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雑誌が“休刊”するとき

http://sankei.jp.msn.com/culture/books/091026/bks0910261352002-n1.htm
「小学五年生」「小学六年生」が休刊 小学館(産経新聞)

http://mainichi.jp/select/wadai/news/20091026k0000e040071000c.html
↑小学館:「小学五年生」と「小学六年生」今年度で休刊(毎日新聞)

http://www.asahi.com/culture/update/1026/TKY200910260317.html
↑「小学五年生」「小学六年生」休刊へ 小学館が発表(朝日新聞)

すでに一昨日の報道になってしまいますが、遅まきながらここでもとりあげたいと思います。昨日はテレビのニュースにもなりましたのでご存じの人も多いと思うんですが、小学館の老舗学習雑誌「小学五年生」「小学六年生」の休刊が発表されました。

ここ十数年は部数低迷が伝えられていましたので、この出版不況下では予想された事態とはいえ、いざ休刊となるとインパクトがあります。今回休刊が発表されたのは「小学五年生」「小学六年生」、それと少女マンガ誌の「ChuChu」ですが、これで事態が収拾すると考えるのは早いと思います。ひとまず無事だった「小学一年生〜四年生」も、決して楽観できない状況だと思われます。


小学館は、大正11年の創業以来、学年誌を看板にして成長してきた出版社です。近年は出版不況と少子化のあおりを受けて伸び悩んでいたとはいえ、これを休刊するということは、会社のアイデンティティに関わる重大事だといえるでしょう。たとえていうなら株式会社文藝春秋が月刊誌「文藝春秋」を休刊するようなものであり、任天堂が花札やトランプを製造しているかるた工場を閉鎖するようなものであり、文明堂がカステラ販売を中止するようなものであります。つまり、それくらい、切羽詰まった事態ではないかと思います。

不採算部門をリストラして会社を建て直すことは経営のイロハだと思うんですけど、現在の出版界が置かれている状況は、それこそマンガを含めた出版それ自体が不採算部門と化しているということで、それはつまり出版そのもののあり方を大幅に見直すことにしか解決策はないということであり、今の出版社にそれがどこまでできるのかということであります。場合によっては“紙”メディアを縮小して電子メディアに移行しなければならないでしょう。

実際、大手版元も年度末までには続々“ケータイマンガ配信”に本格進出すると聞いております。しかし、現在の社員配置は“紙”に特化した人たちで占められていますので、「電子メディア進出」が、今後どこまで成功するかは未知数です。しかし、未来があるとすれば、そこにしかないでしょう。

以上は小学館に限ったことではありません。講談社も集英社も、他の版元も、ことごとく似たり寄ったりの状態ではないかと思われます。

以前も書いたと思いますが、60〜70年代の日本映画界も深刻な不況に見舞われ、それまで社員として雇っていた監督や俳優を独立させ、共同制作という形で事実上のリストラ・リスク分散を行いました。それでも足りずに駅前の一等地に映画館を所有する強みを生かして不動産業に業務拡大することでかろうじて生き延びた経緯があります。

実は小学館や講談社もとっくの昔から不動産部門を持っていて、それでなんとか会社を維持していたと仄聞するのですが、いよいよ不採算部門の本丸である出版部門の見直しを図らねばならないといったところでしょう。

http://takekuma.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/post-523f.html
↑町のパン屋さんのような出版社

http://takekuma.cocolog-nifty.com/blog/2009/08/post-cbb2.html
http://takekuma.cocolog-nifty.com/blog/2009/09/post-d6cf.html
↑竹熊くん、“紙”はもう、ダメだよ

俺はすでに、何度も「出版不況・マンガ不況」に関するエントリをあげております。お読みになっていない読者は、とりあえず上に掲げたエントリをお読みください。発表の時期は前後しているのですが、出版が置かれている現状認識については「竹熊くん、“紙”はもう、ダメだよ」に、ではどうすればいいのかは「町のパン屋さんのような出版社」で、おおむね書いたつもりです。「マンガ不況」と、そこに起因すると思われるマンガ家と編集部のトラブルに関しては以下のエントリ集をお読みになってください。

http://takekuma.cocolog-nifty.com/blog/2008/06/post_4da3.html
http://takekuma.cocolog-nifty.com/blog/2008/06/post_15c0.html
http://takekuma.cocolog-nifty.com/blog/2008/06/post_e699.html
http://takekuma.cocolog-nifty.com/blog/2008/06/post_e699_1.html
http://takekuma.cocolog-nifty.com/blog/2008/06/post_1ff3.html
http://takekuma.cocolog-nifty.com/blog/2008/06/post_fbbd.html
http://takekuma.cocolog-nifty.com/blog/2008/06/post_f44d.html
http://takekuma.cocolog-nifty.com/blog/2008/06/post_1021.html
↑マンガ界崩壊を止めるためには(全)

とりあえず今回は、報告だけにとどめます。事態は未だ始まったばかりです。この動きが、一体どのレベルで「止まる」のかは不明です。しばらくは様子を見ることしかできませんが、何かあればここに書いていくつもりですので、おつきあいくだされば幸いです。

最後に、おとといの話です。俺は小学五年生・六年生の休刊を、京都精華大学の自分の研究室で知りました。たまたま特任教授の六田登先生が教員控え室にいらっしゃいましたので、ネットニュースをプリントアウトして見せに行きましたところ、プリントアウトを見た六田先生が、一言、

「小学六年生は、僕がデビューした雑誌なんだよ…」

とポツリとつぶやかれ、それからしばらく無言で記事を見つめておりました。

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