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【読書感想】東芝解体 電機メーカーが消える日

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東芝解体 電機メーカーが消える日 (講談社現代新書)

東芝解体 電機メーカーが消える日 (講談社現代新書)


Kindle版もあります。

東芝解体 電機メーカーが消える日 (講談社現代新書)

東芝解体 電機メーカーが消える日 (講談社現代新書)

内容紹介
巨大な負債を抱え、会社解体の危機に喘ぐ東芝――いや、東芝だけではない。かつて日本企業を代表する存在だった総合電機が軒並み苦境に陥っている。東芝・ソニー・日立ほか大手8社の歴史や経営を詳細に分析することで日本の総合電機がはまった巨大な陥穽を描く。名著『失敗の本質』総合電機版とも言える1冊。

 なぜ日本の電機メーカーは、海外メーカーに負け続けているのか?
 品質はすぐれているはずなのに……
 東芝の粉飾決済は恥ずべきことだけれど、東芝の製品そのものは、けっして悪くないはず。
 ただ、あらためて考えてみると、あんな粉飾をしなければならないくらい、業績が悪化していた、というのも事実なんですよね。

 僕は、日本の家電量販店で見かける、日本以外のアジア企業の製品に、値段は安いけれど、デザインは今ひとつだし、機能も少ないし、「安かろう悪かろう」という印象を持っていました。
 著者は、この本の冒頭で、そんな日本の電機メーカーに対する贔屓目をばっさり斬っています。

 まずは世界の電機産業の「新」であるアジア企業と、「旧」である日本企業との差を確認しておきたい。
 2014年度、東芝の売上高は6兆6559億円だが、白物家電に限れば2254億円。これに対して美的集団(中国の家電メーカー)は2014年、白物家電だけで2兆7600億円を売り上げている。白物家電メーカーとしては、すでに美的集団は東芝の10倍以上の存在になっているのである。

 英調査会社ユーロモニターのデータによると、「マイディア」ブランドを展開する美的集団の白物家電市場における世界シェアは4.6%で、オランダのフィリップスに次ぐ世界第2位。東芝の家電事業を飲み込むことで、首位の座をうかがう。ちなみに東芝のシェアは0.5%未満だ。

 日本ではほとんど見かけない「マイディア」は、どこでそんなに売れているのか。
 美的集団5000円台の電子レンジ、1000円台の炊飯器が得意で、ホームグラウンドの中国では「安くて壊れない」と評判だ。単身者向けマンションに備え付けられていることが多い。

 1000円台の炊飯器と聞けば、日本人は「安かろう悪かろう」と思いがちだが、余分な機能を削ぎ落としているだけで、炊飯器としては十分役に立つ。余分な機能がない分、壊れにくいという利点もある。何より注目すべきは「5000円台の電子レンジ」や「1000円台の炊飯器」が、現在の世界の白物家電市場では「主戦場」であるという現実だ。中国、インド、東南アジアや南米で白物家電を売るなら、この土俵に乗るしかない。

 東芝の電子レンジ「石窯ドーム」の売れ筋は2万〜3万円。最上位機種は約18万円である。世界を狙う価格帯からは程遠く、「浮世離れ」した価格設定と言わざるをえない。日本製品のガラパゴス化が起こっているのは携帯電話だけではない。

 頼みの綱であるはずの国内市場であっても、国際標準からかけ離れた値段の家電がいつまでも売れるとは思えない。東京都世田谷区の二子玉川にある蔦屋家電。感度の高い消費者が集まるファッション性の高い売り場では、パナソニックの冷蔵庫の隣には東芝ではなくハイアールの冷蔵庫が置いてある。秋葉原のヨドバシカメラのテレビ売り場では韓国LGエレクトロニクスとサムスン電子の液晶テレビが一等地を占めている。

 いくら品質がよくても、電子レンジや炊飯器にそんなに高いお金は出せないよ、という人たちが、いまの世界の購買層の多くを占めているのです。
 「安くて壊れない」というのを聞くと、「安い」はさておき、「壊れない」というのは、当たり前のことではないか、と思うのだけれど、「とりあえず最低限の機能があって、安くて壊れなければ十分」という人に、いかにアプローチしていくかが、現在の世界の趨勢なのです。
 先進国の人たちには、よほど画期的な製品でもなければ、劇的な家電の需要は望めません。

 著者は、シャープが台湾のホンハイに買収された件に関しても、起こるべくして起こったことだと考えているようです。

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