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【米自動車ローンの地雷】

サブプライムローンという言葉を再び目にするようになりました。2008年のリーマンブラザーズの経営破綻を引き起こした住宅ローンではなく、自動車ローン。

低金利を武器に急拡大したものの、ここに来て返済の遅れが目立っていて、自動車の新車販売、さらに中古車販売にも影響しているということです。

「金融危機の再来か」というトーンもあれば、「いいや、住宅のような投機色はないし、市場規模が小さくさほど心配するにあらず」の論調の報道もあります。

Wall Street JournalのBanks Pull Back on Car Loans as Used-Auto Prices Plummet (中古車価格の下落に伴い銀行が自動車ローンを縮小)は、大手金融機関が自動車ローンの規模を急激に縮小していて、その結果、アメリカの自動車販売が落ち込んでいると伝えています。

このうち自動車ローン大手のWells Fargoは、ことし 1月から3月の自動車ローンの組成が前の年の同じ時期に比べて 29%減少し、5年ぶりの低水準と発表したほか、 J.P. MorganやAlly Financial, Santander Consumer  なども同じような動きを示しているということです。

こうした傾向は、4月の新車販売に反映されています。 Auto Data の調べでは、アメリカの新車販売台数は142万6126 台で、前年同月比で4.7%減少。とりわけ信用力の低い人たちを対象としたサブプライムローンを使った販売が減っているとWSJは伝えています。

金融機関が自動車を担保として差し押さえると、中古車として売って利益を確保しますが、中古車の価格が下がっていることから、取り戻せる利益が減っているということです。

住宅のサブプライムローンをきっかとした金融危機のあと、銀行は儲かる事業を探し、自動車ローンに相次いで力を入れたものの、競争が激化したことから、ローンの対象を信用力の低い消費者に拡大したほか、返済期間を延長し、基準を緩和しました。

「自動車販売は中央銀行の低金利政策によるイージーマネーに依存したが、消費者は今や、自動車ローンの選択肢が減った上に金利の上昇に直面している」として、自動車販売の先行きへの懸念で締めくくっています。

New York Postは、The debt-bubble landmine Obama left for Trump (オバマ前大統領がトランプ大統領に残したバブルの地雷)は、自動車ローンが隠れた混乱(hidden mess)だと報じています。

「2008 年の金融危機(日本でいうリーマンショック)以降、民主党も共和党も経済を根本的に強くしようという気概はなく、むしろ新たなバブルを作った。今度は自動車業界が対象だ」ということです。

ニューヨーク連銀によると、2010年に 8090億ドルだった自動車ローンの総額は今や、1兆 2000億ドル。とりわけローンを活用しているのが信用力の低い消費者で、返済が60日以上遅れている率は去年末で 4.32%でした。2年前は3.52 %だったということです。

「金融商品に組み込まれ、投機色の強かった住宅ローンと違い、自動車バブルは経済に、とりわけ製造業の雇用に直接打撃となる」と解説しています。

Washington PostはThe auto lending bubble seems to be getting bigger (自動車ローンバブルは拡大の様相)の中で、4月の新車販売が対前年同月比で4.7 %減り、2017年は年間でも減少に転じそうだとした上で、自動車ローンのうち約25 %が信用力の低い消費者向けのサブプライムローンだったということです。

「自動車ローンの返済の遅れは、2008年の金融危機以来の高さで、当時の住宅ローン同様、今回の返済の遅れの多くもサブプライムローンに関連したものだ (delinquencies on auto loans have hit highs not seen since 2008 as America began its long, painful slide into the Great Recession. And just as we saw nine years ago, many of today’s delinquencies are associated with subprime loans) 」としています。

「さはさりながら、いいこともある」として紹介しているのが、新車販売の販売促進費(インセンティブ)の増加で先月は平均で3300ドル(約 36万円)だったということです。値下げは消費者にとってはいいことですが、GMやトヨタにとってはたいへん!

一方、さほど心配する必要ないと主張しているのがThe Economistの Subprime, anyone? (誰かサブプライムローンに関心ありますか?)。

アメリカの新車販売が去年1750 万台の過去最高を記録したと同時に、自動車ローンも5650億ドルの過去最高を記録したと伝えています。

信用力の低い消費者もサブプライムローンを組めたということで、「金融危機の再来か、という声もある」と指摘。

これに対して、「今日、自動車ローンに占めるサブプライムは 21.1%と、2006 年当時、住宅ローンに占めるサブプライムの 13.6%より高い(2016年は 3.6%)のは確かだが、 2兆8000億ドルの住宅ローン市場に比べれば自動車ローン市場ははるかに小さい」と慎重さを求めています。

「自動車のサブプライムローンは金融システムを崩壊させることはないが、規制当局は、家庭の借りすぎの問題は十分に理解している」と締めくくっています。

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