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日本版カジノ施設の面積規制についての考察

さて、我が国における統合型リゾート導入論議では、これまで様々な局面において全体開発面積の数パーセント程度にカジノフロア面積を制限すべきなどという主張がなされてきたわけですが、先日のIR推進会議において、我が国における統合型リゾート規制をシンガポールに倣いフロア面積の「絶対値」による規制に変更する、などという方針が示されました。

本日はこの方針変更に対する影響について言及してみたいと思います。

本論を展開するにあたっては、大前提として今回示された比率制限から絶対値制限への移行は官僚による勝手な解釈から生まれたものであるという点を確認する必要があります。そもそも、これまで我が国のカジノ導入論の中で語られてきたカジノフロアの比率制限は、我が国で開発される統合型リゾートがカジノ施設に偏重した開発にならない為に全体比率に対する制限をかけるべし、とする発想から生まれたものであります。

一方、今回政府側から示された絶対値による面積制限は、上記のような考え方とは全くそぐわないものであって、明後日の方向から涌いて出てきた方針であります。官僚サイドはこの絶対値による規制への変更に関してどのように説明をしているかというと、以下のように論じているわけです。以下、IR推進会議資料からの転載。
「ギャンブル等依存症予防等の観点から、特定複合観光施設区域の数を厳格に少数に限る」旨を求める附帯決議は、実質的には、賭博場であるカジノ施設の数を制限する考えによるものと考えられる。その趣旨に照らすと、特定複合観光施設の規模の拡大に比例して、カジノ施設の規模が無制限に拡大することは避けるべきである。
昨年末のIR推進法の成立時に付帯決議で定められた「カジノ施設の数を制限する考え」に照らすと、統合型リゾートの規模の拡大に比例してカジノ施設が無制限に拡大することは避けるべきだ→よって絶対値による面積上限が定められるべきだ、とする論理展開であります。

ただ、残念ながらこれは官が付帯決議の背景にある考えを正しく理解せず、勝手に解釈拡大した結果出てきているものであるとしか言いようがありません。

そもそも我が国に導入される統合型リゾートの「施設数」に対する制限は、「曝露説」と呼ばれるギャンブル依存に対する社会的リスク評価に関する理論を前提として語られてきたものです。曝露説とは、市民のギャンブルサービスに対する到達容易性(accessibility)や入手容易性(availability)が高まるにつれて、社会のギャンブル依存リスクが高まるとする説です。

この説を論証する調査はギャンブル業界界隈においては伝統的に多数存在しているわけですが、基本的にこの種の調査というのはギャンブルサービスに対する1)空間距離、もしくは2)接触時間を中心にギャンブル依存の発生リスクとの関係を論証したものであり、供給されるギャンブル施設の「規模」との関係を示唆したものではありません。

少なくともこの曝露説の立場からすれば、国民のカジノ施設に対する到達容易性を制限する為に国内に設置される統合型リゾートの施設数を制限すべしとするIR推進法の付帯決議に対しては一定の道理はあるわけですが、その施設規模をも合わせて制限すべしとする官側の方針に対してはなんら論証されていない。

そういう意味では、今回の日本の統合型リゾートにおける絶対値による面積制限規定は、官側が完全に根拠なく拡大解釈をしたことで突然降って涌いてきたものであり、IR推進法の付帯決議の背景にある基本的な考え方からは大きく外れた方針であるといえます。

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