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行くのが楽しくなる店

百貨店と言えば凋落ビジネスの代表的存在かもしれません。日本では1992年ごろに売り上げピークを付けてから漸減状態が続き現在は当時のざっくり半分の6兆円台後半となっています。多くの百貨店がリストラに売却などその対策に頭を痛めています。

私も東京に行けば百貨店に行きます。しかし、行くところは書店であるとか、デパ地下であるとか、百貨店内に入っているニトリやユニクロであったりします。つまり、百貨店そのもので百貨店らしきものを買うのはめったになくなりました。

そんな中、先日、珍しくデパートで冷酒用猪口と銚子セットを購入したのですが、ガラガラの店内で店員は皆、私の方も向いているのですが、誰も声をかけてきません。(たぶんこのデパートはそういう主義なのでしょう。)でも目線だけは四方から感じるのです。これは薄気味悪いの何物でもありません。これかな、と思い、手にしたところでササッとその中の一人が駆け寄り、「こちらをお求めでよろしいでしょうか?」となります。

店員の声掛けがうざい、という話があり、ゆっくり店内を見て歩くという点では静かにしてもらえるのはうれしいのですが、目線という厄介な新手の敵にどう立ち向かうのか、疲れてしまいます。

この声掛け、家電量販店はかなりしつこい気がします。声をかけるくせに「この商品にしようかな」というと長らく待たせた挙句、「すみません、在庫が切れております」では売り子の資格はありません。

さて、日経ビジネスにカルチャーコンビニエンスクラブ(TSUTAYA)の特集が出ています。これは非常に興味深い内容です。同社はもともとがレンタルビデオ屋でした。しかし、今ではレンタルビデオや書籍ビジネスは衰退しつつあるビジネスの典型とされます。つまり、同社がそのまま事業転換しなければとっくになくなっていた会社かもしれません。

しかし2003年にTポイントを開始するなどで生き残りの新形態を模索します。そして行きついたのが「ネットで提供できないものを売る」でした。そこには発想の転換が見て取れます。「一つの答えとしてCCCは店舗で様々なイベントを展開する。モノを売るのではなく、ライフスタイルを売る」(増田宗昭社長)そこでは増田社長のこだわりと果てしない挑戦が続くのでしょう。私はそのチャレンジを多くの百貨店や家電量販店は見習ってほしいと思うのです。

かつて私は百貨店のど真ん中に休憩所やイベント会場を作った方がよい、と申し上げました。だだっ広い百貨店の最大のデメリットは「探すのに疲れる」であります。なのにベンチは片隅のトイレの前など目立たないところに追いやられています。私は発想が逆だと思うのです。百貨店のど真ん中でベンチを作り人が集まるところを作り、イベントをやり、来たくなる店づくりをしなくてはいけないのに誰もそれをやりません。

今、日本にモノは溢れかえっています。ものだけを購入するならネットで十分。ですが、行きたくなるような場所があれば話は別です。これも以前指摘しましたが、池袋のサンシャインシティは昔は寂れたところで巨大なゲーセンがあったようなところです。それがイベントを中心に水族館、プラネタリウムなど人を寄せ付ける魅力を投入し、駅から雑踏をかき分け15分も掛かるのにごった返す一大商業地域と変えたのです。駅に連結している東武、西武という巨大百貨店を尻目にしている点にも注目しています。

秋葉原も電気街のオタクの集まりではなく、AKB劇場やメード喫茶の発祥地をはじめなにか面白いことが起きそうな雰囲気があることがポイントではないでしょうか?

私は不動産を専門としますが、北米も日本も商業地域の将来について大いに疑問があります。どこにでもあるモール、何処にでも入っている店があるところにわざわざ行こうとは思いません。よほど目的意識と何かお得感か発見の期待がないと行かないでしょう。北米のモールは今後、廃れていくだろうとするレポートも存在するし、事実、アメリカでは哀れなほど閑散としているモールはいくらでも存在します。

TSUTAYAの増田社長のようにモノを売るのではなく、ひとが集まるようなところ、行きたくなるような場所を提供するという発想が小売の新時代であると思います。

商売、本当に難しくなりました。

では今日はこのぐらいで。

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