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【ロンドン火災】死者17人に 首相は完全な公開調査を命令

グレンフェル・タワーの内部

ロンドン西部の公営住宅で14日未明、24階建て127戸のタワー棟から出火し、大火災となった。少なくとも17人が死亡し、多数が行方不明となっている火事について、テリーザ・メイ英首相は15日、事実関係の完全な公開調査を指示した。シリア難民の23歳男性が、犠牲者として最初に名前が公表された。焼失したアパート内で生存者は発見されていないため、犠牲者の数は今後増える恐れがある。

メイ首相は、なぜ炎があっという間に燃え広がったのか、住民は「答えを得る権利がある」と述べた。

ロンドン警視庁のスチュアート・カンディー警視長は、犠牲者のうちこれまで6人について身元を確認できたが、「残念ながら全員を確認できない恐れがある」と話した。また死者数については「3ケタでないことを祈るが、人数については答えられない」と述べた。

ロンドン消防庁のダニー・コットン消防総監は15日朝、全階を一通り調べたものの、建物の「かなりの部分」ではまだ詳細な調査が実施できていないと話した。出火原因はまだ不明という。

火災は深夜零時過ぎに発生したため、住民の多くは自宅内にいたものとみられている。消防当局は65人を救出したが、多くは炎や煙のため室内に閉じ込められたもよう。30人が今でも入院中で、15人は重体という。

エリザベス女王は、被害者と家族に「思いと祈りを寄せている」と話した。

シリアを逃れて英国で……

民間支援団体「シリア連帯キャンペーン」は15日、シリア難民で土木工学の学生だったモハメド・アルハジャリさん(23)が亡くなったと発表した。犠牲者の名前が公表されるのは、アルハジャリさんが初めて。

団体によると、モハメドさんは15階で兄のオマルさんと住んでいた。一緒に逃げようとしたが、地上に降りる途中ではぐれてしまった。オマルさんは消防士に救出されたが、モハメドさんは自室に戻り、シリアの家族に電話しようとしたという。

「モハメドは救出を待ちながら、シリアにいる友人と2時間、電話で話していた。家族と連絡をとろうとしていたのだが、現地の状況のせいで通じなかった。4年前から家族と会っていない。炎が迫ってくるのを見て、モハメドは友達に別れを告げた。家族にも伝えてほしいと友人に伝言を託した」と団体は説明した。

「モハメドは戦争と死から逃れてシリアを出て、この国に来たのに、死はよりによって自宅で彼を襲った」、「モハメドは安全を求めてこの国に来たのに、英国は彼を守らなかった」と支援団体は指摘している。

与野党首脳が現地を視察

15日にはメイ首相がグレンフェル・タワーの現場を視察し、ダニー・コットン消防総監や救急隊員たちの話を聞いた。

首相は「炎は予想外に急速かつ激しい勢いで建物全体に燃え広がったと説明を受けた。ならば、通常の火災報告や、必要に応じた警察の捜査に加えて、なぜこうなったのか完全な公開調査が必要だ」と話した。

首相官邸は、原因調査は裁判官が主導することになると確認した。BBCのノーマン・スミス政治副編集長によると、政府は「間もなく」、担当判事の名前を公表する意向という。

英政府はこれまでに、大衆紙の盗聴問題やイラク戦争参加の経緯などについて、公開調査を開いてきた。通常は政府が責任者を指名するものの、政府から独立して行われ、公聴会はテレビ中継されることもある。裁判官が主導し、証人には宣誓証言が求められることもあるが、形式は定まっていない。最終報告書が発表されるまでに、数年と数百万ポンドの経費がかかることもある。

野党・労働党のジェレミー・コービン党首も現地を訪れ、被害に遭った住民たちに話を聞き、住民団体の代表たちに「真実を明らかにしなくてはならない」と伝えた。

ロンドンのサディク・カーン市長もグレンフェル・タワーを訪れ、大規模修繕を終えたばかりのタワー棟の修繕が安全だったのかどうかを、原因調査で究明する必要があると述べた。

労働党のハリエット・ハーマン議員(ロンドン南部選出)は、メイ首相が現場で住民と話をしなかったことを批判。議員はツイッターで、「被害者と会うべきだった。被害者の話を聞くつもりでいるべきだった。テレビ経由で話をするだけでは駄目だ」と書いた。

BBCのローラ・クンスバーグ政治担当編集委員によると、首相が被害者たちを訪問しなかったのは正しい判断だと首相側近たちは考えているという。

「邪魔になりたくなかったし、救急作業に支障をきたすようなことにしくなかったのだという。それに正直言って、テレビカメラに張り付かせて一挙手一投足を追わせるというのは、まったく首相のやり方ではないので」

しかし、こうしたい大災害の現場では「本物の共感力の表現」が必要になり得るため、首相スタッフのこの判断は「誤算だった」ということになりかねないと、クンスバーグ記者は指摘した。

総額860万ポンド(約12億円)の大規模修繕工事を担当した建築会社「ライドン・コンストラクション」は、公開調査の発表を歓迎するとコメント。同社はこれまでに、火災発生に「衝撃を受けている」と述べる一方、修繕工事はすべて「必要な建築基準や防火基準、健康安全基準を満たしたものだった」と説明している。

「グレンフェル・タワー」の管理は、地元ケンジントン・チェルシー行政区から委託され、ケンジントン・チェルシー管理団体が担当している。同団体は、被害者に「心から誠心誠意の追悼」を寄せるとコメントし、現在は行政区と共に住民に支援を提供することを最優先していると発表した

アロク・シャーマ住宅担当政務次官は、「すべての世帯に、同じ地域内で住宅を提供するため」政府として地元当局と協力していると話した。

ニック・ハード警察・消防担当政務次官は、「国民的悲劇」だと述べ、「鈍重な官僚主義が入り込む余地はない」と強調。火災によって「大勢が衝撃を受け、心配し、怒り、苛立っているのを我々は十分に理解しているので、すべての事実を明るみに出す」と話した。

(英語記事 London fire: Prime minister orders full public inquiry

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