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どこがやろうと日本企業主導の電子書籍は成功しない

楽天がカナダの電子書籍ビジネス会社、Koboを買収して意気上がっているようですね。

「出版、そして書籍の歴史が変わる重要な日」――楽天三木谷氏が明かすKobo買収の意図

もちろん国内での電子書籍の展開も考えているわけで、記事によると国内の出版社は、様子見と言いつつも期待していることを隠しきれないようです。例のAmazonの電子書籍の条件があまりに悪かったから、こっちならもっと出版社に有利な条件にしてくれる、という思惑があるのでしょうね。

「こんなの論外だ!」アマゾンの契約書に激怒する出版社員 国内130社に電子書籍化を迫る

このAmazonの条件および出版社側の解釈が事実であるとするならば、確かにまともに飲める条件ではありません。

国内出版社が論外と思うAmazonの電子書籍と、国内出版社が期待を寄せる楽天の電子書籍。ブログのテーマとはややズレているにも関わらず電子書籍をたびたび取り上げてきたわたしが「どっちが買いか」と問われたら迷わず「そりゃAmazonの方」と答えます。なぜなら、楽天は日本の企業で、Amazonよりも国内の出版社が期待を寄せているだろうと思われるからです。


この10年ですっかり日本企業のイメージは変わりました。昔の攻めの経営から守りの経営になり、特に国内市場ではその権益を守ろうとするばかり。そのためならば消費者を全員泥棒扱いすることになんらためらいを持っていません。むしろそれを前提としたビジネス展開を行うようになっています。その最たる例が、テレビでした。

「著作権の保護」という、著作者の権利保護でも著作権保護法でもない曖昧な解釈の出来る言葉を武器に海外メーカーを閉め出し、世界に類を見ない凶悪な録画規制の導入を"自称"「紳士協定」によって決めてしまい、それを当然と言う世の中を作るべく消費者の反対意見を無視し続け、規制が残ったままテレビをアナログからデジタルへ移行させることに成功しました。これによって録画規制・ダビング規制を「あって当たり前」の空気化にも成功した、とテレビ業界は考えているでしょうが、実際にはあきらめの空気が蔓延しただけです。CCCDに始まり、強プロテクト音楽配信、B-CAS、こぴぃわんすと消費者を泥棒予備軍扱いし、良くてダビ10・しかもその導入時に"アナログダビングは無制限"のミスリードを意図的に放置して反対意見を煙に巻こうとした過去を、少なくともわたしは忘れていません。はっきりとは覚えていなくても、この分野に関心の強い人は日本企業の連合に同様の空気を感じる感覚を持ってしまっていることでしょう(そういう意味では"空気化"に成功していますね)。

「録画やダビングの規制は映像や音楽分野がやったこと。書籍は別」と言う反論意見が出るかもしれませんが、どの関連企業からもそういう規制に「強化」や「企業側の選択の余地」を求める声はあっても規制撤廃を求める声は皆無なことから、同じ著作物を扱う日本企業、同じ穴の狢と考え、同等以上の規制を求めていると言うイメージを持つのが普通でしょう。

日本企業が電子書籍に乗り出す、という話が出たのはAppleがiPadを「電子書籍の時代を拓く」とかなんとか言って売り出したときに「今度こそAppleに市場取られてなるものか」といくつかの出版社や取り次ぎが連合組んだ時でしたが、あれもまず最初に思ったのが「ああ、まずDRMがどうのこうのとか、バックアップは取らせないとか、まずそういう不便規格から最優先して決めているんだろうな」というものでした。実際はどうだったか分かりませんが、規制やプロテクトに関しては向こうが情報を出したがらないこともあって、買わない限りよほど熱心に情報を探らなければ知るよしもありません。

「それだったら売れて情報がたっぷりと入手出来るまで様子見していようか」

多くの人がそう考えたのではないでしょうか。はたしてSHARPは大幅な見直しを余儀なくされ(どう見ても撤退ですが認めていないので)、ソニーのリーダーも売れている様子はありません。少なくともデジモノ好きなら自然と情報が入ってくる、ほどは売れていないようです。リーダーが売れなければ電子書籍販売も微々たるものでしょうね。最初のリンク先でも「国内の電子書籍市場の活性化も期待」などと書いてあるくらいですから大きく間違ってはいないでしょう。


今や日本企業の結託イコール「技術力で使い勝手を悪くした」製品群。そういうイメージを音楽やテレビ業界は「諸外国でもやっている」と「日本は特別」を都合によって使い分け、10年かかって完成させました。楽天も日本企業である以上、そのイメージから逃れることは出来ません。どうしても海外の企業主導の方が、少なくとも技術力を駆使してサービスを悪くする、なんてことはやらないだろうし、高飛車な態度の方が大手出版社の言いなりにならずに使い勝手が良くなりそうという期待が持ててしまいます。実際には、例えばHuluにしても日本限定で広告による無料視聴サービスはやらない、なんていう海外より劣るサービスしか用意してなかったりするのですが、それでも国内の有料コンテンツ配信サービスより話題になっているのですから、付いたイメージというのは怖いモノです。

あくまでイメージはわたし個人の感想ですが、大なり小なり日本企業に不信感を持ち、海外企業すなわち「外資系」のやることが信頼出来ると思っている人は増える一方だと思われます。例えやっていることが海外と全く同じでも、日本では「また日本企業の談合による規制強化か」としか解釈されないでしょう。楽天も海外事業まで含めるのならともかく、国内だけでの電子書籍市場を見た場合、おそらく成功はないでしょう。

それでも、日本企業側が主導権を持つタイプの電子書籍ビジネスが成功するとしたら、余計なイメージを吹き飛ばすほどよほど強い態度を見せるしかありません。例えば

パターン1
・電子書籍主導企業(今回なら楽天)が、Amazonばりの高飛車な態度で条件を提示し、出版側の要望(主に規制に関して)を取り入れず、談合ではないことをアピールする。

パターン2
・まずテレビ側が録画規制や無料放送のスクランブル、もちろん画面に埋め込まれるロゴを完全撤廃して日本企業に付いた悪いイメージを払拭する。その上で電子書籍側は最低限の規制のみにする。

パターン3
・テレビや株券みたいに「あと数年で紙の書籍はすべて廃止になり、電子書籍だけになります。電子書籍リーダーを持たないと、本はもちろん雑誌も新聞も近い将来一切読めなくなります。個人による紙の書籍の発行や過去の書籍の単純所持も法律で禁止されます。「ビンテージもの」の書籍に関しては別途リストを作成し、それに掲載されている紙書籍のみ所有が許されます」みたいな現代版焚書を強行する。

とか。パターン3はタダの嫌味発言ですが、こういう形しか無いんじゃないでしょうか。

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