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心配材料の多すぎる米国株式市場

「米国株式市場は、いよいよ嫌な雰囲気になって来た」、と言う知人トレーダーたちの話をします。先ず、S&P500のETF、SPDR S&P 500 Trust(SPY)の日足チャートを見てみましょう。


上昇する200日移動平均線で分かるように、長期トレンドは明らかなアップトレンドです。現在、ETF価格は3月の高値に挑戦し(1)、ここを突破すると史上最高値が記録されます。正に強いマーケット、といった状況ですが、次にこのチャートを見てください。


今年1月、ニューヨークに上場されている銘柄の78%が40日移動平均線より上にありました(A)。高値を更新した3月、40日移動平均線より上で推移している銘柄のパーセンテージは64%に減りました(B)。そして今日、S&P500は3月の高値に挑戦中ですが、数値は58%に下がっています(C)。言い換えると、S&P500指数は、強いアップトレンドにある銘柄数を減らしながら上昇中ですから、あまり良い内容ではありません。

ボラティリティ指数も心配材料の一つです。


現在の数値は10.82という極めて低いレベルです。これは安心しきった投資家たちの心理状態を表わし、ここから積極的に買うことの危険性が示されています。

金と米国債市場からも気になるシグナルが出ています。ご存知のように、両者は資金の避難場所として選ばれることで有名であり、下は金のETFの日足チャートです。


上昇が顕著になり、金への資金流入の様子を見ることができます。


上は、米国債のETFの日足チャートです。ご存知のように、米国は金利引き上げサイクルに入り、米FRBは早ければ年内にバランスシート縮小を始めることを発表しています。こんな状況ですから、普通なら国債は嫌われ売られる筈ですが、上のチャートで分かるように、米国債は安値圏から最近上放れています。明らかに、資金が国債へ逆戻りしている訳ですから、これは株投資家には気になる現象です。

「金利の上昇は銀行株に好影響だ。銀行株は買いだ」、と言われていましたが、最近の銀行株の動きを見ると不安になります。


上は、銀行株のETFの日足チャートです。矢印で分かるように、中期トレンドを示す50日移動平均線の下降が始まっています。更にAで分かるように、この下降する移動平均線がレジスタンスになっている様子も見ることができます。次の金利引き上げは6月だと言われていますが、こんなチャートを見ると、6月の利上げは無いかもしれないと思ってしまいます。

アップル、アマゾン、フェイスブック、そしてグーグルの人気大型株が最近揃って上場来高値を更新しました。しかし、S&P500指数はまだ高値を更新していません。人気銘柄がマーケットを押し上げることができない状態になっている訳ですから、これも投資家にとって心配材料です。その他にも北朝鮮やシリア情勢も気になる材料です。

季節的な要素も買い手には嫌な材料です。


上のチャートには、過去20年間のS&P500指数の季節性が示されています。見てのとおり、向こう数ヶ月にわたり、S&P500指数は方向性の無い横ばいとなる傾向があります。「5月に株を売って相場から離れろ(Sell in May and go away)」という有名な言葉もありますから、心配材料の多い今日のマーケットを考えると、5月の売りが予想以上に大きな下げを起こす可能性もありそうです。

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