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米中による朝鮮半島奪い合い

宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)

【まとめ】

・仏大統領選、ルペン候補の過小評価は禁物。次は6月議会選挙。

・北朝鮮は「終わりの始まり」。

米中で朝鮮半島の奪い合いが始まる。

今週のハイライトはやはり仏大統領選挙だろう。日本の一部経済専門家は「親欧州・新自由主義的政策を掲げた中道マクロン氏の選出は世界経済や市場にとり朗報」だと高く評価していた。EU分裂、保護主義傾斜のリスクは後退したというのだが、果たして本当なのだろうか。

詳しくは今週木曜日の産経新聞コラムをご覧いただきたいが、筆者の見立てはそれほど甘くない。理由は簡単、今回ルペン候補が決選投票に残っただけでなく、総得票の三分の一以上を獲得したことを決して過小評価すべきではないと考えるからだ。

今年1月21日、欧州各国の右派ナショナリスト、ポピュリスト政党党首らがドイツ西部コブレンツに集まった。出席したのはドイツのための選択肢(AfD)、オランダ自由党、オーストリア自由党、フランス国民戦線、イタリア北部同盟)の党首などだったが、彼らの政治活動は各国で大きく異なる。

されば、今回のマクロン候補の勝利で欧州の民族主義・大衆迎合主義の拡大に歯止めがかかったと判断するのは早過ぎるような気がする。少なくとも、6月の仏議会選挙の結果を見なければ何とも言えないのではないか。各国国民の民族主義が異常なほど強靭な欧州地域の内政外交を過小評価すべきではない。

欧州・ロシア

先週末の仏大統領選決戦投票では下馬評通り、マクロン候補が勝利したが、問題はこれからだ。同氏の長所も短所も「政治未経験のアウトサイダー」に限りなく近いこと。若輩の彼がどうやって仏議会選挙を仕切るのか。失敗すれば、ルペン候補は息を吹き返し、5年後を目指すだろう。仏の既存二大政党への不信感は想像以上に深い。

東アジア・大洋州

この地域では今、北朝鮮問題ばかりが注目されているが、ここはもう少し巨視的に見る必要があるだろう。2016年以来、米中露三大国間のパワーゲームは新たな段階に入ったようだ。その直接の契機はトランプ政権誕生だが、本質が自己主張する中国の台頭であることは間違いない。

筆者の見立てでは、朝鮮戦争休戦から64年経って、ようやく北朝鮮の「終わりの始まり」が始まり、そこに一種の「力の真空」が生まれつつあるように思える。この「真空」を埋めるべく、米中露は新たなゲームを既に始めており、これから5~10年間に米中露、特に米中で朝鮮半島の奪い合いが始まるだろう。

〇中東・アフリカ〇南北アメリカ

トランプ氏が初外遊に出かける。まずはサウジとイスラエル、その後はバチカン、ブラッセルでNATO首脳会議、イタリアでG7首脳会議に参加する。なぜ、と言われると困るが、オバマ外交をundoすると考えれば良く判るだろう。サプライズがないことを祈るしかない。

インド亜大陸

特記事項なし。

今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。

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