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「混雑ぶりは変わらないが……」終焉した中国人観光客の“爆買い”

 中国からの観光客による「爆買い」ブーム。2015年の流行語大賞にもなりましたが、すでに終焉したといわれています。観光庁によると、2017年1~3月の訪日外国人1人当たりの買物支出額で、中国は前年同期より約2割減少しました。中国政府による海外購入製品への関税引き上げが大きな要因ですが、中国を含む観光客の数や消費額は増えており、インバウンド需要自体は今後も堅調に推移すると見られています。

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中国の買い物支出額は相対的に高い水準

「(爆買いブーム当時は)炊飯器を複数台抱えて、店の付近でバスを待つお客様を結構見かけました。今も店内の混雑ぶりは変わりませんが、購入する炊飯器の台数が1台になったり、化粧品やドライヤーなどお持ち帰りになる商品が以前より小さくなったりしているようですね」

 中国からの訪日客が主要顧客となっている量販店のラオックス。購入客の数こそ増えたものの、1人当たりの購入額が減少し、2016年1~12月の売上高は前年比32.3%減の627億6400万円となりました。同社の経営企画部は「爆買い効果は2016年春まで。爆買いはすでに収束しました」と話します。

 観光庁の統計でも、同じような傾向が表れています。中国からの訪日客1人当たりの四半期ごとの買物支出額は、2015年1~3月から2016年1~3月にかけて約14~17万円で推移しましたが、その後減少に転じ、2017年1~3月は前年同期比20.7%減の11万9909円となりました。

 2016年4月、中国政府は輸入品の関税引き上げを実施。例えば、高級腕時計の税率は従来の30%から60%に、化粧品は50%から60%となりました。爆買いを抑えて中国国内の消費を喚起するためとされており、この影響を受けて1人当たりの買物支出額が減ったと見られています。

 もっとも、2017年1~3月における1人当たり買物支出額2位の香港は6万1293円、3位のタイは6万359円ですから、依然として中国が突出している状況に変わりはありません。インバウンド市場に詳しい東レ経営研究所の永井知美チーフアナリストは、「ビジネスとして、日本で商品を安く仕入れて中国で販売する人は減りましたが、個人的に知人から頼まれた商品を購入する動きは続いていますし、なにより中国の人々は買い物を好む傾向にあります」として、今後も中国の訪日客がインバウンド需要を支えると見ます。

東南アジア各国、ブランド品以外が伸びる?

 訪日外国人の増加傾向は続いており、2017年1~3月の訪日外国人は前年同期比13.6%増の654万人。消費金額も同4.0%増の9679億円です。永井チーフアナリストは、政府が掲げる「2020年の訪日外国人の旅行消費額8兆円、2030年15兆円」という目標の達成は難しいかもしれないとしつつも、インバウンド需要は今後も堅調に推移すると予測。「中国にばかり目が向きがちですが、今後は人口が多く、経済発展が続く東南アジア各国(の旅行消費額)が伸びる可能性があります」。

 百貨店大手の三越伊勢丹ホールディングスの3月業績のうち、訪日外国人分野では、前年同月に比べ、購入単価が減った一方で客数は2ケタ増、売上高も上回りました。同社コーポレートコミュニケーション担当によると、以前は腕時計やブランド品が売り上げの中心でしたが、現在はその他の幅広い商品へニーズが広がっているといいます。同社では、今後も長期的にインバウンド需要が拡大すると見ています。

 観光客の需要の変化に対応した動きもあります。需要の対象がブランド品などの「モノ」から、レジャーなど体験型の「コト」にシフトしつつあるとして、ラオックスでは年内に千葉ポートスクエア(千葉県千葉市)でビュッフェレストランの開店を予定。飲食やエンターテインメントといった「コト」を提供するサービスも展開する方針です。

(取材・文:具志堅浩二)

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