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北のミサイルで電車を止める愚

 昨日(4月29日)の早朝、北朝鮮でミサイルが発射されたというニュースがあり、日本の鉄道の一部が運転を取りやめて待機したということだ。この「ミサイルらしい飛行体」は、北朝鮮の内陸から東北方向へ打ち上げられ、数分後に領内に落下したと伝えられる。日本を標的として発射された可能性はない。日本政府の危機管理警報システム「Jアラート」も、行政緊急連絡の「Mネット」も作動しなかった。報道機関の情報だけで、各交通機関が独自に判断した結果だそうだ。

 北朝鮮としたら、防衛能力の高さを周辺国に宣伝したいところだから、過剰に反応してもらったら有難いということになるだろう。このところ北朝鮮へのアメリカの圧力が強まって、原子力空母が日本海に入ったりしている。何かありそうだという不安感があるところに、「北朝鮮・ミサイル」という単語が並べば、反応は強くなる。つまりは国民の緊張感を先取りして鉄道が動いたわけだ。いま流行の「忖度(そんたく)」の一種と考えてもいい。

 でも、これでは、いま流行の「日本全国・緊張感高揚運動」のお先棒を担ぐことにならないか。「共謀罪改め・テロ等準備罪」を通すためにも、「安倍一族」の足下を危うくする森友問題を早く忘れてもらうためにも、国民の間の緊張感は、もっともっと高まるのが望ましい。それには、海外から危険が迫ってくるという場面設定が、いちばん有効に働くのだ。

 現政権の中枢にいる人たちが、今の国際情勢を実際に危機的ととらえていないらしいことは、行動を見ていればわかる。この連休中に、各大臣・副大臣は、それぞれに世界漫遊に出かけて、ほとんど国内に残っていないということだ。安倍首相も、プーチンをはじめとする、気の抜けたような首脳会談を消化して、この後半から自分の休暇に入るのだそうだ。当面は緊急事態は起こらないと見通している。

 その上で、国民は国際関係をネタにして緊張を続けていてくれるのがいい。北朝鮮はもちろん、嫌中、嫌韓でも大いに結構、嫌米にさえならなければ、どこでもいい。緊張感が持続していれば、防衛予算の増額にも抵抗は少なくなるだろう。

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