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ソニーが"エレキ復活"を強調しすぎる理由

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業績の浮き沈みが激しかったソニーが変わりつつある。平井社長は、今期の営業利益は過去2番目の高水準となる5000億円を見込み、来季以降も継続して稼げる体制になっていると強調する。だが、その復活は本物なのだろうか。元ソニー社員でジャーナリストの宮本喜一氏が問う――。


平井一夫・ソニー社長兼CEO

■金融、プレステが利益を稼ぎ出す

5月23日、品川のソニー本社で開催された同社17年度経営方針説明会の冒頭、ソニーの平井一夫社長兼CEOはエレクトロニクス・ビジネスが好転し、今後継続して利益の出せる体制へと復活したことを強調した。

その復活の象徴として挙げたのがテレビ事業だ。2004年度から10年間で累計8000億円の赤字を計上していたが、2014年度には黒字転換。この年以降3年連続で黒字となり、昨年度の利益率は5%を確保した。高付加価値製品への転換を進めた結果、テレビ一台あたりの単価は、2014年度5万7000円だったものが2017年度には1万円改善し6万7000円へと上昇する見通しだという。

これまでソニーの連結営業利益は1997年の5257億円が過去最高だった。平井社長はこの説明会で、今期の連携営業利益5000億円の達成について「通過点にすぎず、持続的に発展してきたい」と述べ、継続的に5000億円規模の利益を稼いでいくことを強調した。

周知のように、ソニーの業績はこれまで激しい浮き沈みを繰り返してきた。5000億円規模の利益を連続して稼ぎ出したことはない。果たして今、平井氏のコメントをそのまま受けとって、「ソニーのエレキ事業は復活した」という評価をくだしてもいいのだろうか。

昨年度、実際の稼ぎ頭となっているセグメントがどこかを見てみよう。

稼ぎ頭の筆頭は金融セグメントで、その営業利益は1664億円。次いで1356億円を計上しているのがプレイステーションを核とする「ゲーム&ネットワークサービスセグメント」。この一方で、平井社長が強調するエレキ事業を担うふたつのセグメント、である「イメージング・プロダクツ&ソリューションズ(IP&S)」と「ホームエンターテインメント&サウンド(HE&S)」は、両セグメントを合計してやっと営業利益1058億円。

これらの営業利益の数字に水を差しているのが、映画、コンポーネントの両セグメントで、両者合計の赤字額1409億円。これは、エレキの営業利益では補いきれない金額だ。

こうした数字を見る限り、ソニー全体のビジネスを支えているのは、エレキよりも金融とゲームだと言ってもそれほど間違いではないだろうというのも(両セグメントの売上高は合計で2兆7373億円、同社の全売上高7兆6033億円の3分の1強という計算だから)、売上規模が全体の3分の1を占めるセグメントで残りの3分の2の事業を支えていることになるからだ。

今回の経営方針説明会は、「金融とゲームという印象を避け、エレキの存在感を際立たせたい」というのが、その目的だったのではないか。こうした受け止めをしたのは筆者だけなのだろうか。でなければ、平井氏が冒頭でテレビ事業の"黒字転換"を訴えるようなこともないだろう。

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