記事

財政目標の新指標が目くらましになる懸念

政府は、骨太の方針において、新たな財政目標として、債務残高対GDP比を挙げると発表した。一見、財政健全化目標に資するものにみえる。しかし、その背景の議論をみると、首をかしげたくなる。

予兆は、今年2月に内閣府が発表した中期財政フレームにあった。2020年の基礎的財政収支(PB)は相変わらず赤字と記されている。2020年のPB黒字化目標はあたかも無くなったかのようだ。「政府はいつ白旗を上げたのですか」と尋ねたことがあるが、2020年の黒字化目標は堅持するというのが政府側の回答だった。しかし、中期財政フレームの試算の前提になっているのは、経済成長率3.0%という「経済再生ケース」というものだ。現状の成長率で試算すると、2025年を過ぎてもなお、赤字が続くことになる。

骨太方針2018において、債務残高対GDP比の引き下げ目標が加えられた背景には、政府・与党内において、2020年のPB黒字化目標の達成が困難であるとの見方が広がったことがある。そして、PB黒字化目標を先送りして、代わりに債務残高対GDP比の引き下げ目標を入れようという案も出たようだが、後者のほうが達成が容易だからだ。現行の長期金利であれば、債務残高が増えにくいため、ある程度、経済成長が続けば、債務残高の対GDP比は自ずと低くなる。

真に財政規律を実現するためには、債務残高対GDP比ではなく、財政支出を抑制し、きちんと管理する仕組みが必要だ。それは、債務残高GDP比ではなく、基礎的財政収支の管理に他ならない。「次世代への先送り」という言葉がよくつかわれているが、もう既に、次世代に負担を先送りなどできないほどの限界に達している。2020年になった時、「PBの黒字化目標は達成できなかったが、債務残高対GDP目標は達成できた」と説明するのだろうか。こうした言い訳を許す余裕はもう日本にはない。

あわせて読みたい

「骨太の方針」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    NHK契約義務なら相応の番組作れ

    中田宏

  2. 2

    よしのり氏「グッディ!」を評価

    小林よしのり

  3. 3

    子宮頸がんワクチン 男も接種を

    おときた駿(東京都議会議員/北区選出)

  4. 4

    加計学園の建設現場で忖度自撮り

    田野幸伸

  5. 5

    JTBを筆頭に死にゆく旅行代理店

    木曽崇

  6. 6

    中国人カキ殻100t投棄 どう対策

    高橋亮平

  7. 7

    トヨタとパナ社長が共同会見へ

    ロイター

  8. 8

    「日本が中国に完敗した」は暴論

    文春オンライン

  9. 9

    日本では皆が狙える年収1000万円

    永江一石

  10. 10

    現実見ない「中国スゴイ」に苦言

    文春オンライン

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。