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無線LAN“タダ乗り”は無罪 地裁の判決に広がる波紋


高市大臣も判決に異論? ©共同通信社

 無線LANの“タダ乗り”は罪には問われない――。電波法違反に問われていた松山市の無職・藤田浩史被告(32)に対し、東京地裁が言い渡していた無罪判決が、5月12日に確定した。

 司法担当記者が解説する。

「被告は2014年、近所の男性が利用する無線LANの『暗号鍵(パスワード)』を解読し、インターネットを無断で使っていたとして電波法違反の罪に問われていました。電波法は『無線通信の秘密を無断使用した者』に対する刑事罰を規定していますが、検察側は公判で『被告は無線通信の秘密と言える暗号鍵を無断で使用した』と主張。しかし、判決では『無線通信の秘密は、通信の内容として送受信されるものを指し、その内容を知るための手段に過ぎない暗号鍵は該当しない』と判断した。つまり、『タダ乗りは無罪』とされたのです」

 だが、被告はタダ乗りによってネットに接続し、企業や個人にウイルスメールを送付。ネットバンキング用の暗証番号を盗み取り、預金約520万円を送金させるなどして不正な利益を得ていた。

「このように無線LANが犯罪に悪用された場合、持ち主が犯罪者に仕立て上げられる可能性もあるのです。パスワードの解読が無罪となれば、タダ乗りが横行しかねません。無罪判決に有識者からは『判決は妥当だが、こうした犯罪には新たな法整備で対応するしかない』などとするコメントが相次いでいます」(同前)

 ところが、総務省は東京地裁とは異なった見解を示し、波紋を広げている。

「総務省は12日、無罪確定を受けて、『暗号鍵を割り出すために、他人の無線LAN機器に繰り返し通信をかける行為は電波法違反の無線通信の秘密の窃用に当たる』との見解を公表しました。高市早苗大臣も同日の閣議後会見で『今後判決を精査していく。総務省としては、無線LAN利用者に最新のセキュリティ対策を講じていただきたい』と発言しています。総務省としては新たな法整備には手を付けたくないのかも知れません」(総務省担当記者)

 いずれにせよ、藤田被告は不正アクセス禁止法違反や電子計算機使用詐欺罪などは有罪と認定され、懲役8年の実刑が言い渡された。タダ乗りが無罪でも、その先の犯罪行為が許されるわけではない。

(「週刊文春」編集部)

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