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「核廃絶」への遠すぎる道➁-はみ出し者の脅しに打つ手なし

北朝鮮が核実験の遂行など核開発を着々と進めてきたことを罵ることは容易にできる。
およそ地上に生存する生き物を根絶やしにしてしまう非人道的兵器を、国家間の交渉ごとにおいて弄ぶなどという事は許されることではない。

しかし、現実には人類はキューバ危機以来の核危機に直面していながら解決への決定打を見出しえていない。

このところ、メディアで展開されている北朝鮮の核開発をめぐっての議論は、堂々巡りを繰り返すのみと言ってもいい。
先日NHK総合テレビでの専門家6人による議論を聴いていても、北朝鮮の核開発を止めさせるための打つ手なしという他ない中身に終始していた。

人類は極悪非道の道具を作り出したうえ、それを拡散させた。
ヒロシマ、ナガサキに始まった悲劇の歴史は70年余りの歳月を経て、一段と深刻な状況を生み出してしまった。
今や核兵器を逆手にとって国際間のゲームを自己に有利にすべく使おうという存在を否定することは極めて厄介な問題になっている。

北朝鮮の主張は煎じ詰めれば、大国だけが保有を認められ、そうでない国々が持てないというのはおかしいということに尽きる。
国際社会における弱者が大国と対等に渡り合える唯一のカギを握っているものが核兵器であるとの現実は益々重要になってきている。

米ソという東西の両大国が核開発競争をし、他のすべての国々が固唾を吞んでその推移を見守った時代はまだしも「平和」な時代だったかもしれない。
ヤクザのにらみ合いに似て、堅気には迷惑をかけないという不文律のルールめいたものがあったなどという不適切な譬えを持ち出すつもりはない。だが、少なくとも「暴発」は起こりえぬはずとの妙な確信はあった。

しかし、今日では北朝鮮にそうしたことをしないとの保証を求めることは容易ではない。
核兵器を放棄することが、かつてのリビアのように国際社会で抹殺されることに繋がると見ている可能性は高い。
さらに、少しでも気を抜けば現体制転覆の危機を招きかねないだけに、座して死を待つよりも、との不吉な予測すら現実味を帯びてくるのだ。

近過去における核開発競争で見た風景で生々しい記憶は、米ソ対決におけるソ連の後退である。
宇宙開発で後手に回ったうえ、過剰なる経済・財政負担に耐えられなくなったソ連が対米競争の座から降り、体制変換のきっかけとなったことは、この問題における楽観的見通しが存在する土台を形成している。

やがては北朝鮮も競争に耐えられず、内部的要因から必ず崩壊の兆しが見えてくるはずとの希望的観測である。
私自身もかつてその議論に与しつつ、北東アジアにおける近代化の相違を論じたものである。
つまり、北朝鮮はプレ近代の国家であるがゆえに、今まさに近代をいく中国や韓国、そしていち早くポスト近代に入った日本やアメリカなどが同じ地域で生きていくためには、早急にその文化レベルを上げるしかない、と。

しかし、これも机上の空論の域を出ず、簡単にことは運ばない。米ソのように、ほぼ対等な力関係の中での競争はある意味で決着がつきやすかった。だが、非対称的な関係におけるゲリラ的喧嘩での勝敗はなかなか時間がかかるように思われる

通常の社会常識、国際常識が通用しない、価値観を異にする者が暴れ出したら、いわゆる普通の感覚に立つ側としては、その対応は困難を極める。
加えて、北朝鮮の核開発をめぐる動きは、トランプ米国大統領の登場という予測困難な要素がその危険性を増長させた側面が無視できない。
シリア攻撃の劇的展開に見るように、”北朝鮮潰し”にかかる大国のエゴという危険性である。

双方のリーダーの特殊性といった従来にない要素も絡んで、今回の核危機は大いなる”チキンレース”との見方もなされている。
今のところ、それは寸止めとなって回避される公算が高いようだが、核兵器廃絶の道の遠さだけは確実に実感させられたといえよう。(2017・5・7 )

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