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北朝鮮情勢で恥をかく共産党――「地上の楽園」「リアルな脅威がない」 - 松田 明

新たな段階に入った脅威

 5月14日の朝、北朝鮮が今年に入ってから7回目となる弾道ミサイルを発射した。

 同国西部クソン付近から発射されたミサイルは約30分間飛行し、約800キロ離れた日本海に落下した。CNNは、落下地点がロシアの太平洋艦隊司令部があるウラジオストクから60マイル(約97キロ)しか離れていないと報じている。

 北との対話路線を打ち出していた韓国の文在寅大統領が就任した直後、また中国が〝今年最大の外交行事〟と位置付けて世界のおよそ140ヵ国のリーダーを集めた「一帯一路フォーラム」の初日の朝の発射である。

 国連安全保障理事会決議1695、1718、1874に対する違反となることは言うまでもない。

 今回のミサイルは高度2000キロまで上昇したと推測されていて、これは迎撃を困難にするのと同時に、角度を変えれば射程4000キロを軽くカバーすることを意味しており、国際社会の安全保障上の脅威がさらに段階を増したと指摘されている。

 また潜水艦発射型弾道ミサイル(SLBM)の実験精度を着実に上げていることや、北朝鮮を監視する米国の研究機関「ノース38」がSLBM発射実験に使う船舶の存在を衛星写真から割り出していることで、近い将来、北朝鮮が世界のどこからでも弾道ミサイル発射できるようになる可能性が懸念されている。

多層的に連携する自公政権

 北朝鮮のこうした状況は、東アジア・太平洋だけに限って考えても、もはや各国の安全保障が従来の単純な関係図式だけでは語れなくなっていることを示している。

 日本、米国、ロシア、中国、韓国、さらにオーストラリアやフィリピンなどを含め、それぞれの国同士には軍事的緊張や利害の相違、国内世論への配慮がある。一方で、それでも各国が協調して微妙なバランスを探りながら安全保障の隙間を埋めつつ、水面下を含めた外交努力を絶やさないという、きわめて多層的で高度な舵取りが要求されている。

 自公政権は、民主党政権時代に〝国交正常化以来で最悪〟となってしまった日中関係の修復に努め、失われた日米間の信頼を回復し、独自の日ロ外交を積み重ね、韓国とも慰安婦問題をめぐる「最終的かつ不可逆的」な合意をし、軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を締結して日米韓3カ国が北朝鮮の動きを情報共有できる態勢をようやく整えた。

 とりわけ日中、日韓の関係改善に、連立与党の公明党の果たした役割が大きかったことは過去(前掲コラム)にも言及したところである。

 作家で元外務官僚の佐藤優氏は、

 1988年から95年まで旧ソ連とロシアで外交官をやって来た私から見ると、ソ連・ロシアと日本の外交に公明党が及ぼした役割は極めて大きいのです。(『いま、公明党が考えていること』佐藤優・山口那津男/潮新書)

とも証言している。

志位氏「北朝鮮にリアルの危険ない」

 他方、この北朝鮮の脅威が日に日に現実味を増すなかで、今さらながら批判と冷笑を浴びているのが、日本共産党だ。  すでに北朝鮮がミサイル実験を繰り返しつつあった2015年11月7日、共産党の志位委員長はテレビ番組でこう言い放った。

 北朝鮮、中国にリアルの危険があるのではなく、実際の危険は中東・アフリカにまで自衛隊が出て行き一緒に戦争をやることだ。(産経ニュース 2015年11月7日

 だが、発言から2ヵ月も経たない16年1月6日、北朝鮮は「水爆実験」と称する核実験を実施。昨年だけで2回の核実験を行った。  2015年9月に可決成立した平和安全法制の背景に、エスカレートする一方の北朝鮮の核開発と軍事的挑発があったことは衆目の一致するところである。

 その平和安全法制に「戦争法」とネーミングして反対していた共産党は、北朝鮮には「リアルな脅威」がないと言いつのり、平和安全法制によって自衛隊が中東・アフリカで戦争をするかのように国民の不安を煽り立てたのだった。

 しかし、実際には平和安全法制が施行されたことで自衛隊の活動には明確な縛りがかけられ、緊張が続く南シナ海にも哨戒機すら飛ばしていない。5月27日には南スーダンでPKO活動を行っていた陸上自衛隊の撤収も完了する。

 むしろ朝鮮半島でいつ不測の事態が起きるかわからない危機が続くなか、日米韓豪などの同盟国は隙間のない安全保障の連携に努めている。

 誰しも平和を願っており、だからこそ戦争に至らないよう、複雑な政治状況のなかで多国間の連携と合意形成を進め、少しでもリスクを下げる高度な政治手腕が必要なのだ。

 かつて北朝鮮を「地上の楽園」と賛美し、在日朝鮮人やその妻となった日本人など9万3000人の北朝鮮帰還を推進していた日本共産党。  今ごろになって志位委員長は、

 北朝鮮のミサイル発射は、国連安保理決議に違反するものであり、強く非難する。(しんぶん赤旗4月30日)

などとコメントしているが、恥の上塗りというしかない。

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