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『貴族探偵』は“神ドラマ”なのに月9なのがイカン――青木るえか「テレビ健康診断」 『貴族探偵』(フジテレビ) - 青木 るえか

『真田丸』そっくりだ。内容じゃなくてネットの盛り上がり方が。放映直後からツイッターとかでハッシュタグつけて「あの場面にはこういう意味が!演出が神!」とか怒濤のように流れる。登場人物が魅力があり話が面白く演出が素晴らしく、深い意味があり、その意味がわかんなくても面白いしわかったらもっと面白い神ドラマ! そんな神ドラマなのに視聴率のほうは盛り上がらない『貴族探偵』。

 で、見るとほんとに『真田丸』だ。出演俳優の大ゲサな顔芸でオトしてみせてそのあとカッコイイ行動でドキッとさせるとか、セットも衣装も演技もクドく作り込みすぎてるところとか。ドラマというより演劇ちっくな世界が。

 でも大河と違って基本一話完結で事件を探偵が推理する……のだが、この話の探偵は名前すらわからない謎の「貴族」であって推理なんてことは使用人にやらせてただ貴族っぽく座って紅茶飲んでるだけ。「何もしない」ことに意味があるらしいので、その風変わりな設定を表現するために必然、あらゆることのクドさが増して『真田丸』以上に胸焼けする(そういや真田信繁もたいがい「コイツ何もしないで覗いてばっか」と言われてたもんだが)。


「貴族探偵」出演者(左から)井川遥、生瀬勝久、武井咲、松重豊、中山美穂、滝藤賢一 ©スポーツニッポン新聞社/時事通信フォト

 あまりのことに、原作本を買ってきて読んでみてさらに驚いた。テレビのままだよ原作! これノベライズかよ! と思うほどテレビのあの世界が本の中に。テレビの中でさっぱりわからなかった貴族探偵氏の人物像、本の中でもそのまま。てっきり「なぜこうなった」と原作ファンが怒ってるかと思ったら。この貴族探偵氏の謎の存在感(の無さ)をテレビはばっちり表現してたのか。ああ、これは原作ファンがこのドラマに胸を熱くするのはよくわかる。逆にこの原作が「なんだこりゃ」な人にはドラマはついていけないかも。畳み掛けるように、メイドが中山美穂に執事が松重豊に運転手が滝藤賢一。刑事に生瀬勝久って。「ついてこれる人だけついてこい」のドラマで、これ月9なのがイカンのだと思う。毎週月曜日は『とくダネ!』でテコ入れ番宣やってるが、やればやるほど逆効果なような。

 で、貴族探偵役の相葉雅紀。アップがよく映る。相葉くんの顔をこんなによく見たことはなかったが、これだけ見せられると、誰かに似ていることに気づく。あ、三笠宮崇仁(たかひと)親王(昭和天皇の弟さん)の若い頃だ。貴族顔なんだ。だからこの役には合ってるのだ。

▼『貴族探偵』
フジテレビ 月 21:00~21:54

(青木 るえか)

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