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景気の良くなった実感というのはありません

こないだ「景気回復の実感」という話題があがっていた。

数字としては景気回復はしてるが、実感がない。実感が伴うレベルの景気回復を、という話は庶民感覚としてわからんでもない。まあしかし景気回復というのは基本的に実感できないものなのである。

バブル期に年収4桁万円を稼いでた人たちが「バブルの恩恵など受けてない」と自信満々に発言してるのを見かけたことがある。飛び抜けて能力が高いというわけでもなく、地方の中小企業で働いてそれくらいの給与が出た時代というのがあったわけなのだが、それを景気のおかげだとは1ミリも思ってはいなかったようだった。たぶん「がんばって働いたから」くらいの感覚なのだろうし、そういう人は「昨今の若者はがんばってない」くらいに思ってたりするわけだ。見事な老害のできあがりである。

ドットコムバブルの時代は記憶にあるが、特に景気が良かったという実感はない。ただ今から思えば「ちょっとコンピュータに強い素人」くらいの人材でも仕事がたくさんあった。人手が本当に足りてなかったのである。ネットでは俗に「人買い」と呼ばれる「ちょっとコンピュータに強そうな素人」を探す人々が散見された時代でもあった。

また景気が回復するというのはインフレも起きるので、物価も上がって出ていくカネも増えていく。

そうしたことを考えると、景気が回復してるときの実感とは想像するような「お金が儲かってウハウハである」というような状態などではなく、むしろ 貧乏暇なし としか言いようがない状態なのである。

景気回復というのは渦中にいると気づきにくい。逆に景気が悪くなるというのはすぐに実感できる。客の金払いが悪くなり、仕事が減っていく。バブル崩壊のときはコロコロコミックくらい分厚かったアルバイト情報誌が1年ほどで薄っぺらい平綴じになった。就職氷河期に就活してた人の話を聞くと、50社回って内定ゼロというのがごく普通だった。数少ないアルバイトは始業時間と同時に申込みの電話をかけると話し中で繋がらず、繋がったと思えば「もう定員です」と言われるような状態だった。人間とはなにかを得るときよりなにかを失うときのほうが強く印象に残るものなのである。

こんな記事もあがっていた。左翼で経済学者の松尾匡氏の記事である。

この経済政策が民主主義を救う: 安倍政権に勝てる対案

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「安倍政権に勝てる対案」などという副題の本を書いてる人でなかなかおもしろそうなのだがまだ読んでいない。庶民としては誰が政権を取ろうとちゃんと経済政策さえやってくれればかまわないし、アベノミクスより景気を回復させる方法があるというのなら大歓迎だ。

ただそれでさらなる景気回復ができたとしても、我々庶民の実感は 貧乏暇なし を超えることはないだろう。だがそうしてまともにお金が支払われる仕事が継続してあるというのが、景気が良いということなのである。そう、バブル期ですら庶民の実感というのはその程度のものだったのだから。

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