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アメリカに睨まれた北朝鮮【キングコング vs モスラ】

■『国家権力』と『シン・ゴジラ』

 前回の記事で、「憲法9条で縛れるのは自国の国家権力のみ」と書いてみたところ、BLOGOSの方で「左派の人々もそんなことは解っている」というようなコメントを頂いた。
 なるほど、確かに日本の左寄りの人々には「国家」を敵視する人が多いので、憲法が国家権力に対抗する武器であることは理解していて当然かもしれない。
 しかし、もしそれが本当であるなら、左派の人々というのは、日本国内さえ平和であれば、それで良いとする利己主義者だということになってしまう。
 彼らの論法からいけば、憲法9条(平和憲法)が機能していれば、日本が戦争を起こすことはなく、他国から戦争を仕掛けてこない限り、日本は平和なわけだから、戦後70年間、日本が平和であったのは自明の理ということになる。しかし、それが解っているのであれば、彼ら平和主義者が本当に考えなければいけなかったのは、他国から戦争を仕掛けられた場合に、どうやって平和を維持するのか?ということであったはずだ。

 「国家とは人間の富を略奪する無敵の暴力団である」というのは経済学者の故竹内靖雄氏の言葉だが、「国家」というものをもっと解りやすく喩えるなら、昨年話題になった映画『シン・ゴジラ』のようなものだとも言えるかもしれない。
 個人的に、あの映画はあまり面白いとは思えなかった(失礼)が、「国家」というものを暗喩(メタファー)として描いている点は興味深かった。製作者がそれを狙ったのかどうか定かではないが、あのような、頑強でどんな攻撃も通じない巨大な怪獣こそがホッブズが著した『リヴァイアサン』、もとい「国家」の正体でもある。(もちろん、喩え)

 そういった前提(国家は怪獣という前提)に立って、話を進めてみよう。

■『モスラ対ゴジラ』ではなく、『モスラ対キングコング』

 暴走した国家ならぬゴジラは危険だ。暴れ出すと人間では手に負えないゴジラは鎖で雁字搦めに縛っておかないといけない。それはその通りではある。しかし、それはゴジラ以外に怪獣がいない場合の話であって、例えば、日本の外から、モスラがやってきた場合は、その鎖を解いて、ゴジラに威嚇、または戦ってもらわなければいけない。

 現代の日本が置かれている状況は、ゴジラが仮死状態に置かれているようなものであり、20年以上前からモスラが空から攻撃してくる危険性があったのに、ゴジラを縛っている鎖を全く緩めようとしなかった。
 「ゴジラが身動きできないように鎖で縛っておかなければいけない」「ゴジラを縛っている限り安心だ」と言い続けてきたのが、他ならぬ護憲派(平和主義者)の人々の姿だと言える。

 ゴジラが動ける状態であるなら、モスラは日本に攻めることを躊躇うかもしれないが、ゴジラが動けなければ、モスラは攻めやすくなる。これも自明の理だ。ゴジラは70年もの間、鎖に繋がれたまま動けない状態だったので、足腰も弱り、もはや自力では立ち上がれなくなってしまった。ゆえに、キングコングという外国の怪獣に頼るしかないというのが現在の日本の状況だろう。

■トランプ大統領の暗喩としての『キングコング』

 ハリウッド映画には、暗に世相を反映した映画が多いのだが、今年3月に公開された『キングコング:髑髏島の巨神』は、ある意味、トランプ大統領の暗喩になっているような気もする。(本作がクランクインしたのはトランプ氏が大統領になる前のことなので、偶然の産物だが)
 映画では、毎度、愚かな人間に殺されて終わるキングコングだが、今年、蘇った巨大なキングコングは一味違っていた。これも世論(リベラルメディア)によって社会的に抹殺されずに生き残ったトランプ氏を表しているかのようだった。
 髑髏島のキングコングは、自らの縄張り(聖域)を荒そうとする不届き者には容赦なく正義の鉄槌を加える。この部分もまさしくトランプ大統領そのものだ。

 日本は自国民を拉致されても奪い返すこともできず、「ミサイルを撃ち込むぞ」と脅されても抗議するだけで何の抵抗もできずに泣き寝入りすることしかできない。もし、北朝鮮が多くのアメリカ人を拉致すれば、アメリカは泣き寝入りすることなく命懸けで奪い返すだろうし、「ミサイルを撃ち込むぞ」と脅されれば、黙っているはずがない。
 抗戦的に見えたとしても、それは「国家」として当たり前の態度であり、指をくわえて見ているしかない日本の方が可笑しいのである。それは「国家」としての体を為していないということを意味するからだ。

 「ゴジラは縛られているが、キングコングが守ってくれているので、モスラは攻めてこない。」あるいは「ゴジラを放とうと放つまいと、キングコングがいてくれるので関係がない。」というような意見は、要するに、「ゴジラは無力だ」と言っているに等しい。換言すれば、「日本は無力だ」ということになる。
 それが、国家としての当たり前の状態なのであれば、実に大きな自己矛盾を内包していることになる。なぜならそれは、日本の左派が敵対するべき「国家」が無力であると言っているに等しいことになるからである。(=無力である国家に敵対する意味がない)

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