銀の緩和策が実験場のように矢継ぎ早に打ち出されたが、このグラフを見ても、消費者物価指数が金融政策によって動いたような兆候はない。この間の消費者物価指数の動きは、むしろ原油価格や為替市場の動きによって説明が付きそうである。日銀にとって物価目標の達成はいつになっても見通せないのは、国債の買い入れなどでは物価は簡単に引き上げられない上に、現在のゼロ%近くの低成長下では物価もゼロ近傍に収斂してしまうためであろう。

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