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大前研一「テクノロジー4.0が生む『新しい格差』。得するのは誰か」

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【連載第2回】「インターネットの次に来る革命」が、世間をにぎわせています。FinTech、位置情報、そして、IoT。「テクノロジー4.0」と称される現在のテクノロジーは、ビジネスモデルや経済のあり様を変えていきます。テクノロジー4.0にはどんな利点があり、今後どのようなビジネスが生まれてくるのでしょうか。

本連載では、大前研一さんの書籍『テクノロジー4.0 「つながり」から生まれる新しいビジネスモデル』(2017年2月KADOKAWA発行)を許可を得て編集部にて再編集し、「技術がつながることで広がるビジネス」について解説します。

単なる技術革新ではないテクノロジー4.0

テクノロジー4.0を理解するうえで重要なのは、「テクノロジー」という言葉が使われているからといって、テクノロジー4.0を電子技術やコンピュータ技術だと思うのは大間違いということです。

インターネットの発達でサイバースペースが広がり、マルチプルでデジタルコンチネントが加速度的に構築され、国境がないボーダレス経済となっても、パン屋さんがパンを焼き、配送トラックが街を走るといったリアル経済の空間はなくなりません。

むしろ、ほかの空間で成長が起きれば、リアル経済の成長が促されることもあるでしょう。
従来どおりのリアル経済、ボーダレス経済、サイバー経済の中で、マルチプルという飛び道具を使って、見えない大陸=デジタルコンチネントを切り開いていく。
そして従来型の企業を凌駕していく。それがテクノロジー4.0時代に成功するためのビジネスモデルなのです。

ひとつの技術を知るより「全体を俯瞰する視点」を持て


テクノロジーを活用した新しいビジネスモデルが生まれる

これからのビジネスマンに必要なのは、テクノロジー自体の理解はもちろんのこと、「それぞれのテクノロジーのつながりを俯瞰する視点」です。

位置情報とIoTを組み合わせて新しいサービスを提供する、IoTをベースとしたサービスを利用する際にFinTech によって生まれた決済方法を利用するなど、テクノロジーを組み合わせることで新しいビジネスモデルが誕生しています。

テクノロジーのつながりを俯瞰することで、ビジネスのアイデアが生まれやすくなります。 第1章 「テクノロジー4.0」とは何か第2章 「F...

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¥1,728第1章 「テクノロジー4.0」とは何か
第2章 「Fintech」で信用の概念が変わる
第3章 「位置情報ビジネス」が60兆円市場になる理由
第4章 「IoT」で生き残る企業、滅びゆく企業 販売サイトへ

Uber はテクノロジー4.0の申し子

スマホアプリを用いたタクシーの配車サービスで急成長したUber は2009年に設立され、中小にも届かない零細企業から、5年足らずでいきなり時価総額7兆円の巨大企業になりました。
彼らはまさに「テクノロジー4.0の申し子」といえます。

私はよくオーストラリアに行きますが、今はゴールドコーストに昔ながらの流しのタクシーはほとんど走っていません。以前からよく知っているタクシー運転手の男性に尋ねると「街で手を挙げてタクシーをつかまえる人がいなくなりました」と言います。

Uber を利用する人が多いので、街を流して走っていても、客を見つけられないそうです。
しかもUber の方が操業度は高く、ドライバーにとっては実入りも良いのです。

また通常のタクシーではキャッシュが貯まってくると、強盗に襲われる危険性がありますが、Uber ではスマホを使ってオンラインで決済しますから、ドライバーの手元にはキャッシュがなく、安全だというわけです。

ゴールドコーストからタクシーがほとんど消えたのはここ1年ほどのことで、それくらい変化のスピードが速いのです。テクノロジーが介在すると、世の中はすごいスピードで変化します。

Uber が急成長した背景には、配車を可能とする位置情報、データを解析して配車を効率化するビッグデータ、そして代金のやり取りに関わるFinTech があります。

つまり、これからのビジネスにおいては、ひとつのテクノロジーを理解しているだけでは駄目なのです。システム(テクノロジー)がつながって、サービスやビジネスを形成しており、テクノロジーがどうつながっているかを知ることが重要です。

「テクノロジー4.0」で生まれる「新たな格差」


途上国はテクノロジーが浸透しやすい

途上国においては、家族の誰かが海外に出稼ぎに行き、収入の一部を母国で暮らす家族に送金して生計を立てるケースもあります。銀行のネットワークが発達していない地域では送金もままなりませんが、アフリカではスマホを使って送金するサービスが利用されています。

送金する際には、スマホでプリペイドカードを買い、カード使用権を家族に送ります。家族はそれを換金したり、買い物に使ったりできるという仕組みです。
日本ではまだそういったシステムはなく、もはやアフリカの方が発達している感もあります。

このように、テクノロジー4.0の世界というのは、エスタブリッシュメント(確立された体制や制度)のない所の方が自由に競争でき、自由にサービスや商品などを提供できるという側面があります。エスタブリッシュメントの妨害にもあいませんし、エスタブリッシュメントがない国の人の方が、デジタルコンチネントに割と簡単に踏み出せるのです。

古いやり方に慣れていると、なかなか新しい仕組みには移行しにくいのに対し、生まれたときから電話といえばスマホで、固定電話など見たことがないという人の方が、新しいものに簡単になじむというわけです。

例えばインドで講演していると、度々電気が切れます。インドでは、ブラウンアウト(電圧低下)、ブラックアウト(停電)は日常茶飯事。電話も15回ぐらいかけ直さないと相手に通じません。
講演で皮肉まじりにそう話すと、電話会社の総裁がその中にいて、「昔は15回でしたが、今は4回ぐらいで通じるようになりました」と自慢していました。
しかしスマホではそんな心配もありませんし、相手が電話に出なければメールを送ればいいし、留守番電話にメッセージを残しておいてもいい。

インドの電話会社は世界で一番遅れていると思っていましたが、それが解消されるよりも早く、そんなものがいらない世界になってしまったのです。

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