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<ゲス川谷、活動再開>「ゲス野郎」は作られたイメージ?

知久哲也[放送作家]

***

ボーカル・川谷絵音(28)が当時未成年だった交際相手のタレント・ほのかりん(20)と飲酒をしたとして、昨年2016年12月から活動自粛中だった人気ロックバンド「ゲスの極み乙女。」が5月10日に新アルバム『達磨林檎』(ワーナーミュージック・ジャパン)を発売し、アーティストとしての活動を再開した。

ゲス川谷氏といえば、5月7日放送の『ワイドナショー』(フジテレビ系)に出演したことでも大きな話題を集めた。

番組内で川谷氏は昨年1月に週刊誌に報じられたベッキーとの不倫騒動を振り返り、ベッキーを実家に連れて行ったことを「僕がクズ過ぎ」と反省。騒動の渦中に「(ベッキーに)会いたいとも言えないし、奥さんとも話し合っている。でも、気持ちを伝えたくて。まだ、好きだったから・・」と、当時の心境を赤裸々に打ち明けた。

番組を受け、ネットでは、

「ゲス不倫のイメージは一生つきまとう」

「心の底から反省しているようには見えなかった」

「不快だからテレビには出るな」

など、厳しい意見が散見される一方で、

「(ワイドナショーを見て)印象がガラッと変わった」

「今日のゲス川谷はなんか笑えた」

「ゲスさが微塵も感じられなかった」

など、川谷氏のゲスなイメージが大きく覆ったという意見も多く見受けられた。もちろん筆者も番組に出演している川谷氏を見るまでは、多くの視聴者と同様に「ベッキー不倫のゲス野郎」としてのイメージが強かった。

しかし、番組内で共演者にイジられ微笑んでいる川谷氏の姿や、当時の心境を打ち明けている様子を見て「本当はいい人なのではないか?」という感情さえ湧いて来た。事実、ネットを中心に、川谷氏の印象は急激に変わっているように感じる。

筆者に限らず、今まで多くのメディアを通して受けてきた川谷氏の「ゲス野郎」としてのイメージと、『ワイドナショー』を見て感じた「いい人かもしれない」という印象に強いギャップを感じた人は多いはずだ。

今回なぜ、川谷氏はこのようギャップを生み、印象の変化を多くの人に感じさせることになったのだろうか?

まず考えられるのが、そもそもゲス川谷氏の「ゲス野郎」のイメージが、テレビや新聞、週刊誌などのメディアを通して、過剰に肥大化された虚像ではなかったか、ということだ。つまり、「いい人かもしれない」という方が実態で、「ゲス野郎」は作られた虚像ではないかという理由だ。

不謹慎である事を承知で言うとすれば、昨年の川谷氏とベッキー氏の一連の騒動は筆者の放送作家という立場から見ても、写真週刊誌的なゲスさが、スキャンダルというエンタテインメントとして楽しめる要素が多分にあった。

ベッキーという優等生キャラの相手役もさることながら、数あるゲスな話題・騒動の中でも頭ひとつ以上飛び抜けてゲスいことは確実で、騒動の発端となった一連のLINEのやりとりの流出などは、スキャンダルの構成要素としては、もはや「芸術」の域に達していた。

その実態がどんな人であろうが、メディアとしては、ベッキー&ゲスの2人に、最大限にゲスなイメージを与え、肥大化させた方が面白いことは間違いないからだ。

一方で、ダウンタウン松本率いるバラエティ番組『ワイドナショー』が持つ「笑い」の力が川谷氏の「ゲス野郎」のイメージを綺麗に浄化させた、という可能性もある。

例えば、5月7日放送『ワイドナショー』の番組冒頭、川谷氏を紹介する際にコメンテーターの松本人志氏が「ゲスが来たぞー! ゲスがいるぞー!」と絶叫し、スタジオは爆笑に包まれた。ここで番組を見ていた多くの視聴者が何となく抱いていた川谷氏のテレビ出演という違和感が笑いに紛れ、素直に受け入れる事が出来たはずだ。

さらに、川谷氏がベッキーの名前を発する度に「ベッキーって言ったぞー!」とイジるなど、松本氏や共演者のイジりにより、スタジオは度々笑いに包まれた。

こうした笑いのフィルターを通して、川谷氏の話題を扱ったわずか30分足らずの間に川谷氏が持つ「ゲス野郎」という印象は、ただの「作られたキャラクター」ではないか、というイメージに見事に差し替えられたように思う。

ついでに言えば、これが松本氏を含めた超一流の芸人のバラエティ力なのだと感銘さえ受けた。川谷氏は出演する番組選びに大成功したとも言える。

ただし、ベッキーとのLINEのやりとりを見る限り、ゲス野郎であることも否定はできない。そう考えると、ゲス川谷氏の「いい人かもしれない」という新たな印象もまた、作られた虚像なのかもしれない。難しい。

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