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「EU離脱」を掲げる政治家が増えてきた欧州の事情 ~池上さんに聞いてみた。~

Q なぜ今「脱EU」を掲げる政治家が増えているの?

 イギリスがEU脱退を表明、仏大統領選の有力候補であるルペン氏も「脱EU」を政策に掲げています。なぜ今「脱EU」なのでしょうか。今後EUはどのようになっていくのでしょう。(20代・男・学生)

A 「敵」を設定し叩く。ポピュリズム政党の常套手段です。

 EUは、加盟国が自国の主権を少しずつEUという連合体に引き渡すことで成り立っています。このため、自国の言い分が通らないことが増えていきがちです。

 また、イギリス含め28もの国が加盟すると、ベルギーのブリュッセルにある本部の官僚組織が肥大化します。その結果、「選挙で選ばれたわけでもない官僚が勝手に命令しやがって」という不満もたまります。


©iStock.com

 こういうときに「自国第一」を掲げた政党が、「我々の言い分を聞き入れず、拠出金だけふんだくる組織から脱退しよう」と呼びかけると、支持を得やすいのです。実際にはEUによる恩恵を受けていても、それに気づかずに脱退を支持する人たちが出てきます。

 ポピュリズム政党の常套手段は、単純な「敵」を設定し、これを叩くこと。EUは絶好の標的なのです。

 一方、EUの側も、欧州統合という理想に向けて、急ぎすぎた点があります。政治体制も経済構造も民族も言葉も異なる国家同士が一緒にやっていくのは、並大抵な努力では実現しません。急げば摩擦も増えます。

 しかし、「EUになってヨーロッパから戦争がなくなった」と喜んでいる人もいます。

 まずは急ぎすぎた経過を反省すること。そこから次のステップが見えてくるはずです。EUは危機に瀕していますが、解体・崩壊することはないのです。

(池上 彰)

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