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トランプ弾劾の声高まる ウォーターゲート事件当時の経済と、今日の違い

トランプ大統領がコミー前FBI長官に対し「フリン前大統領補佐官(国家安全保障担当)とロシアの関係を巡る捜査を打ち切れ!」とプレッシャーをかけていたことが明るみに出て、「トランプ大統領を弾劾せよ!」という声が高まりつつあります。

アメリカ合衆国憲法第2条第4項に「背信、贈収賄、その他の深刻な犯罪ないしは不品行があった場合」弾劾の動議が起こせることが規定されています。

ここでの「その他の深刻な犯罪ないしは不品行」とは真実を語ると宣誓をした後の陳述で嘘をついたとき、権力を濫用したとき、贈収賄、脅迫したとき、国家財産の不適切な使用、監督不行き届き、職務怠慢、不作法などを指します。

弾劾(impeachment)の動議は下院が発します。上院はそれを裁判にかけます。最高裁はそのような弾劾裁判の進行に関し、口を挟めないという判例が、「ニクソンvs.アメリカ合衆国」の裁判で出ています。

なおアメリカ大統領が弾劾裁判にかけられたケースとしては1868年のアンドリュー・ジョンソン大統領、1998年のビル・クリントン大統領のケースがありますが、いずれも罷免には至っていません。またウォーターゲート事件のリチャード・ニクソン大統領の場合、大統領の方から先に辞任したので弾劾裁判には至りませんでした。

トランプ大統領がコミー前FBI長官をクビにしたことが、弾劾の動議を発するのに十分かどうかは、僕にはわかりません。

ただ内気でコンプレックスのかたまりだったニクソンが弾劾裁判という屈辱を到底堪えられないと判断し辞任したのに対し、厚顔無恥なトランプ大統領が、弾劾裁判を気に掛けるとは思えません。

ニクソンが辞任したとき、米国株は下げました。

しかし、その対比をトランプに当てはめるのは少し注意が必要だと思います。

まずニクソンはウォーターゲート事件がものすごく深刻化するまでは、歴代の米国大統領の中でも最も赫々たる業績を上げた、「仕事の出来る」大統領でした。
一例としてベトナム戦争の幕引きは先代の大統領たちが試み、無残に失敗した懸案でしたが、ニクソンは「名誉ある平和」をアピールし、撤兵をやりとげました

その下準備として米中の国交回復をやり、中国を国際社会へ復帰させたのもニクソンです。

合衆国環境保護庁を設置し、エコへの取組みを始めたのもニクソンです。

また社会福祉制度のテコ入れも行いました。

経済の面では「ニクソン・ショック」により、それまでのドルとゴールドの兌換制度を止めました。その関連で、ドル/円も変動相場制へ移行したのです。

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このようにニクソンは在任中にとても大きな功績を沢山残しているのに対し、トランプ大統領は過去半世紀の大統領の中では最も「何もできていない」大統領です。

そのことは相場的には「あいつが居なくなっても、別に痛くも痒くもない」という判断になることも考えられます。もっと踏み込んで言えば「弾劾は好材料」と捉えられる可能性もあるということです。

また経済面では、ニクソンのときは変動相場制へ移行してドル安を演出した関係で、インフレが起きやすくなっている折に、ヨムキプル戦争が勃発し、エジプトとシリアが手を結んで突如、イスラエルに攻め込みました。アメリカがイスラエルに武器支援したことを受けて石油輸出国機構(OPEC)がカルテルを結び、いわゆる第一次石油ショックが起きるわけです。

だからマーケットは既にインフレ圧力で、たじたじになっていたことを念頭に入れておく必要があるでしょう。

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