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アメリカ経済の息切れ感

2008年のリーマンショックからよくもここまで快調に経済回復が進むものだと感心しているのがアメリカ経済。金融機関が壊滅的打撃を受け、自動車大手が倒産し、多くの不動産が二束三文でたたき売られ、アメリカ国民からは恨み節が聞こえたあの衝撃的事件からの立ち直りはアメリカ サクセス ストーリーそのものといってよいでしょう。

その間のトップにいたのはオバマ前大統領でありますが、思い起こせばオバマ政権の時もねじれ議会で思った通りの政権運営ができたわけではありませんでした。任期終盤はゴルフ三昧かふて寝かと思わせるほどレームダック化し、外交に力点を置いてレガシーづくりに励みました。しかし、それでもアメリカ経済は心地よい回復を遂げました。つまり、大統領も議会も景気への影響力は微力なのかもしれません。

ではその間、誰が経済の主導役だったか、といえばFRB(連邦準備制度理事会)がたくみな金融政策を駆使し、アメリカ経済をどん底から快方に向かわせたことは誰も疑うことはないでしょう。主役はベン バーナンキ氏(2006-13)とジャネット イエレン氏(2013-現在)であります。基本的なスタンスは金融緩和であり、ヘリコプター マネーの異名を取るバーナンキ氏のスタンスにみえるようにマネーじゃぶじゃぶ状態で金利を下げ、企業の投資を促進し、消費を生み出す強烈なスタイルであります。

その結果、どうなったかといえば一般消費者にとって最も高額な買い物である住宅と自動車の販売が急回復します。両方とも金利に敏感であり、この二大柱が消費をリードします。また、その間にアマゾンなどネットショッピングが急速に普及する「消費の進化」もあり、アメリカはその金融政策を享受しました。同時にFRBは徐々に平時政策に戻すべく調整を行っているというのが現在に至るざっとした流れです。

が、ここにきて経済指標にやや変調が見られます。一番明白なのは自動車販売であります。2017年になってから着実にその勢いを落とし始めています。発表されたばかりの4月の自動車販売は年換算1680万台水準で前年同期の1730万台から落としており、このトレンドは変わっていません。1-3月のGDPが低調に終わったのも消費が伸びなかったからであり、今後、変化が起きるのか、注目しています。

個人的には消費者に一種の「買い疲れ」が出ているような気もします。お金を使うには「よし、買うぞ!」というエネルギーがいります。これは案外続かないものでどこかの時点で人間は充足しますので欲求の循環が起こると考えています。これはあるきっかけでそういうムードが蔓延しやすく、案外、トランプ大統領がきっかけではないか、という気がしています。

そんな中、FRBの利上げ予想ですが、今年は3度引き上げを画策し、すでに3月に一度上げています。市場予測では次は6月の利上げ予想が7割を超えているのですが、個人的には6月はパスするような気もします。どちらかといえば今年、あと2回は上げられず、1回に留まるのではないかとみています。確かに雇用統計はすでに目標にリーチしているのですが、賃金の上昇はそこまでではないし、インフレ率も上がってきていますが、急いで金利を上げなくてはいけない状況にはないかもしれません。原油価格もシェールオイルの産出量が想定を上回り、大きく下落しています。予想された景気の過熱感はやや遠いものとなった気がします。

イエレン議長は1-3月の経済減速感は一時的と5月のFOMCで声明を出しましたが、一時的かどうかを見極めるにはまだ早い気がします。

1-3月の企業決算も割とアナリスト予想に届かないケースが続出してます。例えばアップルなどもその一例ですが、一時的に売られたものの一日で株価は回復するなど景気、企業業績、株価それぞれがやや乖離している気もします。売り上げは伸びているが儲けは少ないアマゾンの株価が高騰したり、テスラの株価が半年で8割も上がるのも地に足がついていない気がします。

一方でSell In May(株は5月に売れ)という見出しが例年以上にあちらこちらで目に付くのは気のせいでしょうか?

個人的にはアメリカではシステマティックな経済問題は起きないと思いますが、経済循環や踊り場という言葉があるように一本調子では物事は進みません。アメリカ経済もここで一息入れて熱気覚ましをしてもよいのかな、という気は致します。

では今日はこのぐらいで。

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