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投影する人々

2011年11月17日 11:31

岩崎夏海

増田さんが親切にもぼくのことを悪く言っている人を教えてくれた。
いつもおもうけど、この人絶対ハックルさんのこと嫌いだろw

http://d.hatena.ne.jp/fujipon/20111114#p1

それにしても、これだけ「小説の読み方」にこだわっている人でも、自分が書き手になると、類型的なキャラクターが意外性のない行動をとるだけの小説を書いてしまうということには、愕然としてしまいます。
id:fujipon氏が前からぼくを悪く言っていることは知っていた。ただ、彼は必ずしもぼくを「嫌」っているわけではない。ことは、もう少し複雑なのだ。

彼は、ぼくの中に彼自身の姿を見出しているのである。だから、好きと嫌いとがない交ぜになった、近親憎悪のような感情をぼくに抱いている。

少々専門的になるが、これを心理学では「投影」と言う。「投影」は、wikipediaにはこう記されている。

心理学で言う投影(とうえい)とは、自己の悪い面を認めたくないとき、他の人間にその悪い面を押し付けてしまうような心の働き。

つまり、fujipon氏は、自分の作品(実は氏も、小説を書いている)が「類型的なキャラクターが意外性のない行動をとるだけ」という欠点を抱えており、そのことを自覚もしているのだが、それがどうしても受け入れられないため、ぼくに押しつけることで、心のバランスを保とうとしているのだ。

事実、fujipon氏の小説執筆はあまりうまくいってないようである。別のエントリーには、こんな思いが綴られている。

ところが、写真とか文章というのは、「プロとアマチュアの違いが、(素人には)わかりにくい」だけに、「いまからでもできるかも!」と思いこみがちなのだ。

僕にも、「夏目漱石がデビューしたのは、30代後半だった」などという特例に希望を見いだしていた時期がありました。

ところが、その気になって少し勉強をはじめてみると、その世界の奥深さに愕然とすることになる。作家の文章をプロ野球の1軍とするならば、ブログの文章は2軍だ。

(本当は四国アイランドリーグくらいなのだろうけど、わかりやすいように今回はこれで話そう)もちろん、2軍ですぐに頭角を現し、1軍で大活躍する選手もわずかだが存在する。だが、大部分の「2軍のエースや4番」たちは、1軍に行けば敗戦処理でも打たれ、代打に出れば振り遅れて三振だ。

そのくらいのレベルの違いがある。
このように、氏は自分の文章力のなさに「愕然」としてきたわけだが、しかし氏自身がそれを受け入れられないことが、大きな葛藤となり、また悩みとなっているのである。そこでたまさか読んだぼくの本に、そうした氏の欠点を投影してしまった結果、先のような批判と相成ったわけである。

ところで、ぼくはよくこの「投影」というのを、他者からされる。つまり、その人の悪い部分を、ぼくの中に見出されるのである。

例えば、やまもといちろうさんという人からは、「電波体質でみんな(主にIT関係者)からヲチ対象になっている」という彼の欠点(あるいは悩み)を、投影されてしまった。

「意外と面白いことになっている」というので、作家の岩崎夏海氏のはてなダイアリーを見物に逝ったところ、想像した以上に電波濃度が凄いことになっていたため、これは事故物件として取り上げざるを得ないということで釣られてみます。
やまもといちろうさんの場合は、電波――つまり「自分で自分を制御できなかったり、客観視することができない」――ということが、彼自身の大きな悩みとなっている。しかし、そのことをどうしても受け入れられないため(そういう自分が大嫌いなため)、ついついぼくにそれを投影して、こうした記事を書いてしまうのである。

あるいは、永江朗さんという人からも投影されてしまった。永江朗さんは、fujipon氏と同じように、やっぱり小説を書きたいのだが、それがなかなかうまくいかないらしい。
でも肝心の小説のほうはダメだ。キャラクターとプロットに独自性がない。みんなどこかで読んだような気がする。致命的なのは文章。あまりにも稚拙だ。ライトノベル系の新人賞に応募しても、一次選考すら通過できないレベルである。
これは全て、永江さんが永江さん自身が書いた小説に対して抱いた感想だ。永江さんの書いた小説は、「キャラクターとプロットに独自性がな」く、「みんなどこかで読んだような気が」し、「文章」が「致命的」なくらいに「稚拙」で、「ライトノベル系の新人賞に応募しても、一次選考すら通過できないレベル」なのである。

しかし永江さんは、そのことがどうしても受け入れられないため、ぼくの小説にそれを投影してしまったのだ。

ぼくは、とにかく昔からこれをよくやられるのである。ただしそれは、必ずしもその人の悪い面だけではない。ぼくは、良い面も投影される。「投影」のwikipediaにはこうも書いてある。
また、良い投影の場合は、自分の中の良い経験を、相手も同じではないだろうか?と良い方に感じてしまう。
ぼくは、毀誉褒貶が喧しい。批判される一方で、評価してくれる方も実にたくさんいる。

しかし実のところ、ぼくはそれほど中身のない人間である。それほど批判される人間でもなければ、それほど評価される人間でもない。いや、中身がないと言うよりは、カメレオンのようにコロコロ擬態する人間と言った方が良い。状況に合わせて、その場その場で性質を変えるのである。

あるいは、ぼく自身に鏡のようなところがあって、他者が自己を投影しやすいという性質もある。それは、カメレオンのように擬態する、ぼくの性質の一つでもある。だから、ぼくが他者から投影されるのは、必ずしもその人の悪いところだけではない。実は、良いところを投影する人もたくさんいる。そういう人は、ぼくを人格者だったり、才能があったり、面白いと評価する。しかし実は、それは必ずしもぼくの性質ではなく、その人たちの性質をぼくに投影しているに過ぎないのだ。つまり、人格者だったり、才能があったり、面白いのは、ぼくではなく、そうした性質を投影しているその人たち自身なのだ。彼らがなぜそれをぼくに投影するかと言うと、それは欠点を投影する人と同じで、彼らがなかなかそれを受け入れられないからである。つまり彼らは、自分が人格者だったり、才能があったり、面白かったりすることを受け入れらない、謙虚な人たちなのだ。

ぼくに対して何かを思っている人は、一度自分の胸に手を当てて考えてみるといい。あなたがぼくに見出している性質は、実はあなたがあなた自身が自分に見出している性質に他ならないはずだ。ぼくのことを「気違いではないか」と疑っている人は、あなた自身が自分を気違いではないかと疑っているのである。あるいはぼくに「この人は自己承認欲が強すぎる」という性質を見出している人は、あなた自身が「自分は自己承認欲が強すぎる」と悩んでいることの表れに過ぎない。

さらには、ぼくのことを「面白い」と評価している人は、実はその人自身が面白い人なのである。

おかげでぼくは、今はとっても生きやすい。なぜなら、ぼくを良く言う人はおしなべて良い人だし、その逆にぼくを悪く言う人はたいてい悪い人だからだ。そうして、ぼくのことを良く言う人はぼくに近づいてきてくれるし、ぼくのことを悪く言う人はぼくから離れていく。おかげで今、ぼくの周りにいる人は良い人たちばかりである。

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