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【イラン大統領選挙と原油】

イランの大統領選挙の投票が19 日に迫っています。アメリカとの対話路線の継続を主張し再選を目指す保守穏健派のロウハニ大統領反米の保守強硬派のライシ前検事総長との一騎打ちとなると報じられています。
ライシ師が健闘していることから、核合意や原油市場にも影響を与えるとして、選挙結果が注目されています。

CNBCはHere ’s why oil traders are so focused on the Iranian elections(原油トレーダーがイラン大統領選挙に注目するわけ)の中で、「アメリカとの核合意、および原油供給に影響することから原油トレーダーはイラン大統領選挙に注目している」と伝えています。 

2015年にまとまった核合意でイランはアメリカとEU の経済制裁が部分的に解除された結果、原油の輸出を倍増することができました。
しかし、次期大統領のもとで、 JCPOA=Joint Comprehensive Plan of Action と呼ばれる核合意が破棄されたりした場合、こうした輸出が危ぶまれるというのです。

これまでのところ、最有力候補で保守穏健派のロウハニ現大統領 (Hassan Rouhani)、さらに保守強硬派のライシ師(Ibrahim Rais) を含めてみな、核合意を遵守すると述べています。
しかしながら、専門家は、口だけで行動を伴わないリスクを指摘しているということです。

Market Watchは、The overlooked upside for oil in Iran’s election (イラン大統領選挙で原油価格上昇につながる見逃されがちなわけ)で、イラン大統領選挙の結果が核合意、さらに原油価格に影響しかねないと伝えています。

5月25日に差し迫ったOPEC 総会も大事だが、原油価格を揺るがしかねないもっと重要な出来事が19日にある。イランの大統領選挙だ」と指摘。

現職のロウハニ大統領の勝利が予想されているものの、15 日にテヘランのガリバフ市長が選挙戦から撤退した結果、保守強硬派のライシ師との一騎打ちとなり、ライシ師がゴリゴリの保守層の票のほとんどを獲得すると見られるということです。

ライシ師のこれまでの言動から判断すると、イランのミサイル実験シリアのアサド政権への武器供与に踏み切り、アメリカの反発が避けられないという見方を紹介しています。

経済制裁が強化されれば、原油市場に流入していたイラン原油が途絶することなり、その結果、供給過剰が解消して原油価格が上昇するというアナリストの声も伝えています。

経済制裁で生産を減らしたイランは去年 11月のOPECと非 OPEC の協調減産の合意の適用除外を受けており、輸出をガンガン増やしてきましたが、減産合意が来年3 月まで延長された場合、イランがどう対応するのかが注目されています。

Reutersは、Iran likely to back longer OPEC-led oil cut if all on board (すべての国が延長合意に同意するならイランも支持することも)の中で、15日に原油の減産合意をサウジアラビアとロシアが 9 か月延長して、来年3月までとすることで一致し、翌日クウェートがこれを支持すると表明。 

OPEC 第3 の産油国のイランは、欧米の経済制裁で生産を大きく減らした結果、OPEC で唯一の適用除外を受け、19日に大統領選挙を迎えることから、その対応が注目されていました。
これについて、イランの石油関係者は長期に見れば原油価格を下支えするために減産合意の延長を支持するということです。

一方、違う視点で伝えているのは、BloombergのRouhani Could Lose Iran Presidency (ロウハニ、イラン大統領の地位を失うことも)。

「世論調査はロウハニ大統領が19 日の選挙で勝つことを示唆している。しかし、保守強硬派の相手候補のライシ師が予想外に健闘している。仮にロウハニ大統領が敗北すれば、 再選を目指す現職としては38 年ぶりとなる」と報じています。
相手候補の健闘は、ロウハニ大統領をとりまく経済環境が厳しいからです。

■前任のアフマニディネジャド大統領のもとで 30%だったインフレを9%まで抑制したものの、依然として物価が上がっている

■賃金は増えているが、物価上昇率に追いついていない。

■その結果、イラン人は 2005年と比べて肉や乳製品などの消費が減っており、経済制裁の解除で生活がよくなると主張してきた現政権には痛手

■去年1 月、一部解除された経済制裁の結果、原油の輸出は 2倍に増え、制裁前の水準まで戻っているが、イランにとって不幸だったのが原油価格が世界的に下落し、その結果、フマニディネジャド 政権の経済制裁がもっとも激しかった時期と比べても、原油による収入が減り、ロウハニ大統領に予算をばらまく余裕がない

■今の経済成長率は 4 %で、前政権の6.6%に比べてはるかに低く、雇用の増加につながっていない

■金利高のためイランの非原油セクターの企業業績は厳しく、雇用は 2015年に減り、2016年も横ばい。

■ことし 2月、IMF=国際通貨基金は銀行の資本増強などが「緊急の課題だ」と助言したということで、ロウハニ大統領を取り巻く環境は決して望ましくないということです。

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