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「うんこ行ってきます!」と言いやすい社会に 日本うんこ学会に込めた外科医の思い

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土屋礼央の「じっくり聞くと」。今回は日本うんこ学会に所属する外科医・石井洋介さんにインタビュー。少年時代は漫画やゲーム、麻雀に競馬が好きで勉強が苦手だったという石井先生が、なぜ医師を志すようになったのか?ご専門の腸とうんこのお話、会長を務めている日本うんこ学会の活動など、今回も土屋礼央が「じっくり」聞いています。

若くして大腸を全摘出。偏差値30から医師になったワケ

土屋礼央(以下、土屋):日本うんこ学会の本『タイムマシンで戻りたい』、読みました。うんこが漏れる『うんもれ』エピソードがたくさんあって、本を手に取った時と、読んだ後とではうんもれの印象が全然違う。うんこを観察するゲームアプリを開発して、クソゲーと呼んでいるのも面白い!聞きたいことは色々とあるんですが、そもそも石井先生はなぜ医師になろうと思ったんですか?

石井洋介(以下、石井):15歳の時に血便が出たんです。夏休みが明けた頃に具合が悪くなって検査入院したんですけど、その時は熱が下がらないとだけお医者さんに伝えていて、血便に関しては言ってなかった。その後、実は血便が出ていたと伝えたところ、潰瘍性大腸炎と診断されたんです。結局、病名が分かるまで1〜2ヶ月経っていて、退院して学校に戻った時には勉強についていけなくなってしまった。その後も良くなったり悪くなったりを繰り返して、授業はわからないし、食事制限もあるから友達と一緒にファミレスにも行けなくなって。

土屋:それで次第に学校から足が遠のいていって…。

石井:やる気もなくして卒業後はフリーターになりました。そのあと病状はさらに悪化して大出血を起こし、腸管穿孔という状態になったんです。その時に手術して大腸を全摘出しました。

術後、人工肛門をつけることになりました。人工肛門(ストーマ)というのは、おへそと腰骨の間のあたりに穴をあけて、腸の一部を引っ張り出してお腹に肛門を作ります。そこから自然と便が出てくるので、パウチと呼ばれるビニール袋のようなものに繋いで、ある程度の時間が経ち便が貯まったらオストメイト専用のトイレとかで流すんです。その頃は人生終わったなと思っていましたね。

それからもう少し時間が経って2000年頃だったか、2ちゃんねるで、大腸全摘出後でも人工肛門を閉じる手術があるよっていうスレッドを見つけたんです。それができる病院がいくつかあって、そのうちの1つが僕が最初に外科医のキャリアをスタートさせた横浜市民病院だったんです。そこにかかって、僕の場合は幸い人工肛門を閉じることができて、「医学ってすげー、人生変わった!」と思ったのがきっかけで、医学部へ進学しようと決めました。20歳から予備校に通って2年ちょっと勉強して、最初は偏差値30とかだったんですけど、なんとか医師になれました。それで僕の手術をしてくれた横浜市民病院の先生のもとで外科医になったんです。

土屋:それで腸の専門に。


食べ物の通り道は一方通行。逆向きは「神に抗う行為」

土屋:実は僕、ウォシュレットで便意を促してってことをしばらくやっていたんですけど、あれ実はよくなかったりするんですかね?

石井:医療行為としての浣腸もあるので、お尻に何かを入れるという行為が一概にダメだとは言えませんが、医療行為のような適切な手順を踏んでいない場合は色々と危険性があると思います。基本的には、食べ物の通り道は口からの一方通行でできているので、逆向きは神に抗う行為と覚えておいてもらえれば(笑)。僕ら大腸外科の世界でよく見かけるのが直腸異物といって。いろんなものをおしりに突っ込んで「抜けなくなった」と病院に来られるケースなんです。どうしても抜けない場合は手術して取り除くことになりますね。

直腸はサイズでいうと直径4センチまでしか開かないと言われています。ガラスの瓶を入れてしまう方とかもいるんですが、小さな栄養ドリンクの瓶は抜けても、大きめのものは抜けなくなってしまいます。その場合は開腹手術で取り出すことになります。

瓶以外でいうと、ペットボトルを抜くやり方で感動した論文があって、肛門からハサミを入れてペットボトルを切って畳んで抜いてきたというんですよ。これは外科医としては神判断なケースです。何にせよ肛門からの逆流は神に抗う行為なんで、できれば一方通行で!

土屋:大事なうんこの通るところですからね。僕もうんこの通りに関しては問題がありまして。少し便秘気味なんです。長時間きばらないと出ない。腸になにかあるのかなと?

石井:検査は?

土屋:検便は出しています。異常はないみたいですけど、大腸ガンは自覚症状がないと聞いて不安で。その割にはいい加減で、検査の時も出ないからって1回分の色の違うところを2日分に分けて提出したり。ごめんなさい(笑)。

石井:検便で陰性ならかなりの確率で陰性だと思います。大腸がん検査は結構感度・特異度というものが高いんですよ。2日分提出するっていうのも実は意味があって、例えば大腸にプクッと癌のような病変があったら、そこをこすれる時に血が便について出てくるんです。がん細胞って他の細胞に比べて弱いので、便がこすれるだけですぐに出血しちゃう。そこに触れて出てきた箇所をうまく採取できていればいいんですけど、できないかもしれない。だからもう1日分採取すると、血の付いた部分を取る確率が上がる。そういう狙いがあったりします。

土屋:なるほど、2本出しゃいいってもんじゃない。うんこっていう響きが安易なものを連想させてしまうけど、大事な検査なんですね!

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