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日本株、買わない理由が見当たらない

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(1)  歴史的産業革命勃興、主役交代顕著な米国

歴史的産業革命の只中に

人類はいまや歴史的産業革命の只中にあることが、株式市場に顕著に表れている。

IT、スマートフォン、クラウドコンピューティングなどの革新的技術が、グーローバリゼーションを巻き込み、空前の生産性向上をもたらし、労働投入、資本投入の必要量を著しく低下させ、企業収益の顕著な増加をもたらしている。エリック・ブリニョルフソンMIT教授、アンドリュー・マカフィー氏は著書「The second machine age」で第二の産業革命が到来していると主張している。200年前の第一次産業革命は、動力の発明により人間の筋肉労働が機械に代替され、飛躍的な生産性の上昇、経済発展と生活水準の向上をもたらした。

今進行している第二の産業革命は、情報通信機器、システムの発明により、知力、頭脳労働が機械によって代替されようとしていると述べている。

米国株式市場で顕著な主役交代

この時代の主役がインターネットプラットフォーマーである。今や人類経済の新段階を画するインターネットインフラの創設と運営、活用を基盤とした多くの新ビジネスモデルは米国発である。世界中のインターネットプラットフォーマーは政府による保護育成がなされている中国を除いてすべて米国企業が独占している。5月末の世界株式時価総額のトップ5は、アップル、アルファベット(グーグルの持ち株会社)、マイクロソフト、アマゾン、フェイスブックの米国ネットインフラ企業である。

10年前のトップ5は、エクソン、GE、マイクロソフト、シティグループ、ATTとマイクロソフトを除き銀行、石油、通信、電機などの戦前からの伝統的優良企業であったことと比べると、米国株式市場内において顕著な主役交代が起きていることが明白である。

主役交代の好例は、米国自動車企業の株式時価総額において、わずか13年前に設立された新興電気自動車専業のテスラモーターズ(2016年7.6万台販売)が販売規模100倍を超える既存のGM 、フォードを抜いてトップに踊り出たことであろう。このことは自動車の将来が電気自動車であり、それによるビジネスモデルの大転換が必至であり、大転換の旗手は既存メーカーではなくしがらみのない新興テスラであることを、いち早く資本市場は織り込んでいるのかもしれない。

今月に入ってから株価不振の責任を取ってGEのイメルトCEOやフォードのフィールズCEOが退陣したが、まさしく主役企業の栄枯盛衰が如実である。

将来の青写真が株式時価総額に

シュンペーターは、「銀行家は新結合の遂行を可能とする経済の指揮者である」と述べ、銀行による融資がイノベーションを通して将来社会の青写真を描くと主張しているが、銀行の融資ポートフォリオが資本配分を決めていたのは過去の話、現在の米国では株式市場が時価総額構成の大幅な変化を通して、将来の青写真を作っている、と言える。時価総額トップに立ったテスラモーターズは、それによって与えられる資本力を動員して、新ビジネスモデルを追求していくであろう。

(2) 日本でも主役交代中、技術品質優位のグローバルニッチプレーヤー台頭へ

古い主役衰弱顕著な日本

これに対して日本の場合、2017年5月末のトップ5企業はトヨタ、NTT、NTTドコモ、ソフトバンク、三菱UFJ銀行と、ソフトバンクを除けばみな、昔からの殿様企業であり、10年前と全く変わっていない。しかし各社の時価総額は2割以上減少している。主役交代が起きないままで、主役の勢いが衰えているのである。

新興プレーヤー台頭中

だが失望には及ばない。中堅中小企業で、新たなプレーヤーが育っている。ITバブルのピーク直前である1999年年末以降2017年5月までの17年間余りの間に、TOPIXは8.9%下落したが、それはもっぱら最も規模の大きいTOPIXコア(30社)が55.0%と大幅に下落したため。それ以外ではTOPIXラージ(70社)指数が+6.7% 、TOPIX中型(400社)指数が+67.9%、TOPIX小型株指数が+121.5%といずれもプラスである。

この間の米国S&P500指数はドルベースで+64.2%、円ベースでは+77.7%であるから、TOPIX小型株のパフォーマンスが圧倒的である。目立たないが日本にも主役交代の時代が訪れているのである。技術革命は全企業にビジネスモデルの再定義を求めており、しがらみの少ない中小企業が圧倒的に有利である。

日本はハイテクコアで敗退しニッチで圧倒的強み獲得、価格支配力強まる

今やハイテクのグローバルメガプレーヤーは、米国、中国のインターネットプラットフォーマーと韓国サムスン電子、台湾TSMC、鴻海精密工業、中国のファーウェイ(華為技術)と、米国以外では韓・台・中企業に占められ、日本企業は全く埒外となってしまった。世界的ハイテク株ブームにメガプレーヤーを欠く日本株が取り残されているのは、当然と言えるかもしれない。

しかし、メガプレーヤーを支える基盤技術、周辺技術の圧倒的部分を日本が担っているのも事実である。この基盤・周辺分野は一つ一つの商品分野はニッチ・小規模であるが、価格競争が及びにくく技術優位と価格支配力が維持しやすい分野である。国際分業において日本がハイテクニッチハード部門でプレゼンスを築いたことが、日本の企業収益回復に圧倒的に寄与している(図表4)。日本のハイテク製造業は大企業であっても多数のニッチ基盤、周辺技術分野に特化しているのである。

日本企業はかつて高い価格競争力により、世界のハイテク製造業市場を席巻したが、貿易摩擦・円高と、韓国・台湾・中国など台頭によりそのプレゼンスを奪われた。しかし価格競争から抜け出し(敗退し! )技術、品質優位のニッチ分野に特化することで収益回復を果たしている。

それはどのような分野なのか、一つの例としてエレクトロニクス分野を取り上げる(図表5)。日本はデジタルの中枢である半導体や液晶テレビ、スマホ、パソコンなどの最終製品で完敗したが、それは完全に価格競争で太刀打ちできなかったからである。

ではデジタル中枢でプレゼンスを失った日本が一体どこで生き延びているかと言えば、それはデジタル(脳)が機能するためのインターフェース、つまりインプットインターフェースとしてのセンサー(目、耳、鼻、舌など)、アウトプットインターフェースとしてのアクチュエーター(いわば筋肉、例えばモーター)である。またデジタル中枢製品のための素材・部品・装置などである。ここでは多様な技術的差別化が求められ、素材や仕組みなどを駆使して日本の得意分野である擦り合わせが有効に働く分野である。

日本企業はこうしたポジションにシフトすることで、価格競争から脱して技術や品質の優位な分野にビジネスモデルを特化させている。このビジネスモデルはおそらくサービス業やその他の分野においても当てはまることであり、ここに日本の強みがあると言える。この先インターネットが更に普及し、人間の自由な活動を引き起こす。そこで求められるものはより高い品質・技術の財・サービスであり、その提供に日本企業は強みを持っている。

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