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有名人経営の急成長のベンチャーのリスク

500円ピザで一躍有名になった遠藤商事がフランチャイズを含め74店舗まで6年で急拡大したのち、破産したというニュースが日経など各方面に出ています。同紙は急速な多角化、人材不足、管理の甘さという極めてまっとうな解説をしています。しかし、私はそう読みませんでした。彼が13歳でジュニアプロとしてイタリアのセリアAで契約、プレーしたことが全てだったような気がします。

彼が事業をはじめたのはセリアAとの契約が終わった時。そして事業化のきっかけはイタリアにいた際に親しみ、学んだ窯焼きピザ。

日本人が芸能ネタですぐ話題にするのが有名人経営の店であります。相撲取りや有名スポーツ選手、アイドルが引退後、店を出すと客は確かに集まります。「ちょっと行ってみよう」と。しかし、大成した事業はあったでしょうか?調子に乗って数店舗出した有名人の多くは破たんというシナリオになっています。

何故でしょうか?一つには有名人は自分で経営しない、というか経営できず、誰かに任せるケースが多いことが挙げられます。「あの人が今は包丁を握っている」などという話は少ないと思います。有名人は有名人としての広告塔であってその為の事業としても過言ではありません。つまり、売名行為こそが営業とも言えます。いい服を着て、テレビの取材を受けて儲かっていそうなそぶりをして派手な生活をするというのは絵にかいたような話であります。

なぜそこまで言い切るのかといえばそういう人たちを私も知っているからです。彼らとお付き合いすると安い居酒屋には絶対に行きません。隠れ家的な店=客が少ない店でインテリアだけは異様に凝った店あたりに行きます。店に行けばいかにも常連という感じで店のマネージャーは特上の扱いをし、客にも知った顔がいて「あれは○○で有名な△△さん」という具合に私に囁き、「へぇ、すごいんですね」と言わせるわけです。

経営とはそんなにたやすいものではありません。一店舗を大事に育てるならともかく、多店舗展開や多角化は時代の波に乗りながらスクラップアンドビルトをしなくてはいけません。わたしも今の事業形態になった11年の間に手じまいしたビジネスは3つ、新規の立ち上げが5-6本という具合に常に入れ替え戦が行われています。それこそコンビニの商品棚のようなもので年中入れ替わります。

多角化には人材不足もあるかもしれませんが、経営者のイマジネーションがどこまでついていくかだろうと思います。経営者が生み出す事業とは一つの芸術作品ですがその作品に顧客が一時期の感動ではなく、長くお付き合いしてくれるのか、そこが勝負なのです。

テレビや雑誌で取り上げられると顧客は一時的に本来のペースより増えます。しかしその増分は剥離しやすい為、本当の顧客ではなく「さくら」に近いと考えねばなりません。リピートさせるには本当の価値を提供しなくてはいけないのです。ところがこれが見えなくなり、テレビ雑誌効果がなくなればまた、取材をしてもらうという一種の麻薬効果を期待するようになります。これが破たんに向かう代表的傾向でしょう。

今、大変話題になっている会社があります。影響があるので実名は出しませんが、破竹の勢いで多角化を進めており、株式市場でも大きな話題になっています。私はこういう会社は長続きしないだろうと思っています。世の中、そんなに簡単に事業がボンボン大きくなることはないのです。年間成長率はせいぜい5割が限界。それが数倍ずつ伸びるような事業はどこかに必ずオチがあるか、無理があると考えてよいと思います。

別に有名人の方がビジネスをしちゃいけないなどとは言いません。しかし、有名人なら一般経営者より早く事業拡大できるというのは明らかにおかしいのにそんな経営者に様々な売名的な賞を授与し、銀行はそれを実績として担保にするという馬鹿なオチがあるのなら日本のビジネスは狂っているとしか思えないです。

ビジネスはもっと地味に下地を作り上げるものでしょう。窯焼きピザもそれなら500円では売れないのではなかったかと思いますが。

では今日はこのぐらいで。

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