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トランプ氏の機密漏えい疑惑、早わかりQ&A

 ドナルド・トランプ米大統領が先週ロシア政府関係者と会談した際、過激派組織「イスラム国」(IS)に関する機密情報を先方に提供したとされることが物議を醸している。何が問題なのか、要点をまとめた。

 Q:大統領が機密情報を開示するのは違法なのか?

 A:違法ではない。他の米政府関係者が機密情報を開示すれば懲罰や刑事訴追を受ける可能性もあるが、大統領は自身が適切だと思える範囲で開示する権限を持っており、他の政府関係者による開示を認めることもできる。これらは大統領令に定められている。大統領令は直近では2009年に修正されている。

 Q:情報収集で他国はどのような役割を担っているのか?

 A:米国は国家安全に対する脅威をより確実に把握するため、同盟国の情報収集能力に大きく依存している。その中でも最も緊密に情報共有をしているのは米国と協定を結んでいる英国、オーストラリア、カナダ、そしてニュージーランドの5カ国、いわゆる「ファイブ・アイズ」(五つの目)だ。トランプ氏が今回大統領執務室でロシアに開示した情報はイスラエルから提供を受けたと政府関係者が明かしているように、米国はその他の国々とも協力関係にある。

 米政府と共有した情報が不適切に扱われていると同盟国が判断した場合、今後米側と共有する情報を制限する可能性もある。その判断を下すのは各国政府の裁量に任せられている。

 Q:「ソースとメソッド(sources and methods)」とはどういう意味か?

 A:ソースとメソッドとは米政府機関がよく使う表現で、情報収集手段のことを指す。情報源となる人物から直接得た内容はヒューマン・インテリジェンスで「ヒューミント(HUMINT)」と呼ばれる。電話などの通信を傍受して得られた情報はシグナル・インテリジェンスで「シギント(SIGINT)」と呼ばれる。

 Q:米国の情報機関はなぜそこまでしてソースとメソッドを保護したいのか?

 A:米政府は情報源を危機にさらすことを避けたいだけでなく、人間および通信から得られる情報を継続的に入手するためにも情報収集手段を開示しないようにしている。政府機関は国家の安全保障に関する重要情報の詳細を明かさないが、これもソースとメソッドが漏れるリスクを避けるためだ。

 Q:トランプ大統領はロシア側にソースとメソッドを明かしたのか?

 A:政府関係者がウォール・ストリート・ジャーナルに語ったところによれば、トランプ氏はロシアのセルゲイ・ラブロフ外務相およびセルゲイ・キスリャク駐米ロシア大使と大統領執務室で会談し、IS関連の情報を明かした。この際にトランプ氏はソースとメソッドが漏れる可能性が生じる程度の内容を先方に伝えていたという。

 ワシントンポストが先に報じたところによれば、トランプ氏はISがノートパソコン型の爆弾を民間航空機に持ち込む可能性をロシア側に伝えた。その際に同盟国が情報を入手したIS支配地域の都市名にも言及したことで、極秘にあたる情報をロシアに開示したという。ワシントンポストによれば都市名がロシア側に明かされたことを受け、ホワイトハウス関係者は中央情報局(CIA)と 米国家安全保障局(NSA)に連絡を取り、成り行きを注視するよう警告した。

 Q:ホワイトハウスはこの件についてどう考えているのか?

 A:安全保障担当補佐官を務めるH・R・マクマスター氏は16日の会見で、トランプ氏がロシアの外相と駐米大使と交わした会話は「完全に適切なもの」であったと述べた。また「会話が適切ではない形で行われ、国家の安全保障に危機をもたらした」かのように伝えるメディアの報道が間違いであるとも話している。

 マクマスター氏はロシアと共有した情報のソースについて、トランプ氏がブリーフィングを受けていなかったとも述べた。

 トランプ氏は16日、対テロ活動に関する重要な情報をロシア政府関係者との会話の中で共有したことについて、自身が「絶対的な権限」を持っているとツイッターに投稿した。

By Paul Sonne

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