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ルペンとトランプは似て非なるもの - パスカル・ヤン (著述家)

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 アルセーヌ・ルパンは日本でも有名だ。今回のフランス大統領選挙で、ルペンの名前が日本で報じられることも多くなってきた。本当を言うと泥棒の方はルパンではなくリュパンなのだ。女優ジーン・セバーグのように間違えの発音が有名になって直すことができないのだろう。ピンクパンサーに出てくる警部の従者でアジア人の青年はケイトウと呼ばれているが、加藤のことだろう。したがって、お相子といえる。

 マリーヌ・ルペンの父、ジャンマリ・ルペンも2002年の大統領選挙で決戦に残ったことから注目はされたが、1980年代から際物の問題児として現地では有名であった。日本にまでは名前が通っていない時代が続いていたが、反ユダヤ発言でのお騒がせやら、女性スキャンダルが流れるなどフランスでは笑いものでもあり、アパートに爆弾まで投げ込まれたこともある。その爆弾が破裂したとき、マリーヌ・ルペンがお部屋にいたとのことで、彼女は怖い目にあっている。

 ところで、昨年来トランプの肉声がテレビで流れるようになったとき、どこかで聞き覚えがあると感じた。あの物言いも聞いたことがあると思ったが、ルペンのお父さんであった。この二人はそっくりな濁声で、話の展開も似ている。

 日本での報道はあまりないが、ルペン父はインドシナ戦争の元志願兵で、軍歌をカセットにして売り出して、かなりの財産を作ったと聞いている。また、フランスのゴシップ写真誌に女性とバスタブにいる写真が掲載されたこともある。遠い昔であり、重要性もないことで、記憶も定かではないが、80年代の終わりだろう。

 そんな、泡沫候補だった父を破門し、国民から3割もの支持を受ける立派な政党の党首として出てきたのがマリーヌ・ルペンだ。

 マクロンと共に第一回の勝利者として勝利宣言を聞いたが、マクロンより遙かにクリアーなメッセージを発していた。生まれ持ったスピーカーとしての才能を感じてしまう。逆にマクロンは初々しさがあり好感を持った人も多いと思う。しかし初々しさでは国は経営できないだろう。
ところで、世話になった老人を追い出して地位を得た人がドイツにもいる。メルケルは、どうにもならないヘルムート・コールを放逐し現在の地位を得ている。元はコールの秘蔵っ子であったが、サッチャーからあれほどのバカは見たことがないといわれるだけあって、脇が甘い。そんなコールを見限り首相の座に就いたのがアンジェラ・メルケルだ。

 際物であったFN(国民戦線)を立派な政党にし、二人とはいえ国会議員も送りだし、大選挙区制の欧州議会では一大勢力を築いたのは、マリーヌ・ルペンの功績かもしれない。

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