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トランプ米大統領の予算教書、自身の支持者に打撃も

Trump’s First Budget Doesn’t Seem To Put His Supporters First.

トランプ米大統領が就任初の外遊で留守にしている間、政権の意向を汲み行政予算管理局(OMB)が23日に2018年度の予算教書”偉大なる米国のための新しい礎(A New Foundation for American Greatness”を発表しました。4月26日の基本方針を表明してから、約1ヵ月後に詳細がお披露目された格好です。

財政収支の黒字化を目指し、低所得者向けを中心に義務的歳出を10年間で1.7兆ドル削減する案が盛り込まれています。全体では3.56兆ドル削減する計画の概要は、以下の通り。CNBCによると2016年の米大統領選挙でトランプ氏に投票した州が数多く見受けられ、南部を中心とした支持者への打撃は著しい。選挙戦では社会保障に手を付けないと宣言したものの、これを破ったかたちです。中間選挙を控え、共和党が同案を支持しない可能性を色濃くにじませます。

・メディケイド(低所得者層向け公的医療保険) 6,130億ドル削減
→州政府ごとの有権者1人当たりメディケイド支出額で最大はクリントン氏を選出したワシントンD.C.(6,638ドル)、ニューメキシコ州(5,337ドル)、ニューヨーク州(4,455ドル)。ただし、以下はトランプ氏に投票したアーカンソー州(4,164ドル)、ウェストバージニア州(4,023ドル)、ケンタッキー州(3,954ドル)が続く。上位10位のうち、トランプ氏を支持した州は6つを数える。

・フードスタンプ 1,930億ドル削減
→州政府ごとの1人当たりフードスタンプ支出額で最大はクリントン氏が勝利したハワイ州(94ドル)、ニューメキシコ州(72ドル)と上位を占める一方、トランプ氏を選んだウェストバージニア州とミシシッピ州(58ドル)はそろって3位に。トップ10でトランプ氏を支持したのは、メディケイドと同じく6州。

フードスタンプ受給者数、年間受給者数や1人当たりの月ベース受給額は過去最高付近。

foodstamp
(作成*My Big Apple NY)

・児童医療保険プログラム(CHIP)58億ドル
→州政府ごとの有権者1人当たりCHIP支出額はトランプ氏を選出したミシシッピ州(194ドル)、モンタナ州(184ドル)が1位と2位を占める。ただし3位から5位はマサチューセッツ州(175ドル)、ロードアイランド(157ドル)、カリフォルニア州(156ドル)とクリントン氏に投票した州が続く。トップ10では、それぞれ5州ずつ並んだ。

・障害者保険 720億ドル削減
→州政府ごとの障害者保険受給率では、トランプ氏が勝利した州が上位8位を独占。ウェストバージニア州(14.3%)、アーカンソー州(13.3%)、ミシシッピ州(12.0%)、アラバマ州(11.9%)、ケンタッキー州(11.7%)など南部に集中することも特徴的。

・農業補助金 465億ドル削減
→州政府での有権者1人当たり農業保険支出は、トランプ政権の支持母体という事情を反映し真っ赤に染まり小麦の産地で知られ人口の約4分の1が農業に従事するノースダコタ州(949ドル)、同じく穀物生産地で知られるサウスダコタ州(558ドル)、小麦生産1位のカンザス州(239ドル)が続く。さらにトウモロコシや大豆生産で知られるネブラスカ州(194ドル)やアイオワ州(189ドル)が並び、上位10ではミネソタ(69ドル)がランクインする程度。

——この上で国防費を2018年度に予算継続ベースで520億ドル拡大させ、メキシコとの国境に壁を建設する予算として26億ドルを充てます。インフラ投資は選挙公約の1兆ドルから、事前報道通り2,000億ドルへ縮小させました。このほか、愛娘イバンカ・トランプ氏が提案した6週間の育児休暇向け予算として10年間で190億ドル盛り込んでいます。

同案を共和党が全面的に受け入れる可能性は低い。既に下院歳出小委員会のハロルド・ロジャーズ委員長は、メディケイド支出削減に対し「大きな問題であり、貧しい州から選出された私には非常に厳しい」と難色を示します。米株が反応薄なのは、成立を予想していないからなのでしょうか。前日に英国マンチェスターで開催されたアリアナ・グランデのコンサートで爆発テロ事件が発生したものの、どこ吹く風。ロシアゲートという逆風にも耐え、17日の急落が嘘のようです。さすがに、”3%成長”目標を維持する政権を信じているわけではないでしょうが・・。

いずれにしても、予算教書は共和党が目指す大型減税を掲げていることは事実です。その半面、大型減税の実現には小さくない障害が立ちはだかります。医療保険制度改革(オバマケア)の撤廃・代替案への移行です。共和党はオバマケア撤廃・代替案移行をめぐり、2017年度において財政調整法により民主党のフィリバスターを回避して法案を可決することが可能な状況。

当初は4月のイースターまでに成立させ、2018年度にかけての税制改革を再び財政調整法を駆使し8月に通過させる予定でした。ところが、上院では未だに審議されていません。ロシアゲートもあって進捗がに遅れが生じるリスクもあり、税制改革は年明けとなる可能性が残ります。中間選挙実施前に効果が現れるようにすれば良いとの意見もありますが、果たしてどうなるでしょうか。

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