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なぜ飛ばない? ゴルファーが自分を過信する理由

かつてないほどハイテク装備したアマチュアゴルファーがグリーンを狙っている姿を想像してみてほしい。レーザーを使った双眼鏡はカップまでの距離を正確に計測してくれる。GPS機能を搭載した装置を使えば、グリーンの前方や後方までの距離をすぐに知ることができる。

 しかし、新たなデータ分析から明らかになったのは、どの程度の距離を飛ばす必要があるか容易に分かるようになっても、「ゴルファー心理」は簡単には変えられないということ。つまり、実際の能力よりも自分が飛ばせると思いがちなことだ。

 ゴルフクラブに装着して使うショット解析ツール「アーコス(Arccos)」によって集められた600万打以上のデータを分析したところ、アプローチショットの40%はグリーンの手前に落ちていることが分かった。グリーンオーバーの8倍の数字だという。

 このデータは単にゴルファーの能力を集合的に示しているだけではない。多くのゴルファーが間違ったクラブを選択してしまう要因である認知バイアスがいかに根強く、克服が難しいかを示しているのだ。


 ハンデ12のアマチュアゴルファー、保険調査員のジェフ・ベグレーンさん(31)は、残り150ヤードでは9番アイアンを選ぶことが多いと話す。9番アイアンでクリーンヒットした時の自身の距離がそれぐらいだからだ。しかし「結局は20ヤード足りず、なぜ届かなかったのか?」と悩むことになるという。

 その答えは、風の強さや向き、コースの高低差など様々な要因に左右される。しかし多くの場合、不本意な結果になるのは、ほとんどのゴルファーが常にベストショットを打つことはできないからだ。ベグレーンさんはこう語る。「実際に自分が何回ベストショットを打ったか、そして何回試したのか? いざとなると頭から消えてしまう」

 ミシガン大学の心理学教授デビッド・ダニング氏は、アーコスのデータに見られた傾向と自身が過去20年にわたって研究してきた現象は一致すると話す。人間が自分の能力を過信するのはなぜなのかという研究だ。

 ダニング教授は1999年、共同執筆した論文で、人々はさまざまな社会的および知的分野で、自分の能力に過度に高い自己評価を与えがちだと指摘した。

 また1992年には、シリコンバレーのソフトウエア企業2社で働くエンジニアが自分を相対的にどう評価しているかの調査を実施。その結果、自身をトップ5%の業績優秀者だと考えていた人の割合は1社で42%、もう1社で32%に上ったという。

 「自分たちがどれほど優秀なのかを考えるとき、我々は可能性について考える」とダニング教授は指摘。「人々はプラス面を若干重視し過ぎである一方、マイナス面を大幅に割り引いて考える傾向がある」と語った。

 さらに、奥行きに関する感覚も希望的観測によってゆがむことがある。同教授の2009年の研究によると、人は同じ距離に置かれた2つの対象物のうち、好ましいと思う方をより近くに感じる傾向がある。

 とはいえ、一部ゴルファーにとって悩ましいのは、多くの場合、自信を持ってプレーするのも重要であることだ。ベストショットをイメージし、不安を払拭してスイングするよう教えられることも多い。しかし、クラブの選択には、より実際的な判断が必要だ。

 スポーツ心理学者のボブ・ロテッラ氏はこう語る。「常に絶対の自信を持ってスイングしたいだろうが、戦略的意志決定では、保守的になり過ぎるぐらいの方が良いだろう」

By Brian Costa

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