記事

FBI長官罷免について ‐テールリスクを比較したトランプ‐

先日の記事の最後の箇所に、大尾としてFBI長官解任の話を補完してたんだけど、閲覧者の方であればピンときた方がほとんどかと思われる。以下恐縮ながら当ブログ3月21日記事から抜粋。

FBI本格介入でドル下落の兆し (3月21日)

ロシアのサイバー攻撃問題にFBIが本格介入する可能性が(皆が思っていた以上に)高くなった事によって現司法長官の議会証言が偽証なのではないか、という事で突かれている。日本でも稲田防衛相の虚偽答弁が問題になっているが、米国のセッションズおよびトランプ大統領がこの流れを乗り切れるかはわからない。やや分が悪いように映る。

なぜなら米下院情報特別委員会で20日に開かれた公聴会にて、FBI長官がロシアとの接触問題だけでなく、トランプのいうオバマの盗聴問題についても証拠不十分と明言したからだ。これはFBIの立ち位置を鮮明にする、若しくはそのように印象付けるもので、この事によって共和党内でも経済政策をまとめ上げる事が難しくなったことを意味する。意味する、は現時点ではまだ過言かもしれないが、逆風が鮮明になったのは間違いないといえるだろう。

セッションズが辞任に追い込まれた時のマイナスインパクトは、ちょっとしたマクロ統計のプラスインパクトより大きい。 (部分抜粋)

結果的には、この事を誰よりも危惧していたのはトランプだった、という事になる。逆の結果になった。

つまりマーケットに関わるほとんどの人は、セッションズとトランプ政権が打撃を受ける可能性を考えていたものの(ドル下落)、トランプは①コミー長官を解任する事によるテールリスクと、②在任させる事のそれ(テールリスク)を比較し、後者の方がより危険だと判断した事になる。

大統領と議会との兼ね合いを考えた場合、今回の解任判断は愚かな判断だった、といった風に(さっそく)叩かれているが、この2つのリスクを比較すれば今回の判断は妥当だった可能性がある。あとは巻き返しにの問題になる。

たとえばこのままコミー長官の下、捜査が進捗していればセッションズはほぼ間違いなく辞任に追い込まれていただろう。 トランプ(並びにその取り巻き)は批判される事を承知の上で、リスクの大きさを天秤にかけ、小さい方を拾った可能性がある(当然ながら、クリントンがFBIを批判したタイミングに合わせたもの)。 ここでは司法副長官が送付したという解任通知の内容・建前は全くといっていいほど重要でない。セッションズとトランプが劣勢の中、彼らは排他的に、それでいて正当な権利を行使した、といった点が重要になる。誰もが不意を衝かれた形になった。

セッションズが辞任に追い込まれていれば(転載文のように)ドルは下落したであろうし、今回の件でもドルにはちょっとした重しになる可能性は残るが、通貨の視点でみれば彼はそれを望んでいる。いずれにせよ議会との兼ね合いでは火種を残し減税公約は蜃気楼のようになる可能性が出てきた。しつこいようだがトランプはそれを承知の上で判断を下した。

世間的には第二のウォーターゲート事件、なんて言われているが、当ブログでは上記記事ののち、(FBIの)トランプの扱いはニクソン以下、としていた(4月14日)。 つまり、FBI長官の発言内容がウォーターゲート事件当時より酷いと感じていたし、そういう情報がチラホラと流れていた。 それを考えれば然るべき判断に行き着いただけなのかもしれない。ウォーターゲート(事件)より直接的、不意を衝く形でやってのけたという事。

今後はFRBとの関係が一層フォーカスされる事になる。FRBが連続的利上げを実施し、機械的にドルが上昇するような事になれば議長再任はなくなる可能性あり、こちらの方が世界経済にとってはより直接的な影響がある。

付記: 「ゲェ」と思ったのはトランプ自身だったんでしょうね

あわせて読みたい

「FBI」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    野田聖子氏の文春砲を扱わないTV

    小林よしのり

  2. 2

    橋下氏 新党で延命する議員は害

    橋下徹

  3. 3

    iPhone iOS更新で使える11の裏技

    ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)

  4. 4

    北におびえ足並み乱す韓国大統領

    NEXT MEDIA "Japan In-depth"

  5. 5

    「米は北攻撃できない」は本当か

    自由人

  6. 6

    小池新党は若狭氏の舵取り次第

    早川忠孝

  7. 7

    松本人志マッチョ化は典型的変節

    文春オンライン

  8. 8

    小池新党は選挙対策「互助会」か

    中村ゆきつぐ

  9. 9

    中国国境に接する北は崩壊しない

    Chikirin

  10. 10

    共産と協力へ 前原氏は支離滅裂

    和田政宗

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。