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【赤木智弘の眼光紙背】児童ポルノの単純所持を徹底的に取り締まれ

 児童ポルノをめぐる議論において、私は当然のように実在の被害者がいない、アニメやゲームでの子供キャラによる性的表現に対する規制には反対する。
 しかし、その一方で、実在の被害者がいる児童ポルノ写真やビデオなどの単純所持規制に関しては、単純に絶対反対とは、なかなか言い難い。
 もちろん、二次元のキャラのポルノ表現と同じように、それが例え三次元であっても、児童ポルノを見たからといって、それを試してみたくなるという、単純な強力効果論を根拠にした規制論は反対ではある。
 しかし実際の子供が「児童ポルノを撮影されたことにより、その写真がいつまでも誰かの手にあって、いつその写真の事がばれるかもしれない恐怖」に脅かされ続ける状況というのは、決して良くない事だと思う。
 だから私は、単純所持の違法化には賛成したいと思っている。

 単純所持が違法化されれば、当然警察はしらみつぶしに児童ポルノを見つけ出す必要に迫られる。その対象は、秋葉原などに生息するオタクたちであろうか?
 いや、そんな個人宅を一つ一つ回っていては児童ポルノの全廃はおぼつかない。まずは確実に児童ポルノを有している団体のところに行くべきである。私がこの児童ポルノの全廃を指揮する人間であるならば、最初に狙うのは間違いなく「日本ユニセフ協会」である。彼らは児童ポルノの実態を調査しているのだから、当然児童ポルノの10や20、あたりまえのように出てくるハズだ。
 別に児童ポルノを持っている人間が、性的目的で所有しているのか、調査目的で所持しているのかなど、まったく関係ない。児童ポルノという性的被害をうけた被害者にとってみれば、その写真やビデオがこの世に存在してくことこそが、恐怖の対象なのである。
 もちろん、マスコミ各社や出版社なども、当たり前のように児童ポルノを隠し持っている。報道資料もそうだし、お風呂のCMが入っているテープがあれば、十中八九裸の子供が映っている。また、宮沢りえ(撮影時17歳)の「サンタフェ」なんかもどこかに眠っているハズである。
 そして、そうした捜査の結果、一番児童ポルノが集まる場所が警察だ。警察は押収した資料の中に、間違いなく児童ポルノを保管している。警察は警察の倉庫をあさり、児童ポルノ単純所持の容疑で、警察を逮捕しなければならない。とはいえ、警察から押収した児童ポルノはどこにしまうのだろう?
もちろんしまった倉庫からも児童ポルノを押収しなければならない……。

 もちろん、私の言っていることはむちゃくちゃだ。
 実際の単純所持の運用は、個人を捜査するための別件容疑や、マスメディアに対する睨みの範囲で使われるのであって、警察に児童ポルノがあるからといって、警察の倉庫を捜査することなんてありえない。
 しかし、振り返ってみてほしいのは。私が最初に示した単純所持規制の理由は、実際に被害に逢った人が、児童ポルノの恐怖から解放されるべきだという、心情なのである。そのためには所持の目的に関係なく、児童ポルノを取り締まっていかなければならず、そのためにはそれが調査であろうが、資料であろうが、証拠品であろうが、児童ポルノ被害者にとっては「それが存在するそのこと」自体が恐怖なのである。
 ならば当然、単純所持規制によって、取り締まられなければならないし、逆に取り締まれないのであれば、単純所持規制なんて、被害者のためになどならない。
 しかも仮に押収したところで、写真にしろ映像にしろコピーされているかもしれない。インターネットに一度流出したデータは一生消えないと言うけれども、普通の社会に流出したデータだって、そうそう消えないし、消えたことを確認することも不可能なのだ。
 故に児童ポルノの単純所持規制によっては、残念ながら被害者の恐怖を取り除くことはできない。

 私は児童ポルノ被害者を減らすには、「子供の人権」を正しく尊重することが必要だと考えている。特に以前にも触れたように、児童ポルノの問題は親を無視して語ることはできない。(*1)
 少なくとも「子供の安全安心」などと称して、子供にGPS携帯を持たせて、親が年中子供を見張ることが推奨されるようなこの国で、子供の人権など、唇寒し秋の空というものだ。

*1:http://news.livedoor.com/article/detail/3558486/


赤木智弘(あかぎ・ともひろ)…1975年生まれ。自身のウェブサイト「深夜のシマネコ」や週刊誌等で、フリーター・ニート政策を始めとする社会問題に関して積極的な発言を行っている。近著:「若者を見殺しにする国

眼光紙背[がんこうしはい]とは:
「眼光紙背に徹する」で、行間にひそむ深い意味までよく理解すること。
本コラムは、livedoor ニュースが選んだ気鋭の寄稿者が、ユーザが生活や仕事の中で直面する様々な課題に対し、「気付き」となるような情報を提供し、世の中に溢れるニュースの行間を読んで行くシリーズ。

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