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マイクロソフトは新入社員に700万円!? 初任給は入社の決め手になるのか? - 増沢隆太(人事コンサルタント)

新卒学生に内定(内々定)が続々と出ています。これまで以上に早期化が進んだ新卒採用において、すでに複数内定を獲得した学生も珍しくなく、圧倒的売り手市場と呼ばれる今年の就活は学生優位で進んでいます。しかし入社できるのは1社だけ。どうやってその1社は決めるのでしょう。初任給の高さは大いに学生の関心を呼んでいますが・・・

■MSの衝撃


マイクロソフトディベロップメント社の新卒採用募集要項を見ると、2017 年 4 月初任給実績 基本年俸 700 万円 (基本年俸の 1/12 を月例給与として支給。) で諸手当、通勤交通費とあります。新入社員に700万以上の年収が出るということです。

新入社員の平均年収は300万を少し超えるくらいが平均です。平均の倍以上というMS社の額が飛び抜けているのは間違いありません。実際には外資系戦略コンサルタント会社や投資銀行などで、こうした新卒でも超高給な待遇は以前からありました。当然のことながら、こうした超高給職には誰もが就ける訳ではありません。

超売り手市場であっても、全国の大学生の中から選りすぐられたごく一部のエリート中のエリートが採用されている訳で、実際の就活学生ほとんどは、このようなとんでもない金額の給料をもらえることはありません。ちなみに年収700万とはMS式に12分割すれば58万。月給支給額が58万ということです。さらにこれを時給にすれば、1日9時間x22日(残業も加味)≒200時間だと時給は2,900円となります。

実際には社会保険等引かれますので手取りが58万ではありませんが、かなりのベラボーな金額であることはわかります。時給2,900円ですから。

■バイト時給と社会人の給与の違い


ちょっと現実離れした金額の世界ですが、実は大学生がこの先大いに頭を悩ませるのが「入社先選択」です。キャリアカウンセリングの申込みは、就活が本格化する1月~4月にピークが来ますが、6月過ぎにも多く予約が入るようになったのはここ数年、6月が選考開始で内定が出るタイミングになってからのことです。

かなり多くの大学生は入社先を決める際に初任給額を重視するのです。もちろんキャリア決定はプライバシーの最たるものの一つ。どんな理由でどのような決定を下すかは当然個人の主観が大事であることは言を待ちません。

私はお金の問題は、人生を考える上でもっとも大切な要素の一つだと信じていますので、お金を価値判断の基準にすることに、ビタ一文反対はありません。ただし、それを初任給という数字で判断すべきかどうかには、十分慎重であるべきと考えます。

学生であれば、アルバイトくらいしか給料をもらった経験がないのが普通です。アルバイトの時給と、社会人の給与は全くその性質が違います。特に高額な給与が期待できる大手企業などに就職するのであれば、初任給はその判断材料とはすべきでありません。入社後の変化率が大きすぎるからです。

■給与より会社の存続


かつて日本的経営の特長の一つだった年功賃金制は、バブル後の長期景気低迷で大きく揺らぎました。現在も大手企業には年功序列の人事政策は残っていますし、この先も当面は続くことでしょう。しかしこうした日本的経営の企業がどんどんなくなっていることはわかっているでしょうか。

三菱自動車や東芝といった、つぶれるなど考えもしなかった超巨大&伝統ある産業界の柱のような会社の経営が立ち行かなくなっています。あれほどの企業がだめになるということは、三菱自や東芝以下のほとんどすべての企業が、将来どんなことになるかは誰にも予想できないということです。会社が消え去る可能性はすべての企業が抱えています。

ただ、その二社の動きを見ていると、将来を予想はできずとも自らの安全を確保する道は見えてきます。結局会社は解体され、不採算部門が売り出されたり、逆に利益貢献度の高い部門の方が早々と買い手が現れたりと、会社そのものは瞬時に消え去るのではなく、じわじわと姿を変えていっています。

解体されても成果の期待できる部門には引き受け手があります。つまり東芝のような巨大企業にいるから安心なのではなく、どれだけ会社が大きくともつぶれるときはつぶれる。しかし採算の良い部門は会社がなくなっても生き残れる道があるということです。

それならば初任給に一喜一憂するより、自分が働く場所の先行き、将来性、市場性といった、本来の企業研究ですべきことを検証した方が、結局自分の人生を通じた安全を確保できることになります。知名度や規模が何の安心材料にもならないことを、こうした実例は証明しました。まして入社時の月給の多少など人生のスパンでは誤差のようなものでしょう。

無数のエントリー先すべての企業を細かく分析することは無理でも、内定を得た数社の将来を、自分の将来に照らし合わせ、真剣に研究するのはこれからの人生を選択することになります。その基準が初任給額であるはずがありません。自分のできること、就くであろう職務の生産性や将来性といった、ビジネスそのものの価値を今一度しっかり検証することがなにより大切です。

【参考記事】
■自分の時価 転職時に顧みること
http://shachosan.rm-london.com/?eid=850279
■企業寿命
http://shachosan.rm-london.com/?eid=635920
■「普段着でお越し下さい」でわかる企業体質(増沢隆太 人事コンサルタント)
http://sharescafe.net/50693231-20170220.html
■危機管理手法に学ぶ、まだ「無い内定」学生の行動規範 (増沢隆太 人事コンサルタント)
http://sharescafe.net/48987216-20160704.html
■内定辞退の作法(増沢隆太 人事コンサルタント)
http://sharescafe.net/46036751-20150826.html

増沢隆太 人事コンサルタント

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