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アサンジ氏、逮捕状撤回も開けぬ未来

米軍や米政府関連の機密書類の大量暴露などで名を馳せるWikiLeaksの創立者ジュリアン・アサンジ氏については、その摩訶不思議な”強姦容疑”で逮捕状が出たのを2010年8月の拙ブログで取り上げて以来、昨年10月までに、なんと21回も記事にしていました。

それから7年。ヨーロッパ中に逮捕状を回していたスウェーデン検察当局が昨19日に、捜査を断念し、逮捕状を取り下げたとのことです。欧米の新聞、放送は大扱いのようですが、日本ではあっさりした報道で、アサンジファンとしては大いに不満。

なぜ、スウェーデン当局は断念したのか?アサンジ氏は5年に亘るロンドンのエクアドル大使館での籠の鳥状態からいつ解放されるのか?亡命申請を認めているエクアドル本国に渡るのか?大統領選中、アサンジ氏に肩入れしていたトランプ氏はどう出るのか?そして、アサンジ氏の今の思いは?等々、疑問はいろいろです。

これが、スウェーデンが捜査断念を公表した後、アサンジ氏がtwitterに載せた喜びの表情です。

 

本当に嬉しそうです。しかし、その満面の笑みから4時間後、同じtwitterにこう書き込んでいます。

「訴追もされずに7年間も拘束された。その間に子供は成長し、私の名前は汚された。私は許さないし、忘れない」と。

彼から見て理不尽な(私もそう思います。米国が仕掛けたハニートラップという説得力のある説があります)逮捕容疑をかけられ、街中の狭いエクアドル大使館から一歩も出られず、心身両面で不調をきたした時期もありました。母国の国会議員になれば道が開けるかも、ということでウィキリークス党を結成上院選に立候補したこともありました。

そんなこんなの苦労の元凶だった”強姦容疑”捜査がようやく終わるということで、あの満面の笑みになったのでしょうが、なぜ、奇々怪々な容疑が生まれたかを思えば、また、落ち込んだのも無理はないでしょう。

これまで、逮捕されスウェーデンに移送されれば、その後、膨大な機密書類を暴露された米国が、様々な容疑で引き渡しを求めるのは、当然のように見なされてきましたが、スウェーデンが逮捕による彼の身柄引き渡し断念したことで、米国が直接、英国に引き渡しを求める可能性が高まります。

この点について、かってNSA情報を内部告発し、今はロシアに身を寄せているエドワード・スノーデンと共に活動したジャーナリストのグレン・グリーンウォルドは、「スウェーデンの捜査終了はアサンジに良いニュースのように見えるかもしれないが、近いうちにエクアドル大使館を離れることはありそうもない。それどころか、トランプ政権は米国の機密文書を公開した罪で米国の監獄に入れようとする明らかな決定をしていて法的な危険性は高まった」と自らのニュースサイトInterceptに書いているほどです。

また、NYタイムズによると、アサンジ氏のスウェーデンでの弁護士Per E. Samuelson氏は「米国は彼を追跡している。そのことははっきりしている」と言います。それは、先月、CIAのMike Pompeo長官が、wikileaksを「敵対的な情報機関だ」と断定し、Jeff Sessions司法長官が「アサンジ逮捕は優先事項だ」と相次いで表明しているからです。

トランプ大統領は、選挙期間中に民主党全国委員会やクリントン選対のメールをWikiLeaksが公表したことを何度も讃えていたようですが、Sessions長官の発言に関連し、「その決定には加わっていない」としながらも、「it’s OK with me」と、アサンジ氏逮捕に同意しているようです。

かくて、米国の姿勢が明らかになる中で、アサンジ氏の身柄確保の口実にも見えたスウェーデン当局の”強姦容疑”は、外野席から見る限りインパクトを失い、事実、アサンジ氏が籠城する限り、進展も見通せない中で、その役割を終えたように見えます。

また、BBCによると、エクアドル政府のGuillaume Long外相は「逮捕状がなくなった以上、英国はアサンジ氏に安全な移動を保障すべきだ」とし、「エクアドル本国で亡命生活をenjoyしてほしい」と述べているようですが、その前途は、一筋縄では行かないようです。

ただし、万一、アサンジ氏が米国に移送され、訴追されたとしても、WikiLeaksが機密文書を公開したことと、NYタイムズやワシントンポストなどが、今現在もリーク文書に基づく報道を行なっているのと、どう区別するのかという「報道の自由をベースにした難問があります。

さらにトランプ大統領のロシア疑惑の進展次第では、WikiLeaks問題が絡み合って複雑な展開になることも考えられるだけに、アサンジ氏がエクアドル大使館を後にする日がいつ来るのかは全く見通せないのが現実のようです。

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