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結局人生は愛こそすべてなんですよ 色々悪口言ったりケンカしてきた結果それしか結論はない

 哲学者・適菜収さんとの対談本、『博愛のすすめ』が発売されました。昨年の初夏から6回にわたって新宿のビアホールで話したことをまとめた本です。途中、担当編集者が亡くなったり色々ありましたが、無事刊行となりました。このブログでは「愛」について書いてみます。

博愛のすすめ博愛のすすめ [単行本(ソフトカバー)]
中川 淳一郎
講談社
2017-06-14




 私は人生は「愛」によってまわるものと考えております。愛がなければコミュニケーションさえ成立しない。だから愛は重要なのです。その「愛」というものは、ほんのちょっとでいいんです。それさえあれば、殺し合いも起きないし、誰かをハメて転落人生を送らせよう、なんてことは考えない。

 私自身、貧乏なフリーライターだった時代は正直愛はなかったと思います。同世代の仕事を取っているライターが全員死ねば、私に仕事が回ってくると考えていた節がある。しかし、これはあまりにもおかしな考え方です。というのも、ライター・A氏が死んだことにより、私に3万円の仕事がまわってきたとしましょう。 私にとっては3万円の臨時収入となりますが、A氏の周辺の人からすれば、3万円どころではない損失と喪失感があるわけです。

 そこで「別にオレはAのことなんてどうでもいいし、3万円もらえたらからヤツの命はオレには役立ったな」と思うことは絶対にいけない。どんな人間も各々が博愛精神をもって存在できる場においては尊い存在なわけです。

 イギリスで高層マンションの大火災があった。これに心を痛める自分がいる。911テロ、東日本大震災、阪神大震災、フランス・シャルリー・エブドの襲撃事件、相模原殺傷事件、松本サリン事件…これらに心を痛める自分がいる。しかし、四川の大震災や、パキスタンの大地震には他人事だった自分がいる。

 愛を与える存在というのはあまりにも主観的であり、シリア難民の欧州への脱出の際も結局は一人の男の子の遺体写真が全世界に公開されるまで、人々は彼らに対して愛をもって接していなかったのかもしれない。と考えると、愛というものは偶発的なものであるし、ごく感情的なものである。そして、愛を抱くか抱かぬかについては、誰もが批判をしてはならない。
 
 その人がこれまでどんな人生を送ってきたのか、や、対象物の衝撃なども踏まえ、その時々に愛を発揮するかしないかを判断しているのです。しかし、現在のネットが普及した状況下、愛を与えるか与えないかで各所で諍いが発生している。

 本来愛というものは極個人的なものだったにもかかわらず、社会の規範に合わせないといけなくなってしまった。ここで発生するのは、考えが相容れない人のことも考慮したうえで、当たり障りのないことを言うという閉塞的な言論空間である。

 今回『博愛のすすめ』では、分かり合えないヤツはもう捨て置け。分かり合えるヤツには全面的に愛情を示せ、といったことを適菜さんと話し合いました。だから、自分は今現在仕事をくれている人、友人には全面的に愛情を注ぎます。一方、キライなヤツや敵対する連中に対しては「お前のことを愛する人々をもっと大事にしろ。オレなんかに構うんじゃねぇ、うんこ食ってろ」と0.2%程度の愛をもって接したいと考えております。

 皆さまも「愛を注ぐべき対象」についてはきちんと吟味してくださいませ。


博愛のすすめ博愛のすすめ [単行本(ソフトカバー)]
中川 淳一郎
講談社
2017-06-14

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