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黒田氏の次の日銀総裁は?(鷲尾香一)

黒田東彦(くろだはるひこ)・日本銀行総裁の2018年4月8日の任期終了まで1年を切った。日銀総裁人事は国会同意人事のため、根回し期間を考えれば次期総裁候補者の名前がそろそろ挙がってきてもよさそうなものだが、本命不在の状態だ。

過去の日銀総裁人事は、日銀プロパーと旧大蔵省(現財務省)OBの“たすき掛け人事”が慣例だったが、1997年の日銀法改正とともに、たすき掛け人事は終焉を迎え、黒田総裁の前の日銀総裁は、速水優氏、福井俊彦氏、白川方明(しらかわまさあき)氏と日銀OBが3代続いた。

白川総裁誕生の時には、旧大蔵省OBの武藤敏郎・元事務次官が総裁候補として最有力だったが、当時の民主党(現民進党)などの反対により国会同意を得ることができず、日銀OBで副総裁の職にあった白川方明氏が総裁に就任している。黒田総裁は98年まで総裁を務めた松下康雄氏以来、実に15年ぶりの旧大蔵省OBの日銀総裁誕生だった。

さて、次期日銀総裁については、巷間さまざまな憶測が出ている。黒田総裁の続投、日銀プロパー総裁の復活、そして、当然のことながら旧大蔵省OBも虎視眈々と椅子を狙っている。

それでも、有力候補者の名前が挙がらず、本命不在の状況なのは、次期日銀総裁に課せられるだろう困難な命題にあると思われる。

それは、取りも直さず、黒田総裁が推し進めた「異次元の金融緩和政策」の変更にある。今や国債発行残高に占める日銀の保有比率は4割を超えているのだ。

次期総裁は、この日銀依存となっている国債消化を従来(黒田総裁が行なっている金融緩和以前)の市中消化に戻していかなければならない。加えて、すでに日銀が保有している400兆円を超える国債の処理も問題となってくる。

国債だけではない。日銀は16年度にETF(上場投信)を5兆5870億円も買い入れた。

当然、国債やETFのように価格が変動する商品では、日銀の金融政策次第で価格が大きく変動する可能性がある。価格が下落すれば日銀が巨額の含み損を抱えることになる。それにも増して、国債の場合には価格の下落は金利の上昇となり、急激な長期金利の上昇に結びつく可能性を秘めている。

つまり、次期総裁は黒田総裁とはまったく違った金融政策を立案・実行し、金融市場を本来の姿に戻すという使命を帯びている。

中央銀行総裁である以上、政府・政権の経済政策に協力するのは致し方ない部分もある。しかしそれは、政権におもねる政策を行なうのとは意味が違う。

米国の中央銀行にあたるFRB(米連邦準備制度理事会)議長にイエレン氏が就任したのは14年。任期は18年2月3日までだ。黒田総裁よりも先に任期を終えることになるが、イエレン議長はあれだけ強烈な個性のトランプ大統領が誕生しても、何らおもねることなく、淡々と中央銀行として必要な政策を進めている。

高い資質を持った人物であればグローバルな人材の活用も選択肢の一つだろう。たとえば海外では、カナダ銀行総裁を務めたカーニー氏がイングランド銀行総裁に、イスラエル銀行総裁を務めたフィッシャー氏がFRB副議長に就任しているのである。

(わしお こういち・経済ジャーナリスト。5月19日号)

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