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自分の成長に恐怖心がある人ほど、自ら「不利で困難なこと」を進んでやる──為末大×青野慶久

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「働き方改革」の影響で複業やテレワークが話題になっていますが、このような働き方が世の中に一気に浸透するわけではありません。むしろ、来るべき「個人の時代」への備えが必要になりそうです。

元陸上選手の為末大さんと、サイボウズ社長・青野慶久がいっしょに考えるこの対談もいよいよ佳境に。中編では、「自由に働く社員の評価軸」「共感できる理念の選択」「会社は永続するべきなのか」などのテーマについて、活発な意見が交換されました。後編では、「自己揺さぶり能力」「仕事を通じて本当に達成したいことは何か」など、さらに議論が深まります。


2017年5月23日自由や自立を求めるのって、実は残酷なんです──為末大×青野慶久「個人の時代への備え」


2017年5月30日自由に働く社員を評価するために、給与テーブルを捨てました──為末大×青野慶久「本質的に人は何のために生きるのか」

停滞を察知して自ら揺さぶりをかけられる人でないと、飛躍的な成長はない


サイボウズ 青野慶久

僕、ずっと「Googleを倒そう」と思っていたんです。

為末大

それは意外ですね。あまりそういうタイプには見えません。


サイボウズ 青野慶久

実は、競争心が強い方で(笑)。でも、今の若い人たちを見ていると、シェアリングエコノミーなんてまさにそうですが、「共創」つまり「ともに創る」ことで社会を再構成している。そこで、競争で生きてきた人は、共創できるようになるのかな? と疑問に思うようになって。

為末大

アスリートの世界は、当然ながら競争社会ですよね。でも、引退した選手が苦労することがあります。敵をはっきりしすぎちゃうクセがあるんですよ。

サイボウズ 青野慶久

ああ、なるほど。アスリート魂に火がついてしまうんですね。


為末大

はい。「いやいや、そいつは仲間だから」みたいなことはしょっちゅうです(笑)。僕も引退して引っかかったのはそこのところで、「人にも勝たせる」という感覚がよくわからなくて。

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為末大(ためすえ・だい)さん。1978年広島県生まれ。男子400mハードルの日本記録保持者(2017年5月現在)。スプリント種目の世界大会で、日本人として初のメダルを獲得した。2012年、25年間にわたる現役生生からの引退を表明。現在は、スポーツに関する事業を請け負う株式会社侍(2005年設立)を経営、一般社団法人アスリートソサエティ(2010年設立)の代表理事を務める。主な著作に『走る哲学』(扶桑社新書)、『あきらめる力』(プレジデント社)など。

サイボウズ 青野慶久

いわゆる「win-win」の状態ですね。言われてみれば、スポーツで「win-win」はあり得ない。


為末大

はい、ビジネスの世界でようやく身につきました。でも、競争心が強いことにはいい面もあります。健全な競争心は他人だけじゃなくて、自分にも向くんですよ。「この1日、この1週間で、自分は何が変わったか」というように。

サイボウズ 青野慶久

そうか、「過去の自分」という競争相手もあり得るわけですね。


為末大

むしろ、ビジネスは陸上と違って、誰が競争相手かわからないことも多いと思います。そういうときには、過去の自分と比較するしかない。そして、このチェックをかなりの頻度でやらないと、人は成長しなくなってしまう。

サイボウズ 青野慶久

過去の自分と比較すれば、それを防げる。


為末大

昔の師弟システムであれば、コーチが選手に無茶振りをしていたんです。よいコーチは、選手が惰性で練習をしていることを見抜くと、急にこれまでとまったく別のものをドンと突っ込んでくる。揺さぶりをかけられて、「こんなのできません」なんて言いながらも、選手は一段ステージを上がるという。

サイボウズ 青野慶久

おもしろいです。ただ、今はあまり、そのような絶対的な師弟の関係は生まれにくいのかな、とも思うのですが。

為末大

スポーツの世界ですら、もう気合と根性の練習は嫌がられますからね(苦笑)。自由度が高くなるほど、逆に選手が自分で停滞を察知して、自分に揺さぶりをかけないと、「ドン!」という飛躍的な成長がなくなってしまうんです。

サイボウズ 青野慶久

成長曲線が緩やかになってしまう。


為末大

はい、ゆるゆる上がるような成長曲線で世界一なんて絶対に届きません。継続も大事で、「グワっと揺さぶってドンと上がる」というサイクルをずっと繰り返さなければならない。

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