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銀行名には「日本の事情」が詰まってる。

三菱東京UFJ銀行から「東京」の名が外れるという報道が相次いだ。正式ではないが複数ソースが報じていて、おそらくそうなるのだろう。

今回の件のニュースでは「長過ぎる」ということも報じられているが、もちろんそれだけではないだろう。日本の銀行の行名変遷を見ていてくと、いろんな事情とおもしろいキーワードがあって、それは「財閥」と「英語」だと思う。

まず、財閥名だけれど、実は戦後に名を変えている。いわゆる財閥解体に伴うもので、三菱は千代田銀行、住友は大阪銀行、安田は富士銀行になった。三井はそれ以前に第一と合併して「帝国銀行」になっている。その後、結局袂を分かったので「帝銀」はあの事件でしか聞かなくなり、それもまた忘れられそうだ。

しばらくして、財閥名は復活するが「富士」のみは継続されて、その後「みずほ」となる。財閥名を残さなかったことも、まったく新しいひらがな行名を採用できた一因だろう。その後は安田火災も「損保ジャパン」になった。

一方で、住友とさくらが合併して時に「三井住友」になった時は、アッと思った。新行名どころか、太陽神戸を忘れるようにして三井が復活したのだ。当時、会社の先輩のCDが「なるほど……」と悔しそうにつぶやいたのを思い出す。保険も含めて財閥名を堅持しているようだ。

一方で三菱は、保険には名を冠していないが電機や自動車など消費財のブランド名だったりしている。

というわけで、まず「財閥名」をどうするかが一つのカギなのだが、最近は英文も影響する。

三菱銀行はThe Mitsubishi Bankだったが、東京銀行と合併してBank of Tokyo Mitsubishiとなった。既に海外で知名度の高い英語名の後ろにMitsubishiを加えたのだ。

一方で、三井住友銀行はのSMBCはBanking CorporationでHSBCに倣ったというか模したのだろう。英語ではSが前に来るが「日本語よりも英語が大事だから」と当時住友銀行の関係者から聞いた。大人の駆け引きだ。

三菱UFJ信託銀行の法人融資を三菱東京UFJに集約させるという話もあったし、今後はグループ一体経営をしてMUFGにブランドを集約する流れだろう。
もっとも日経電子版で「三菱UFJ銀行」で検索すると、いくつかの記事がヒットする。そうやら単なるミスのようだが、既に先走っていた記者もいて校正も抜けたのか。

そんな感じだから、今回の行名変更も「まあ、そうだろうな」という感じだけれど、かつての東京銀行を知っている世代の者には時代の流れを感じさせる話だ。店舗は少ないが、空港などには東京銀行の両替窓口があり特別感があったのだ。
ちょっと「おつかれさま」という気分になる。

銀行名は無機質なようでいながら、その背景を見ていくと日本の事情がいろいろと凝縮されているのだと思う。

※そういえば銀行の戦後史については「住友銀行秘史」という本があって、話題になっていて一読したのだけれど、これほど見事に「知り合いになりたいような人が全く出てこない」ノンフィクションも珍しかった。近所の公立図書館を調べたらなんと350人待ちという東野圭吾並みの予約なので「読みたいけどカネは払いたくない」リタイア男性が待っているに違いない。
こういう生臭さとは離れて「名前」について知的な話を読むのなら、この「名前と人間」がお薦めである。

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