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不思議なNHK受信料

NHKの受信料ほどすっきりしない料金はないかもしれません。払う人、拒否をし続ける人が明確に分かれ、正直者に支えられている状況であります。かつてはテレビ放送そのものに価値があり、それを見る、聞くことは映画館にお金を払って見に行くのと同じほどの意味合いがありました。NHK受信料のそもそもも「ラヂオ」受信料でありました。

テレビに大きな価値があった時代には受信料を払ってでもテレビを見たいのが一般大衆の気持ちだったかもしれません。かつてテレビがある家はまばらでプロレス放送をみるのに多くがテレビのある人の家に集まりました。昭和30年代にはカラー放送が始まり、一家に一台という大普及期が始まります。その頃のテレビのありがたみは当時の人ならよくご存じでしょう。民放もよかったのですが、NHKも頑張りました。大河、朝ドラに紅白などだけではなく、ウルトラアイ、あなたのメロディ、連想ゲームなどなど名物番組があったと思います。

ところが通信の発達とともにコンテンツの価値感が大きく変貌したのがこの20年でしょうか?個人的に思うのはYOUTUBEがそのきっかけだと思っています。これはコンテンツを受動的立場から能動的立場に変えた革命であり、まだ発展期だったその仕組みをグーグルがさっさと買収したのは最大のお買い得だったことは間違いないでしょう。

合わせてコンテンツとメディアの乱立で視聴者の好みが大きく分かれたこともあります。その点では日本で徐々に広がっていったケーブルテレビの与えた影響力も大きいでしょう。私が初めてアメリカに行った1981年、そのテレビチャンネルの多さに圧倒されました。「これはケーブルテレビというんだ」と教えてくれたアメリカに衝撃すら覚えたのです。

ではNHK。受信料が欲しいというのはそのビジネスの根幹が放送法というベースから何一つ動いていないからであります。コンテンツ業界がこれほど変貌しているのに法律が動かないことで受信料問題だけが取り残されてしまったとしても過言ではないでしょう。これは行政の怠慢です。

その受信料を巡る混乱の根拠。それは放送法64条第1項の「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」によるところであります。この文章を言葉そのままにとればテレビやワンセグなどでNHKが受信できる状態ならNHKと契約しなくてはいけないことになります。

ところがテレビの普及は一家に一台から一人一台、更にワンセグなどの端末も合わせると人口と端末の数が合致しなくなります。この論理からすれば家に3台テレビがあり、ワンセグが3台ある場合は6台分払え、ということでしょうか?(NHKの規定では例えば親が払っていて子が1人暮らしだと半額の請求となります。)

さらに不可解なのは東横イン訴訟のケースでこの場合はテレビを設置した東横インにテレビ設置者としてNHKの受信料支払い義務を命じています。ところが先日、レオパレス(家具付きアパート)の高裁の判断は入居者が受信料を払え、と命じました。となれば例えば出張がちのビジネスマンがホテルに泊まる度にテレビをつけようがつけまいが関係なく受信料を払えという暴論が成り立ってしまいます。

では病院の待合室のテレビはどうなのか、国際線の飛行機の中で見るNHKのニュースはどうなるのか、などいろいろ疑問が出てきます。

つまり放送法64条は受信設備がこれほど世の中に普及することを前提としていない前近代的法律であり、この抜本的改正を怠ったこと自体が問題であってNHKの受信料を巡る訴訟はいくらやってもらちが明かないことになります。また弁護士、裁判所の判断も杓子定規になりやすいでしょう。

私はカナダでアメリカのネットワーク会社を媒介に有料で日本のテレビを全部ライブで受信できます。そのネットワーク会社はもちろんNHKに受信料は払っていないはずです。先日、高校のクラスメートで民放大手の部長さんとその話をしていたら「訴えている」と怒りまくっていましたがこれは民放も海外にはコンテンツを売りつけるビジネスとしているからです。

実は世の中のテレビ視聴者にとってもっと素晴らしいディバイスが開発されました。世界中のテレビが全部無料でライブで4Kクオリティで見られるというものです。私も試しにその注文をしており、1カ月ほどで欧州から届く予定です。手にしてからいろいろ試してみますが、仮に宣伝の文言の通りすべてのテレビ放送が無料で見られるなら世の中のケーブルテレビを含めたビジネスは崩壊します。(事実、この機械の販売者は販売中止になる可能性高いと警告しています。)

技術の進歩と共に一般的コンテンツに対する課金が非常に難しくなりました。NHKの存在意義も考え直さねばなりません。大河や紅白の制作に大枚はたいていますが、あのビジネスのスタイルは古く、受信料が貰えるという前提の甘えすらあるでしょう。かといって多くのNHKに親しんできた高齢者にしてみれば大河のないNHKなんて炭酸の抜けたコーラのようなものだと評するでしょう。

放送法を含めた抜本的見直しを早急に行うことがこの不可解な問題を解き明かすことになろうかと思います。

では今日はこのぐらいで。

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