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【眼光紙背】地域によって異なる風俗嬢の就業動機

眼光紙背

2008年04月30日 13:00

近年、日本では、能力主義や成果主義を採り入れる企業が増えているため、人々の所得格差が拡大する傾向にある。また、それだけではなく、地域間での格差も広がり始めている。実際、雇用・所得環境は、地域によってかなりの開きが生じている。

たとえば、総務省の統計によって都道府県別の完全失業率(サンプル数が少ないため結果についてはある程度の幅を持って解釈する必要がある)を比較すると、07年は東京都が3.8%、神奈川県が3.8%、千葉県が3.3%、埼玉県が3.6%と、景気が好調に推移する東京圏では低い水準にとどまった。その一方、全国で最も失業率が高かった沖縄県では7.4%、青森県では5.7%、大阪府では5.3%、北海道では5.1%と、景気が悪い地方圏に属する道府県では、その多くが高い失業率に悩まされている。

地域間の格差が深刻化するなか、全国各地に集積する風俗産業で働く女性たちの就業動機にも、地域による差異が生じている。

たとえば、筆者が行ったアンケート調査などによって、東京圏に立地する風俗産業で働く女性の経済環境を調べてみると、極端に家計が苦しいとか、借金を抱えて生活に困っているといった事情はうかがえない。これは、多くの企業が人手不足になっているため、わざわざ風俗産業に飛び込んでいかなくても、条件のいい働き口がいくらでもあるからだ。

では、なぜあえて風俗産業で働くのか?東京圏の風俗産業で働いている女性の多くは、高級ブランドのバッグや洋服を買ったりするお金欲しさから、給与水準の高い風俗産業で気軽に働いている。つまり、東京圏の場合には、主な仕事が別にあって、さらにより豊かな生活を享受したいという理由から、女性が風俗産業で働いているケースが圧倒的に多いということだ。風俗産業での就業が副業の位置づけとなっているため、風俗産業で働く期間も数ヶ月程度と非常に短い。ある程度、お小遣いを稼いだら、すぐに風俗産業で働くことを辞めてしまう。風俗産業で働く女性の平均年齢も23.4歳と若い。

その一方、地方圏の風俗産業で働く女性の場合には、道徳的な苦痛を伴いながらも、高収益が得られるという理由から、やむをえず、風俗産業の世界に入ってくるケースが少なくない。10代で結婚して、その後にシングルマザーとなった女性が、子供の養育費を稼ぐために、仕方なく風俗産業で働いていることもある。

地方圏では、雇用機会が少なく、賃金水準も低い水準に抑制されているため、風俗産業が、生活に困窮する女性たちにとっての雇用の受け皿になっている側面がある。風俗産業が主な仕事、収入源になっていることが多いため、風俗産業で働く期間についても、「3年以上」と回答する女性の割合が高いという特徴がみられる。風俗産業で働く女性の平均年齢も29.4歳と、東京圏に比べると高くなっている。

風俗産業が地方圏の女性たちにとって、重要な就業先のひとつになっているので、職場における待遇は、東京圏の風俗産業と比べるとあまりいい条件であるとはいえない。これは、仕事を失うことを恐れて、多少待遇が悪くても、それについては目をつぶって我慢をする女性が多いからである。

家計を維持するためにやむを得ず性風俗産業に入ってくる地方圏の女性と、自分が遊ぶための小遣い欲しさに風俗産業に入ってくる東京圏の女性の間にはモラルの面で大きな差異が生じているといえるだろう。

今後も、地域間の格差は拡大していくとみられることから、地方圏の女性たちにとっては、地元の風俗産業が就業先としての重要性を増してくることが予想される。


プロフィール:
門倉貴史(かどくら・たかし) 1971年生まれ。エコノミスト。BRICs経済研究所代表。専門は、日米経済、アジア経済、BRICs経済、地下経済と多岐にわたる。オフィシャルサイト:門倉貴史のBRICs経済研究所


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