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セブン-イレブン、FC店舗への「チャージ1%特別減額」を支える収益構造

 セブン-イレブン・ジャパンのフランチャイズ(FC)店舗への「チャージ1%特別減額」が話題を呼んでいる。改めて、コンビニ本部とFC店舗の関係を見てみよう。

■10兆円を超えるコンビニ市場を支えるFC店舗


 コンビニが日本に出現したのは、ハンバーガーのマクドナルド店初上陸から3年、1974年のことだ。以来、街中にすっかり定着。現在では10兆円を超える市場にまで拡大したが、それを支えてきたのは、5万店舗を軽く超す国内コンビニのほとんどを占めるFC店舗である。企業としてコンビニ本部と契約し、複数のFC店舗を運営している例も少なくないが、多くは数百万円の資金を出資して経営者になることを決断した個人オーナーが、コンビニの成長を担ってきたのである。

 ただし、営業利益率が30%前後で推移しているセブン-イレブン・ジャパンを筆頭に、「儲けが出るのは、本部ばかり」という指摘があるのも事実。経営的に苦戦を強いられているFC店舗も少なくない。FC店舗の本部への貢献度合い実際の数値で見てみよう。

コンビニ本部とFC店舗の関係 セブン-イレブン・ジャパン(数字は17年2月期。カッコ内は16年2月期)

コンビニ本部とFC店舗の関係 セブン-イレブン・ジャパン (数字は17年2月期。カッコ内は16年2月期)

 17年2月期末におけるセブン-イレブンの国内店舗は1万9422店舗。その98%近くがFC店舗であり、FC店舗合計の売上高は4兆4090億円である。そこから本部に流れた、いわば上納金は16.3%に相当する7230億円。企業としてのセブン-イレブン・ジャパンの売上高の87%弱は、1店舗1日平均にすると10.4万円を納めている計算になるFC店舗によるというわけだ。

コンビニ本部とFC店舗の関係 ファミリーマート(数字は17年2月期。カッコ内は16年2月期)

コンビニ本部とFC店舗の関係 ファミリーマート (数字は17年2月期。カッコ内は16年2月期)

 ユニー・ファミリーマートホールディングス(8028)を結成し、実質的にサークルKサンクスを飲み込んだことでコンビニ2位に浮上したファミリーマートは、経営統合にともなう変則会計で継続性が途切れた面もあるが、やはりFC店舗の貢献度が大きいことは明らかだ。

コンビニ本部とFC店舗の関係 ローソン(数字は17年2月期。カッコ内は16年2月期)

コンビニ本部とFC店舗の関係 ローソン (数字は17年2月期。カッコ内は16年2月期)

 三菱商事(8058)の関連会社から子会社になったローソン(2651)の場合は、およそ1万2000の国内FC店舗の売上高合計は2兆円弱。そこから2739億円を本部に納金。1店舗1日平均6.2万円に相当する。

■変わるロイヤリティの計算式


 さて、セブン-イレブン・ジャパンの「チャージ1%特別減額」である。基本的には売上高から仕入れに相当する売上原価を引いて求める売上総利益に、FC契約時の「パーセント」を乗じて計算するのが「セブン-イレブン・チャージ」だ。ロイヤリティといってもいいだろう。

 各チェーンに共通することだが、FC店舗側にとっては、廃棄ロス(食品廃棄)は死活問題になりかねないが、本部側は「販売機会のロスを防げ」と、店舗の販売能力以上の仕入れを促す。その廃棄ロスの負担は基本的には店舗側であり、本部に有利な売上総利益の計算式になっている事実もある。

 いずれにしても、コンビニのロイヤリティの計算式は「売上総利益×所定のパーセンテージ」で求める。セブン-イレブン・ジャパンは、乗じるパーセントを1%減額するというわけだ。

 「加盟店がより拡大均衡の店舗経営に専念できる環境を整備するとともに、将来の加盟促進に向けた施策」であり、実施期間は「17年9月から当面の間」として、同社は18年2月期決算への影響は「約80億円を見込んでいる」と発表している。

 17年2月期のFC店舗からの収入7230億円の1%をやや上回る金額だが、18年2月期もFC全店売上高が伸びることを想定した数値なのだろう。

 1店舗1日平均の売上高が、ファミリーマートやローソンを10万円以上も上回っていることもあり、FC店舗の貢献を大きく受けるセブン-イレブン・ジャパンだからこそ可能、という見方もある。同時に、セブン-イレブン・ジャパンは、国内シェア40%台から50%への目標を掲げており、FC加盟店の満足度を高めてさらなる奮起を促すとともに、新規コンビニ参入者を取り込む戦略とみるべきだろう。国内のコンビニは飽和状態にあり、成長するためには、シェアを高めるしかないのも事実だ。

 従業員の平均給与の開示は5月末になるが、給与や賞与の支給総額は伸びており、平均給与もアップしているのは確実だろう。セブン-イレブン・ジャパンの人件費総額は、前年比7.8%増の725億円。ローソンも392億円から415億円に伸びている。

 ちなみに、15年度における従業員平均給与は、セブン-イレブン・ジャパンの親会社、セブン&アイホールディングス(3382)は716万円(平均年齢43.9歳)、ファミリーマート622万円(同39歳)、ローソン653万円(同40歳)だった。

ビジネスリサーチ・ジャパン[著]

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